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動画を見る:「Upcycling Clothes with Hanna Hoyne」(Hanna Hoyne)
お気に入りの服、もう一度好きになる方法は“縫い直すこと”だけじゃない。形を変える、素材をつなぐ、あえて見せる——その発想が、クローゼットに魔法をかけます。

本記事は、彫刻家Hanna Hoyneが見せる「見える修繕」と創造的アップサイクルの実演を、日本語で丁寧にガイド化。型紙いらずのシンプルな手順と、日常の布たちを自由に組み合わせる視点を持ち帰りましょう。
学べること
- 見える修繕(Visible Mending)の考え方と活用例
 
- 既存の縫い目・裾・カーブを活かした時短アップサイクル
 
- タートルネックの襟を測って切り、リブを仮縫い・プレスで仕上げる実演
 
- ウールの虫食いを「フェルトの丸パッチ」でデザインに変える方法
 
- ブランケットやシーツを“キャンバス”にする生地選びのヒント
 
Hanna Hoyneに会おう:彫刻から始まるアップサイクル思考 彫刻家として30年近く縫う表現を続けてきたHannaは、衣類にも“介入”して命を延ばす「ファッション・サージェリー(ファッション外科)」を提案します。複雑な仕立ては不要。平面的に考え、あるもの同士を組み合わせるだけで、着たくなる一着が生まれます。

彼女は過去に子ども服のアップサイクル・レーベル「Kinderhoons」も運営し、役目を終えた服を埋立地へ行かせない工夫を続けてきました。作品づくりの視点と暮らしの課題が、やさしく接続しているのです。

衣類を前に“どう変えられるか”を考える。ほんの少し考えることが、自然と愛着を深め、身の回りのものとの関係を築いてくれる。そんな思想がこの動画の土台です。

プロのコツ
- まずは“思想”から。完璧に直すより、どう楽しんで変えるかを優先。
 
- 一度にすべてを決めなくてOK。試着しながら微調整するのが近道です。
 
お直しの先へ:服を作り替えるクリエイティブ事例 動画では、ブランケットとTシャツを半分にして縫い合わせたワンピース、サマーパンツのウエストバンドを首ぐりに見立てたトップス、ガウンを2枚のシャツへ再構成……と、自由な組み合わせ例が次々に登場。色や質感の“結婚”に正解はありません。

小さなトリムでポップに、あるいは大胆にビビッドカラーで。さらにはハウスペイントや断熱用のアルミシートまで、ルールは皆無。「こうあらねば」に縛られない視点が、あなたの“正解”を生みます。

ベッドシーツからシャツ、デニムにリブを足したパンツなど、家の中の素材ほど意外と使える。使い古しの生地に新しい輪郭を与える——それだけで「また着たい」に変わります。

注意
- 家具塗料や異素材は、色移り・肌当たり・洗濯耐久を必ず小さくテストしてから。
 
- 切り替え位置は着心地に直結。肩や首周りは特にこだわって。
 
クイックチェック
- 既存の裾や縫い目を“そのまま”新作の裾や切り替えに使えるか?
 
- 配色はワクワクするか?恐れずに試し合わせを。
 
賢い素材集め:ワードローブからオプショップまで アプローチは2つ。ひとつは、既存の服にある縫い目・裾・カーブをそのまま活かすやり方。既に多くの仕立てが済んでいるから、作業がグッと楽に。

もうひとつは、オプショップ(Vinnie’sなど)でブランケットや良質なシーツを見つけ、広い面を自由に使う“キャンバス方式”。これならジャケット、ドレス、シャツも自在に引けます。素材そのものの存在感が、新しいスタイルの土台になります。

プロのコツ
- 大きな面を使える布(ブランケット、シーツ)は、最初の一歩に最適。
 
- バッグや小物用に“端切れ箱”を作ると、後日のパッチワークがはかどる。
 
実演:タートルネックの襟をやさしくリシェイプ 今回の実演は、愛用のタートルネックに空いた小さな穴をきっかけに、襟まわりをまるっと整える方法。まずは首リブを外して別のプロジェクトに回収。肩先(鎖骨の端)から袖の縫い目に沿って“指2本分”内側に印を取り、そこからまっすぐカットして新しいラインを作ります。縫い代として“指1本分”は忘れずに確保しましょう。

この“指2本の計測+まっすぐカット”は、動画の中でもシンプルで速いのが魅力。穴は切り落とすので、もはや問題ではありません。きれいに切れたら、次は新しいリブを用意します。

プロのコツ
- カット前に、両肩で同じ位置に印を。左右差は後で目立ちます。
 
- カットラインは少し長めに残してから微調整すると安心。
 
測って切って、仮縫い・プレス 新しいリブは、余裕を持って長めにカット。首ぐりのカーブに合うよう、ほんの少し曲線をつけてから待ち針で仮止めし、しつけ(長い針目)で留めます。これで本縫い前の“テスト版”が完成。動画ではこの段階で形の見え方を確認しています。

次に、内側へ折り込んでアイロンでプレス。縁が落ち着くので仕上がりがぐっと整います。必要に応じて内側を手縫いで“まつる”と、より安心。アイロンのひと手間が美しさの分かれ目です。

クイックチェック
- しつけは均一か?リブがつれたり波打っていないか?
 
- プレス後、首回りの当たりはやわらかいか?
 
見える修繕:フェルトで“傷”をデザインに変える 見える修繕(Visible Mending)は、穴や擦り切れを“隠す”のではなく“見せる”方法。ウールの虫食いにはフェルトが好相性。ウールとフェルトは一体化しやすく、縁をぐるりと縫うだけで愛らしいアクセントに。

丸パッチの作り方は簡単。四角いフェルトを三角形に折り、カーブを“なんとなく”切って広げれば、ほぼ円に。ぴったりのテンプレートがなくても大丈夫。置いてみて、色の相性を確かめましょう。

淡いウールほど虫に狙われがち。オプショップの掘り出し物にも小さな穴があることは珍しくありません。だからこそ、パッチの色を楽しみ、縁取り糸で遊ぶチャンス。小さな欠点が物語に変わります。
プロのコツ
- パッチは“少し大きめ”で安心感を。縫い代の分も含めて。
 
- 円にこだわらず、楕円や動物シルエットも表情が出ます。
 
コメントから
- 「Life changer 💝」——小さな介入でも、服との関係は大きく変わる。そんな実感が伝わる感想でした。
 
さあ始めよう:あなたのアップサイクル・ジャーニー 動画の最後にHannaは言います。試着して、足りなければ足し、余れば引く。15〜20分の“ちょい足し”でも、満足度は大きく上がる——と。自分のワードローブやオプショップで素材を見つけ、思い出深い一着同士を“結婚”させてみましょう。
注意
- 本記事の手順は動画で示された範囲に基づいています。ミシン機種や糸の種類、アイロン温度などの詳細仕様は示されていません。
 
発展アイデア:布遊びをさらに楽しむために
- 見える修繕の縁取りやロゴ風の装飾を“手刺繍”で足すのも素敵。もし機械刺繍でモチーフを重ねたい場合は、対応機材や枠の互換をよく確認しましょう(本動画では扱っていない応用例です)。調べもののキーワード例として、磁気 刺繍枠 や babylock 刺繍枠 を起点に情報収集してみるのも一案です。
 
- メーカーや機種ごとの刺繍枠には規格差があります。たとえば家庭用や業務用の機械で検索する際に、brother 刺繍ミシン や janome 磁気 刺繍枠 などの語で比較検討すると、必要な付属品のイメージが掴みやすくなります。
 
- 強力な保持力をうたうマグネティック系アクセサリーは布のズレ防止に役立つことがあります(導入の可否は各自の環境で判断を)。用語として bernina 磁気 刺繍枠 や snap hoop monster、mighty hoop などで作例やレビューを参照すると、選択の幅が広がります。
 
最後に——“正解はあなたの中にある” 既存の縫い目を借りる。布の余白を信じる。穴を愛す。こうした視点の積み重ねが、服に第2の人生を与えます。今日の一手は小さくていい。指2本分のカット、丸いパッチひとつ——それだけで十分です。
次の休日、引き出しを開けてみませんか。もう着ないと思っていた一着が、あなたの手で“いま”のクローゼットに戻ってくるはずです。
