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Pfaff Creative Expect 350 を開封する
箱が届いたら、早く縫いたい。けれど「よく分からないまま動かして糸が絡む」——この最初の1時間が一番もったいないところです。
動画では、制作者が Pfaff Creative Expect 350 を開封し、電源コード、フットコントローラー、分かりやすいユーザーガイド、ボビンやツール類、そして サイズ違いの刺繍枠が2つ 入っていることを確認しています。
ただし、開封は「在庫確認」のフェーズにすぎません。この記事の狙いは、そのワクワクをそのまま、失敗しにくい再現性の高い「立ち上げ手順(フライトチェック)」に変換することです。最初のテスト縫いで“きれいに縫えている感触”を掴み、スタビライザー(刺繍の土台になる補強材)の役割を理解し、必要に応じて道具をアップグレードする判断軸まで持てるようにまとめます。

この記事でできるようになること(防げる失敗)
説明書の手順をなぞるだけでなく、「なぜそれが必要か」まで含めて進めます。できるようになること:
- 同梱品チェックを“作業者目線”で行う(不足や見落としを潰す)
- 通電〜起動を感覚で確認する(正常な起動の見分け)
- 上糸を“通したつもり”にしない(テンション機構に正しく入れる)
- 画面表示を使って押さえ金を選ぶ(ステッチと押さえ金の相性を外さない)
- 直線縫いで基準を作り、飾り模様・文字縫いへ段階的に進む
あわせて、初週に起きがちな“あるある”を予防します:
- 波打ち/つれ:飾り模様で布が引きつる(スタビライザー不足が原因になりやすい)
- 糸切れ:糸案内を1か所飛ばしただけで起きる
- 枠跡:枠の締めすぎで布に輪ジワが残る(刺繍作業で悩みやすい)
箱の中身は?(監査チェックリスト)
動画では標準付属品が紹介されていますが、作業者としては「何のためにあるか」を押さえると段取りが速くなります。
- 電源コード/フットコントローラー:電源と速度操作の基本
- ユーザーガイド:最初の数日は“手元常備”推奨
- アクセサリーバッグ:スターターボビン(動画では5個)、リッパー、スタイラス等
- エッジキルティングガイド:一定間隔のガイド出しに便利
- 糸こま押さえ(スプールキャップ):小/中/大。目安:糸こま外径に合うサイズを使う。大きすぎると糸が引っ掛かりやすく、小さすぎると糸こまが暴れやすい
- 刺繍枠(2サイズ):刺繍時の保持具
- アクセサリートレイ:フリーアーム用のカバー(外して筒物にも対応)
補足:開封直後にやっておくと安心なこと(動画で確認できる範囲)
- 付属品は一度テーブルに並べ、「何がどこに入っていたか」を把握してから片付ける(後で探す時間を減らす)


現場のコツ(期待値の置き方)
コメントで「(革ではない)バッグやキルトも縫える?」という質問があり、制作者は「できるが、刺繍が得意な機種」と回答しています。
作業者向けに言い換えると:これはコンビ機(ソーイング+刺繍)で、飾り模様や文字縫いなど“装飾の精度”に強みがあります。バッグのように段差が出る箇所や、厚みのある重ね縫いは可能でも、無理に押し込まず、段差はゆっくり・確実に送るのが安全です。
要注意:「固さ」チェック
動画では本体の保護テープを剥がしています。ここを飛ばすと、送りや可動部に抵抗が出てトラブルの原因になります。
- 目視チェック:青/オレンジ系の保護テープが残っていないか(特に可動部周辺)
- 触感チェック:送り歯周辺に発泡材の欠片が噛んでいないか

注意:開封時にハサミを使う場合、電源コードやフットコントローラーのケーブルを切らないようにしてください。被覆に傷が入ると危険です。また、タッチスクリーンは傷がつきやすいので、指先か付属のスタイラスのみで操作します。
初期セットアップ:「プレフライト」手順
動画の流れを、事故とムダを減らす手順に標準化します。
電源接続と起動
- 本体側面のポートに フットコントローラー を接続(奥まで確実に差し込む)
- 電源コード を接続
- 電源スイッチを入れる


起動確認(見た目/音で判断)
- 見た目:画面が点灯する
- 音/動き:起動時に短い作動音が出る(内部の初期化動作)
上糸かけ:テンションに“入れる”
上糸かけは「穴に通す作業」ではなく、テンション機構に正しく糸を噛ませる作業です。
- 糸こま準備:水平の糸立てに糸こまをセットし、適切なスプールキャップで固定
- 糸道:本体上部のガイド表示に沿って通す
- 要点:右側の溝を下げて左側を上げる区間(天秤周り)は、糸を軽く張りながら確実にガイドへ入れる
- 針穴:前から後ろへ通す

動画で触れているつまずき:糸案内(特に上下する金属アーム=天秤)を通し忘れる
なぜ問題になるか:天秤を外すと糸の引き上げが成立せず、布の裏側で糸が一気に絡む原因になります。
下糸(ボビン糸)のセット:「P」ルール
動画では 巻き済みボビン を使用しています。
- ボビンカバーを外す
- 「P」ルール:糸端が左に垂れて 「P」 の形に見える向きで持つ。逆向き(「d」)に見えるなら裏返す
- 上から落とし込む
- 溝(テンションばね側)に通し、軽く引き出してカット

補足:向きが逆だとテンションがかからず、縫い目が不安定になりやすくなります。
✅ チェックリスト1:セットアップ監査
画面操作に入る前に確認:
- 電源コードが確実に接続され、起動が正常
- 上糸がテンション機構に入っている(軽く引いて抵抗感がある)
- ボビンが「P」向きで入り、糸が溝に通っている
- 押さえ金が上がっている(押さえ金を上げるとテンションが開き、糸が入りやすい)
タッチスクリーン操作
画面は操作の司令塔です。動画では、ステッチを選ぶと 推奨の押さえ金番号(例:0A/2A) が表示されます。これは“安全装置”に近い機能なので、必ず従うのが近道です。

ステッチ選択と押さえ金の相性
動画では主に次の2パターンが示されています。
- 直線縫い:押さえ金 0A
- 飾り模様/文字縫い:押さえ金 2A
なぜ交換が必要?飾り模様は糸量が増えて盛り上がりやすく、押さえ金の裏側に逃げ(溝)があるタイプの方が引っ掛かりにくくなります。合わない押さえ金を使うと、布送りが乱れて模様が歪む原因になります。

主要ボタン:返し縫い/糸切り
- 返し縫い:縫い始め・縫い終わりの固定に使用
- 糸切り:上糸・下糸をカットして作業を整える
初回テスト縫い:まず“基準”を作る
いきなり本番布に行かず、まずはミシンと素材の相性を確認します。
テスト1:直線縫いで基準出し
- 綿などの端布を2枚重ねにする
- 押さえ金 0A を使用
- 約5インチの直線を縫う
- 裏面も確認
- 良好:表裏の糸調子が極端に偏らない
- 不調:裏側にループが出る/表側が引きつる など

テスト2:飾り模様(押さえ金 2A)
動画では飾り模様に進む際、押さえ金を交換しています。
- 押さえ金ホルダー後方のボタンで 0A を外す
- 2A を装着(カチッと固定される)
- 画面で飾り模様を選んで縫う



チェックポイント:布送りが重い/進みにくいと感じたら、スタビライザー不足の可能性があります(動画でも飾り模様・文字縫いでスタビライザーを使用)。
文字縫い(内蔵フォント)
動画では「BYRD」と入力しています。
- 文字メニュー(「T」アイコン)を選ぶ
- フォントを選択
- 文字を入力
- 縫う前に画面上でスペルを確認

初心者向け:手順の「理由」を押さえる
ここからは、動画の内容を“失敗しないための運用”に寄せて整理します。
スタビライザーは必須(特に飾り模様・文字)
動画では、布の下に ティアアウェイ(tear-away)スタビライザー を敷いています。

補足(考え方):飾り模様や文字は針数が増え、布が引っ張られやすくなります。スタビライザーは一時的な“基礎”として、波打ちやつれを抑える役割があります。
- ティアアウェイ:比較的安定した布帛(コットン等)で使いやすい
- カットアウェイ:伸びる素材(Tシャツ等)では残して支える考え方が有効
枠跡の悩み:枠の締めすぎ問題
刺繍の枠張りでは、締めすぎによる 枠跡 や、布目の歪みが起きやすくなります。
判断の考え方(道具を見直すタイミング)
- ネジ締めが負担で枠張りがつらい
- デリケート素材で枠跡が残りやすい
上記のような場合、マグネット刺繍枠 のような選択肢を検討する人もいます(保持方法が異なるため、作業負担や圧痕の出方が変わることがあります)。
スタート/ストップボタンとペダルの使い分け
- ペダル:角やカーブなど、速度を細かく調整したい場面
- スタート/ストップ:一定速度で縫い進めたい場面
使い続けるための実感
コメントで「数週間使ってみてどう?」という問いに対し、制作者は「すごく気に入っている。使いやすい」と返答しています。
まとめ:次にやること
Pfaff Creative Expect 350 の立ち上げは、次の順で進めると安定します。
- 同梱品を確認し、作業に必要なものを把握する
- 上糸をテンション機構に正しく入れる
- ボビンの向きを「P」ルールで確認する
- 画面の推奨に従い、押さえ金(0A/2A)を使い分ける
- 飾り模様・文字縫いではスタビライザーを併用する
「道具のアップグレード」導線:作業を速くする
慣れてくると、ボトルネックは「縫い方」より「段取り(準備時間)」に移ります。
- 効率アップ:枠張りの回数が増えるほど、準備時間が効いてきます。量産や段取り短縮を意識するなら、枠固定台 のような固定環境を検討する人もいます。
- 連続柄の発想:テーブルクロスのように長いボーダーを継ぎ足しながら進めたい場合は、pfaff creative エンドレス刺繍枠 のような選択肢を調べる価値があります。
- 生産の発想:色替えやスピードが課題になってきたら、多針刺繍機という方向性を検討するタイミングになります(用途と数量次第)。
重要な安全上の注意(2点)
注意:身体の安全。
針は想像以上に速く動きます。縫製中は押さえ金の近くに指を入れないでください。針交換や押さえ金交換は、電源を切ってから行います。
注意:マグネットの取り扱い。
pfaff マグネット刺繍枠 などのマグネット式を扱う場合、強い磁力で指を挟む危険があります。勢いよく吸着させないように注意し、医療機器(ペースメーカー等)を使用している場合は磁場の影響に留意してください。子どもの手の届かない場所で管理します。
