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動画を見る:The Crow and The Snake Embroidery Tutorial()
迫力あるカラスとヘビの構図を、わずか3種のステッチで。手が覚える反復と、仕上がりを左右する“順序”がカギです。まずは心を落ち着けて、長めのボーダーで指を慣らしていきましょう。

学べること
- サテンステッチで面を美しく埋める考え方(幅方向/色の重ね方)
 
- チェーンステッチ(リンク法)で外周や大面積を均一に埋めるコツ
 
- ヘビの舌・目、カラスの羽根など、短いストレートステッチの使い所
 
- 4本取りでの糸割り・始末・最終整えの勘所
 
はじめに:キットと3つの基本ステッチ この作品は、サテンステッチ・チェーンステッチ・ランニングステッチの3つで構成されています。動画では最初に長いボーダー部分から入り、手を慣らす方針。反復が続くので、テンションや針目感覚を早めに掴みやすいのが利点です。

準備:布・糸・手元環境を整える
- 明るく安定した作業面で、刺繍枠(フープ)に生地をしっかり張ります。
 
- 糸は4本取り。動画では糸割りの別動画への言及があり、ここでは結果として4本取りで統一して進めています。
 
- 道具は針・フープ・はさみ。特定のブランドや型番には触れられていません。
 
さらに、もしミシン刺繍のアクセサリに関心がある場合は、本記事の手刺し解説とは別領域ですが、装着・固定の選択肢として磁気 刺繍枠やmagnetic フレームといった周辺用具の存在も覚えておくと比較の視点が増えます(本動画は手刺繍の内容です)。

ボーダーを極める:サテン+チェーンの流れ 境界のリーフをサテンで面埋め→下側にチェーンを一列添えて、輪郭をきゅっと締めるのが基本の流れです。長い反復で、針目の姿勢・角度・テンションの一定化を体に馴染ませましょう。

テクニック:葉は“幅”で渡す 細長い葉を長手方向に渡したくなりますが、ここは幅方向(狭い距離)に渡すのが正解。針目の本数が稼げ、形の出し方・密度感ともに安定します。

- 針目は印刷線よりわずかにオーバーさせ、白いプリントを完全に覆います。
 
- 面が乱れたと感じても、解かずに上から数針重ねて整えればOK。糸端は裏で既存の針目の下に通し、軽く押さえてからカット(ノット不要)。

チェーンで“縁取り”を足す 葉の基部に沿ってチェーンを一列。リンク法で、輪が均一につながるようテンションを一定に保ちます。外観をすっきり整える効果が大きく、ボーダー全体の完成度が上がります。

- リンク法では新しい輪を直前の輪に通し、連続した鎖を形成します。
 
- ループの大きさを揃え、弛み・引き締め過ぎを避けるのがポイント。

クイックチェック
- 白いプリント線が完全に隠れているか
 
- サテンの方向が形状に合っているか(幅方向)
 
- チェーンのループサイズとテンションが揃っているか

中央モチーフを刺す:ヘビのサテンと小さなディテール 作品中央では、ヘビ・鳥・樹・花の主要面をサテンで淡々と埋めていきます。動画ではヘビから着手。目の位置はおおまかに把握しつつ、まずはサテンで面を作り、最後に目を上から重ねる順序が紹介されています。

色を重ねるコツ(サテン) 1色目はやや粗に見えても気にしないでOK。2色目を隣接させる際、直前の針穴に“同穴”で入れて境界を整えるのが肝です。これで段差や隙間が目立たず、面が急に締まります。

プロのコツ
- 区画ごとに針目をきっちり寄せ、布目の露出をゼロへ。
 
- 2色目は“前色の針穴”に針を落として、境界の継ぎ目を感じさせない。

細部:舌と目は短いストレートで ヘビの舌はごく短いストレートステッチの集積で表現。目も同様に数針で。いずれも、先に面(サテン)を作ってから上に重ねる順序が作業を簡単にします。

クイックチェック
- 2色の境界に隙間がないか(同穴で処理できているか)
 
- 舌・目の大きさが過剰になっていないか(モチーフのバランス)

カラスを立体的に:尾のチェーン埋めと羽根の表情づけ 尾はチェーンの“平行列”で面埋めします。まず外周2辺を先に通し、狭まる先端に向かって中面を列で埋めると、列数の調整が容易で乱れにくい構成です。

- 外側からはじめ、反対側の外周列を作って“枠”に。
 
- 中央は列を足していき、先端の狭まりには独立の短い列を差し込む。列同士の隙間が出たら、必要な箇所だけ追加して詰める。

羽根の描写:直線+センターのチェーン 翼の羽根は、中心線から放射状に短いストレートを並べ、あとからセンターにチェーンを一列重ねます。これで“羽枝+羽軸”の構造が生まれ、簡潔だが印象的なテクスチャに。

- 直線は左右で等間隔を意識(重なりは多少OK)。
 
- 仕上げにセンターへチェーン一列で芯を作ると、放射の根元が自然に収まります。

仕上げ:糸の処理と見栄えを整える 糸端は裏で既存の針目下に通し、軽く固定してからカット。ノットは不要です。最後に、サテンの薄いところへ数針上乗せして“反射のムラ”を均し、チェーンの弛んだ輪がないか最終確認を。
注意
- 動画では布や糸の銘柄は示されていません(4本取りで進行)。
 
- ランニングステッチは幹の細線などに部分的に見られますが、詳細手順の解説は限定的です。
 
- 別動画で糸割り・チェーン(リンク法)の解説がある旨の言及がありますが、本編には収録されていません。
 
トラブル対処
- サテンの筋(縞)が出る:角度を微調整し、隙間へ数針オーバーラップ。
 
- チェーンのサイズが揃わない:一旦テンポを落とし、1ループずつ同じ引きに。
 
- 白線が覗く:上から短く追加。解くより“足す”が基本方針。
 
クイックチェック
- すべての白プリントが見えなくなっている。
 
- サテンの方向が形状に呼応し、面が滑らか。
 
- チェーンの輪が均一、列同士の隙間がない。
 
プロのコツ
- 長距離の反復(ボーダー)でウォームアップしてから中央へ。
 
- 面を先、ディテールを後――順序が仕上がりの近道。
 
- 手の負担を軽減するため、作業姿勢と光源の位置をこまめに調整。
 
補足:道具まわりの発想を広げる 本記事は手刺繍の手順に特化していますが、周辺知識として、ミシン刺繍の世界ではmighty hoopやsnap hoop monster、dime snap hoopなど着脱・固定を助けるアクセサリが知られています。用途も前提も異なりますが、素材の保持やテンションの考え方に共通する学びがあります(本動画はそれらの使用を扱っていません)。
また、機種別の周辺情報としてbrother 刺繍枠やjanome 刺繍ミシン向けのアクセサリ展開も存在します。手刺繍とミシン刺繍は別分野ですが、“布を安定させ、針目を一定に保つ”という核心は同じです。
コメントから(視聴者の学び) 本動画に付随するコメントは本稿作成時点で確認できませんでした。視聴者がつまずきやすいポイントとしては、(1)白いプリントを覆いきれない、(2)チェーンのテンションが不揃い、(3)色境界の粗さ――が挙げられます。本記事の「クイックチェック」「トラブル対処」を参照し、各所で少数針の“上乗せ”による整えを実践してください。
飾って楽しむ:フレーミングの考え方 動画終盤では、フレーム(既塗装/無塗装)に触れていますが、具体的な手順は示されていません。基本は、(1)刺繍面のしわ伸ばし、(2)裏当ての平滑化、(3)フレームの内寸に合わせたしっかりした固定――の3点。自立額や壁掛け、色フレームで雰囲気は一変します。作品の色(ヘビのブルー、カラスのブラック)と補色・同系で試すと効果的です。
よくある質問(抜粋) Q. 使用するステッチは? A. サテン、チェーン(リンク法)、ランニングの3種です。
Q. 何本取り? A. 全体を通して4本取りです。
Q. 葉の形はどう刺す? A. 幅方向にサテンを渡して針目を稼ぐと形が出やすく、密度も安定します。
Q. 糸の始末は? A. 裏で数針の下を通して軽く押さえ、カット。ノットは不要です。
まとめ ・まずはボーダーで手を慣らす。 ・サテンは“幅方向”“同穴で色境界を整える”。 ・チェーンはリンク法、ループの均一性を最優先。 ・ディテール(舌・目・羽根)は短い直線を“後から”重ねる。 この順序と小さな整えを重ねるだけで、見栄えは確実に上がります。完成まで、どうぞ安心して針を進めてください。
