Wilcom Digital Editionで学ぶ:Graphics Digitizing Tool完全ガイド

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Wilcom Digital Editionで学ぶ:Graphics Digitizing Tool完全ガイド
Wilcom Embroidery Studio Digital Editionの「Graphics Digitizing Tool」を、初心者にも分かりやすく体系立てて解説。オープン/クローズドシェイプ、TatamiやSatinといったフィルの違い、幾何学図形やフリーハンド描画、ステッチ角度の調整やホール作成まで、動画の内容に沿って手順とコツを丁寧にまとめました。

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Table of Contents
  1. WilcomのGraphics Digitizing Toolで創造性を解き放つ
  2. アウトラインを極める:オープンシェイプの基本
  3. 塗りを理解する:クローズドシェイプとステッチタイプ
  4. 基本を超えて:幾何学図形とフリーハンド
  5. 高度なデジタイズ:角度とホールで仕上げる
  6. まとめ:デジタイズで刺繍表現を高めよう

WilcomのGraphics Digitizing Toolで創造性を解き放つ

画面上で「刺せる」形を素早くつくれるのが、このツール群の核心です。ワークスペースには例示用の図形が並び、これをもとにオブジェクト化の流れをデモしています。

Wilcom workspace with pre-drawn geometric shapes
The workspace shows a white background with a large green-bordered rectangle containing pre-drawn shapes: a light blue rectangle, a green oval, a yellow triangle, and a yellow star. This is the starting point for demonstrating the digitizing tools.

このツールのメリットは3つ。素早さ、正確さ、そして後からの編集容易性。動画でも「作図→確定→塗り/角度調整→仕上げ」と、実務に近い順序で説明が進みます。mighty hoopsなど実機のフレーミングを想定した配置検討にも向きます。

これは何をしてくれる?

  • ランニングステッチやSatin/Tatamiなどの刺繍オブジェクト化
  • ベクター輪郭の作成(描いてから塗りを加えることも可能)
  • 幾何学図形・プリセット形状・フリーハンド描画の即戦力化

どう使うと効果的?

  • ラフ→整形→仕上げまでを1ウィンドウで完結
  • 修正はUndoやプロパティ変更で瞬時に反映
  • 学習コストが低く、初心者でも成果が出やすい

アウトラインを極める:オープンシェイプの基本

ランニングステッチのアウトライン(手順)

ツールバーからDigitize Open Shapeを選び、直線は左クリック、カーブは右クリックで点を置いてEnter。これで走り縫いのアウトラインが完成します。

Selecting the 'Digitize Open Shape' tool in the toolbar
The cursor hovers over and selects the 'Digitize Open Shape' tool, which looks like a curved line with points, in the top left toolbar. This is the first tool demonstrated for creating outlines.

描線がそのままステッチの通り道になるので、文字や境界線、軽い装飾に向きます。輪郭を回し終えたらEnterで確定。輪郭どおりにランニングが表示されるはずです。

Running stitch outline created around a blue rectangle
A brown running stitch outline has been drawn around the light blue rectangle shape. This demonstrates the basic functionality of the 'Digitize Open Shape' tool for creating stitch lines.

プロのコツ:曲線が多い場合、点の間隔を長くしすぎると角張ります。右クリック点を適度に増やし、滑らかさを優先しましょう。brother 刺繍枠の内寸を見越し、輪郭がフレーム端に寄りすぎない配置にするのも実機運用では重要です。

ベクターアウトライン:精密な描画

同じくOpen Shapeでも「Vector Outline Tool」を選べば、ステッチ化しない滑らかなベクター線を作れます。右クリックでカーブ点、Enterで確定。ワークスペースに波線のようなベクターが現れ、後工程のガイドにもなります。

Vector outline created with wavy lines
A wavy, brown vector outline is displayed on the screen, separate from the pre-drawn shapes. This illustrates how the vector outline tool allows for drawing freeform, non-stitchable lines.

注意:左/右クリックの役割を取り違えるとぎこちない形になります。迷ったらCtrl+Zで戻し、点を撮り直しましょう。bernina 磁気 刺繍枠など機種別フレームでの見え方を想定し、輪郭はシンプルに保つと失敗が減ります。

クイックチェック:

  • 直線と曲線の切り替え位置は自然か?
  • 点が多すぎて歪みになっていないか?
  • 最終Enterを押して確定しているか?

塗りを理解する:クローズドシェイプとステッチタイプ

Tatamiフィル:面で見せる

Digitize Closed Shapeを選び、Tatami Stitchを指定。12時→9時→6時→3時位置に点を置いてEnterで閉じると、自動で面が塗られます。

Drawing an oval shape with Tatami stitch selected
The cursor is actively drawing an oval shape by placing points, with the 'Tatami Stitch' icon highlighted in the toolbar. This is the preparatory step before filling the closed shape.

閉じ忘れはよくあるミス。必ずEnterでクローズドに。確定後、エントリー/エグジットポイントを求められる場合もあります。塗り結果はスウォッチの色選択に追随します。

Closed oval shape filled with Tatami stitch
A closed oval shape is now completely filled with a green Tatami stitch pattern. This demonstrates the result of closing a shape after selecting the Tatami stitch option.

プロのコツ:広い面は方向の変化が少ないと“ベタ”に見えがち。のちほど角度を差し込む前提で、面の分割を考えると仕上がりが豊かになります。janome 磁気 刺繍枠の使用時は端の浮きを避けるため、外周に軽いランニングで押さえを入れる設計も有効です。

Satinのカラム:艶で魅せる

Graphics Digitizing Toolには「Column(カラム)」の発想があります。Satin Stitchを選び、対点(ポイントとカウンターポイント)で幅を指定してEnter。すると密で艶のあるSatinのカラムが生成されます。

Selecting the 'Satin Stitch' option in the properties panel
The 'Satin' stitch setting is highlighted in the 'Object Properties' panel on the right. This indicates the chosen stitch type for the subsequent column digitization, influencing its texture and appearance.

曲面のカラムは光の流れが要。幅が極端に変化すると撚れやすいので、段階的な変化を狙います。

Curved column shape filled with Satin stitch
A curved column object is filled with a green Satin stitch, demonstrating the effect of this stitch type. The smooth, dense appearance is characteristic of Satin stitching.

ベクター塗り+色替え

クローズドシェイプでVectorを選択し、線色をRedに変更。Enterで確定後、Object PropertiesからFillを有効化すればベクター輪郭+塗りの構成に。線色と塗り色を分けると、編集時の視認性が格段に上がります。

Red vector outline of an oval shape
A red vector outline of an oval shape is created on the screen. This shows the initial result of using the 'Digitize Closed Shape' tool with the vector option and changing the line color to red.

注意:Vectorを選ばずに描くと、そのままステッチオブジェクトになる場合があります。描画前に設定を確認しましょう。barudan 磁気 刺繍枠など業務機の大枠設計では、色分け表示がラージデザインの把握に役立ちます。

基本を超えて:幾何学図形とフリーハンド

長方形と楕円は“速く正確に”

Rectangleツールでは、クリック&ドラッグで即フィル入りの長方形/正方形を作れます。現在選択中のステッチタイプが適用されるのがポイント。

Drawing a green Tatami filled rectangle
A green filled rectangle is drawn on the screen using the 'Rectangle' tool, automatically filling with the selected Tatami stitch. This is a quick way to create basic geometric shapes.

EllipseツールはCtrlキーを押しながらドラッグで完全な円に。Enterで確定します。バッジやロゴのベース作成に最適です。

Drawing a green Tatami filled perfect circle
A perfect green circle, filled with Tatami stitch, is created using the 'Ellipse' tool while holding the 'Control' key. This demonstrates precision drawing for circular objects.

プロのコツ:幾何学図形は「下地」に使うと効率的。上に重ねるSatin文字やモチーフの“土台”として、色と角度を控えめにしておくと上モチーフが映えます。snap hoop monsterのような固定力の高いフレームを使う場合、広面積Tatamiでも安定しやすいのが利点です。

プリセット形状をレバレッジ

Graphic Shapesメニューから、星・ハート・ボーダー類など多数のプリセットが呼び出せます。選択→ドラッグで即配置。複雑な形も1アクションで下地化できるため、時短に直結します。

Dropdown menu of pre-defined graphic shapes
A dropdown menu titled 'Graphic Shapes' is open, displaying a variety of pre-defined shapes like hearts, stars, and various borders. This shows the extensive library of ready-to-use shapes available.

選択肢が多いぶん、誤クリックも起こりがち。迷ったらCtrl+Zで戻して選び直しましょう。

A green Tatami filled octagon shape
A green Tatami filled octagon shape is drawn on the screen after being selected from the 'Graphic Shapes' menu. This shows how quickly complex shapes can be added.

フリーハンドで“手描きの味”

Open Hand Shapeはドラッグで走り縫いの自由線を作成。Closed Hand Shapeは塗りの入る自由形状を素早く描けます。ラフなスケッチから勢いのあるモチーフまで、筆感を生かした表現が可能です。

クイックチェック:

  • フリーハンドの端点は意図どおりに閉じているか?
  • 線の密度が高すぎてつぶれていないか?
  • ほかのオブジェクトと重なりが過多になっていないか?

高度なデジタイズ:角度とホールで仕上げる

ステッチ角度で立体感を操る

Stitch Angle Toolで角度線を追加すると、面内のステッチ方向を制御できます。曲面のSatinでは数本の角度を打つだけで光の流れが自然に。不要な角度はRemove Stitch Anglesで削除し、必要に応じて再挿入します。

Multiple stitch angles added to a curved Satin shape
Multiple red lines, representing stitch angles, are added across a curved green Satin-stitched object. This demonstrates how to control the direction of stitches within a filled area for artistic or functional purposes.

多角度を入れすぎると段差感が出ます。基本は少数精鋭。面の形状がはっきりしている部分にだけ入れ、つなぎ目は緩やかな変化を意識しましょう。mighty hoopsと併用する大判刺繍では、布目と角度の相性も試し打ちで確認を。

ホール(抜き)で密度を軽く、デザインを鮮やかに

Hole Toolは塗り面の内部に抜きを作る道具。対象を選び、内部に閉じた形(円など)を描いてEnterを2回。これで面の中に抜きが確定し、軽さと陰影が生まれます。

A hole created in the center of a green Satin-stitched object
A circular hole has been cut into the center of a green Satin-stitched object. This demonstrates the 'Hole' tool's capability to create openings within filled embroidery designs.

プロのコツ:ホールの縁に沿って軽いランニングやナローSatinを回すと、際(きわ)が締まり視認性が向上します。磁気 刺繍枠を使う厚物では、抜き周辺の波打ちを避けるため密度と下打ちの調整も忘れずに。

トラブルシューティング/品質チェック

  • 形が閉じない:クローズドシェイプでEnterを押し忘れていないか確認。
  • 角度が利かない:対象がフィル(Tatami/Satin)になっているか、選択対象を見直す。
  • フィルが入らない:Object PropertiesでFillが有効か、またはステッチタイプの設定を再確認。
  • カーブがギザギザ:右クリック点を増やし、点間隔を均一に。必要ならベクターで下書きしてからステッチ化。
  • 配置の想定外:実機フレーム(例:brother 刺繍枠)サイズのアートボードを先に作り、外周の安全マージンを確保。

注意:動画では具体的な出力形式や寸法値は言及されていません。エクスポートやマシン設定は、ご使用の環境と機種に合わせて別途確認してください。磁気 刺繍枠やフレームのラインナップ(例:業務機向け)は機種・地域で異なります。

コメントから

  • 「とても助かったチャンネル!」
  • 「良い動画。こういう内容をもっと見たい」

どちらも操作の分かりやすさを評価する声。初学者がつまずきやすい「クリックの種類」「Enterでの確定」「角度/ホールの確定回数」などの要点を、記事でも整理しました。

まとめ:デジタイズで刺繍表現を高めよう

Graphics Digitizing Toolは、形を“描く”ことと“刺す”ことの距離をぐっと縮めます。オープン/クローズド、Tatami/Satin、角度/ホール、幾何/フリーハンド——いずれも動画のデモだけでなく実務に直結する要素です。

仕上げの近道は、描く→確定→角度と抜きで“動き”を与える、という一貫した流れを身につけること。フレーム運用(例:磁気 刺繍枠)や実機の布送りを常に意識し、画面上で“縫い心地”を想像しながら点を打てば、再現性の高いデータに近づきます。mighty hoopsのような強力フレームを使う現場でも、無理のない角度と密度設計はトラブル予防に直結します。

最後に、学びの指針をもう一度:

  • 左/右クリックの使い分けとEnter確定を習慣に
  • 面は角度とホールで軽やかに
  • 幾何とフリーハンドを状況で使い分け
  • Object Propertiesで塗りと色を即調整
  • 実機フレーミング(例:磁気 刺繍枠やmighty hoops)を常に想定

必要十分のツールを、必要十分なステップで。あなたの刺繍データは、今日からもっと美しく、速く、賢く仕上がります。