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WilcomのGraphics Digitizing Toolで創造性を解き放つ
画面上で「刺せる」形を素早くつくれるのが、このツール群の核心です。ワークスペースには例示用の図形が並び、これをもとにオブジェクト化の流れをデモしています。

このツールのメリットは3つ。素早さ、正確さ、そして後からの編集容易性。動画でも「作図→確定→塗り/角度調整→仕上げ」と、実務に近い順序で説明が進みます。mighty hoopsなど実機のフレーミングを想定した配置検討にも向きます。
これは何をしてくれる?
- ランニングステッチやSatin/Tatamiなどの刺繍オブジェクト化
- ベクター輪郭の作成(描いてから塗りを加えることも可能)
- 幾何学図形・プリセット形状・フリーハンド描画の即戦力化
どう使うと効果的?
- ラフ→整形→仕上げまでを1ウィンドウで完結
- 修正はUndoやプロパティ変更で瞬時に反映
- 学習コストが低く、初心者でも成果が出やすい
アウトラインを極める:オープンシェイプの基本
ランニングステッチのアウトライン(手順)
ツールバーからDigitize Open Shapeを選び、直線は左クリック、カーブは右クリックで点を置いてEnter。これで走り縫いのアウトラインが完成します。

描線がそのままステッチの通り道になるので、文字や境界線、軽い装飾に向きます。輪郭を回し終えたらEnterで確定。輪郭どおりにランニングが表示されるはずです。

プロのコツ:曲線が多い場合、点の間隔を長くしすぎると角張ります。右クリック点を適度に増やし、滑らかさを優先しましょう。brother 刺繍枠の内寸を見越し、輪郭がフレーム端に寄りすぎない配置にするのも実機運用では重要です。
ベクターアウトライン:精密な描画
同じくOpen Shapeでも「Vector Outline Tool」を選べば、ステッチ化しない滑らかなベクター線を作れます。右クリックでカーブ点、Enterで確定。ワークスペースに波線のようなベクターが現れ、後工程のガイドにもなります。

注意:左/右クリックの役割を取り違えるとぎこちない形になります。迷ったらCtrl+Zで戻し、点を撮り直しましょう。bernina 磁気 刺繍枠など機種別フレームでの見え方を想定し、輪郭はシンプルに保つと失敗が減ります。
クイックチェック:
- 直線と曲線の切り替え位置は自然か?
- 点が多すぎて歪みになっていないか?
- 最終Enterを押して確定しているか?
塗りを理解する:クローズドシェイプとステッチタイプ
Tatamiフィル:面で見せる
Digitize Closed Shapeを選び、Tatami Stitchを指定。12時→9時→6時→3時位置に点を置いてEnterで閉じると、自動で面が塗られます。

閉じ忘れはよくあるミス。必ずEnterでクローズドに。確定後、エントリー/エグジットポイントを求められる場合もあります。塗り結果はスウォッチの色選択に追随します。

プロのコツ:広い面は方向の変化が少ないと“ベタ”に見えがち。のちほど角度を差し込む前提で、面の分割を考えると仕上がりが豊かになります。janome 磁気 刺繍枠の使用時は端の浮きを避けるため、外周に軽いランニングで押さえを入れる設計も有効です。
Satinのカラム:艶で魅せる
Graphics Digitizing Toolには「Column(カラム)」の発想があります。Satin Stitchを選び、対点(ポイントとカウンターポイント)で幅を指定してEnter。すると密で艶のあるSatinのカラムが生成されます。

曲面のカラムは光の流れが要。幅が極端に変化すると撚れやすいので、段階的な変化を狙います。

ベクター塗り+色替え
クローズドシェイプでVectorを選択し、線色をRedに変更。Enterで確定後、Object PropertiesからFillを有効化すればベクター輪郭+塗りの構成に。線色と塗り色を分けると、編集時の視認性が格段に上がります。

注意:Vectorを選ばずに描くと、そのままステッチオブジェクトになる場合があります。描画前に設定を確認しましょう。barudan 磁気 刺繍枠など業務機の大枠設計では、色分け表示がラージデザインの把握に役立ちます。
基本を超えて:幾何学図形とフリーハンド
長方形と楕円は“速く正確に”
Rectangleツールでは、クリック&ドラッグで即フィル入りの長方形/正方形を作れます。現在選択中のステッチタイプが適用されるのがポイント。

EllipseツールはCtrlキーを押しながらドラッグで完全な円に。Enterで確定します。バッジやロゴのベース作成に最適です。

プロのコツ:幾何学図形は「下地」に使うと効率的。上に重ねるSatin文字やモチーフの“土台”として、色と角度を控えめにしておくと上モチーフが映えます。snap hoop monsterのような固定力の高いフレームを使う場合、広面積Tatamiでも安定しやすいのが利点です。
プリセット形状をレバレッジ
Graphic Shapesメニューから、星・ハート・ボーダー類など多数のプリセットが呼び出せます。選択→ドラッグで即配置。複雑な形も1アクションで下地化できるため、時短に直結します。

選択肢が多いぶん、誤クリックも起こりがち。迷ったらCtrl+Zで戻して選び直しましょう。

フリーハンドで“手描きの味”
Open Hand Shapeはドラッグで走り縫いの自由線を作成。Closed Hand Shapeは塗りの入る自由形状を素早く描けます。ラフなスケッチから勢いのあるモチーフまで、筆感を生かした表現が可能です。
クイックチェック:
- フリーハンドの端点は意図どおりに閉じているか?
- 線の密度が高すぎてつぶれていないか?
- ほかのオブジェクトと重なりが過多になっていないか?
高度なデジタイズ:角度とホールで仕上げる
ステッチ角度で立体感を操る
Stitch Angle Toolで角度線を追加すると、面内のステッチ方向を制御できます。曲面のSatinでは数本の角度を打つだけで光の流れが自然に。不要な角度はRemove Stitch Anglesで削除し、必要に応じて再挿入します。

多角度を入れすぎると段差感が出ます。基本は少数精鋭。面の形状がはっきりしている部分にだけ入れ、つなぎ目は緩やかな変化を意識しましょう。mighty hoopsと併用する大判刺繍では、布目と角度の相性も試し打ちで確認を。
ホール(抜き)で密度を軽く、デザインを鮮やかに
Hole Toolは塗り面の内部に抜きを作る道具。対象を選び、内部に閉じた形(円など)を描いてEnterを2回。これで面の中に抜きが確定し、軽さと陰影が生まれます。

プロのコツ:ホールの縁に沿って軽いランニングやナローSatinを回すと、際(きわ)が締まり視認性が向上します。磁気 刺繍枠を使う厚物では、抜き周辺の波打ちを避けるため密度と下打ちの調整も忘れずに。
トラブルシューティング/品質チェック
- 形が閉じない:クローズドシェイプでEnterを押し忘れていないか確認。
- 角度が利かない:対象がフィル(Tatami/Satin)になっているか、選択対象を見直す。
- フィルが入らない:Object PropertiesでFillが有効か、またはステッチタイプの設定を再確認。
- カーブがギザギザ:右クリック点を増やし、点間隔を均一に。必要ならベクターで下書きしてからステッチ化。
- 配置の想定外:実機フレーム(例:brother 刺繍枠)サイズのアートボードを先に作り、外周の安全マージンを確保。
注意:動画では具体的な出力形式や寸法値は言及されていません。エクスポートやマシン設定は、ご使用の環境と機種に合わせて別途確認してください。磁気 刺繍枠やフレームのラインナップ(例:業務機向け)は機種・地域で異なります。
コメントから
- 「とても助かったチャンネル!」
- 「良い動画。こういう内容をもっと見たい」
どちらも操作の分かりやすさを評価する声。初学者がつまずきやすい「クリックの種類」「Enterでの確定」「角度/ホールの確定回数」などの要点を、記事でも整理しました。
まとめ:デジタイズで刺繍表現を高めよう
Graphics Digitizing Toolは、形を“描く”ことと“刺す”ことの距離をぐっと縮めます。オープン/クローズド、Tatami/Satin、角度/ホール、幾何/フリーハンド——いずれも動画のデモだけでなく実務に直結する要素です。
仕上げの近道は、描く→確定→角度と抜きで“動き”を与える、という一貫した流れを身につけること。フレーム運用(例:磁気 刺繍枠)や実機の布送りを常に意識し、画面上で“縫い心地”を想像しながら点を打てば、再現性の高いデータに近づきます。mighty hoopsのような強力フレームを使う現場でも、無理のない角度と密度設計はトラブル予防に直結します。
最後に、学びの指針をもう一度:
- 左/右クリックの使い分けとEnter確定を習慣に
- 面は角度とホールで軽やかに
- 幾何とフリーハンドを状況で使い分け
- Object Propertiesで塗りと色を即調整
- 実機フレーミング(例:磁気 刺繍枠やmighty hoops)を常に想定
必要十分のツールを、必要十分なステップで。あなたの刺繍データは、今日からもっと美しく、速く、賢く仕上がります。
