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タジマSAIでキャップ刺繍を始める
完成キャップ(6パネル、内側にラミネートバッカラム)を用意します。バッカラムが硬い場合でも、蒸気で柔らかくできればフロントの密着感が増し、結果が安定します。さらに安心を取るなら、前面2パネルを広く覆う Tear-away の安定紙を一枚入れましょう。

注意:ラミネートバッカラムを備えた帽子は安定紙なしでもいける場合があると動画では触れていますが、「品質を確実にする」意味で薄手の安定紙を併用する判断は理にかなっています。

プロのコツ:制作現場では、ハンドスチーマーのヘッドにキャップを被せてバッカラムを軽く蒸し、柔らかくしてからフープイングしていました。硬いまま押さえつけるより、曲面に沿う“しなり”が得やすくなります。

クイックチェック:
- 6パネルのセンターシームは、後の芯合わせの基準線になります。
 
- 安定紙はシワなく、パネルの幅いっぱいに。
 
- 汗取りバンドは刺繍範囲の下に潜らないよう折り返す準備を。
 
フープイングを極める
キャップフレームとジグの理解
キャップ用フレームは、クラウンとツバを跨ぐ金属バーがあり、その前縁には“細かなリッジ(ギザ)”がついています。ここをクラウンとツバの境目にまっすぐ当て、前面全体を均一に押さえます。フレーム後方にはラッチ(留め具)とスプリング、背面を張るクランプが用意され、左右の固定でテンションを均します。

フレームはジグに載せて“カチッ”と確実に装着。動作前にラッチがしっかり留まっているか、指先で軽く揺すって安定性を確認しましょう。


注意:ジグ側の赤いセンターラインは、6パネルのセンターシームと一致させる目印。最初の数mmのズレが、仕上がりの“傾き”に直結します。

安定紙を入れて、帽体をたわませずに固定
手順の核心は、汗取りバンドの処理と安定紙の位置決めです。汗取りバンドはきちんと上に折り返し、刺繍範囲の下に紛れ込まないように。安定紙は前面2パネルを余裕もって覆い、下縁がバンドに沿うよう入れます。帽体はノッチに沿わせ、赤線にセンターシームをぴたりと合わせましょう。

アームを戻し、金属リッジが前面の端から端まで“同圧”で当たるよう均一に引いてから、ラッチをロック。最後に背面左右のクランプを差し込み、開放端を下に引いてテンションを確保します。これで前面・背面ともに“ピンと張った”理想状態になります。

クイックチェック:
- 汗取りバンドが刺繍範囲の下に入り込んでいないか?
 
- 赤いセンターラインとセンターシームは一致しているか?
 
- クランプは左右とも確実にホールドされているか?
 
小ネタ:ブランドや機種は違いますが、キャップ作業をよく行う方は磁力で固定できるフープの情報収集を並行して行うこともあります。たとえば磁気 刺繍枠 for tajimaのような選択肢は、別機材でフラット素材を扱う際に効率化のヒントになることがあります(本動画では未使用)。
デザイン読込みとマシン設定
タッチパネルの基本ナビゲーション
Tajima Saiのタッチパネルで、まずは“cap”のフープタイプを選択(ハイライト表示で確認)。つづいてUSBからデザインを読み込みます。精緻にデジタイズされたデザインであれば、内蔵の細針目フィルターには“NO”と回答してそのまま読み込んでOKです。

次に色指定を行います。Saiは最大8色までの同時運用が可能ですが、色数が超える場合は“任意箇所で停止”をプログラムして色替えを挟めます。これにより、意図しない連続縫いを防げます。デザインが帽子に対して上下逆に縫われないよう、仕上がりを想像しながら180°回転を忘れずに。

プロのコツ:完成キャップは“逆さに”フープされる前提です。画面での180°回転はルーチンに落とし込みましょう。
注意:他社機や他形式のキャップフレーム情報を調べる際には、互換や適合の可否を必ず確認してください。たとえばtajima キャップ 刺繍枠という表現で検索すると情報は得られますが、実機・型番の適合は各メーカー仕様に依存します。
回転・開始位置・停止の考え方
回転は180°が原則。開始位置については、一般衣類では“センター・センター”が多いですが、帽子では“最下点”開始が実務的です。ツバとクラウンの境目に最も近い点を起点にすると、トレースで機械背面との干渉を判断しやすく、狙い位置が明確になります。
コメントからの補足:刺繍ソフト(例:Hatch 3)で組み込んだ“ストップ”がSai側でどう扱われるか、という質問がありましたが、動画コメントでは明確な仕様回答はありませんでした(ユーザーガイドでは機械側にも複数種類の“停止”がある旨の記載があるとのこと)。運用時はマシン側での停止指定を優先し、実機で挙動を確認するのが安全です。
関連トピック:磁力フープの話題は本動画には出ませんが、一般的な情報収集としてmighty hoops for tajimaやbarudan 磁気 刺繍枠といったキーワードで、機種別の固定方法や周辺機器の活用事例を把握しておくと、平物の作業設計にフィードバックできます。
仕上がりを左右する配置と実行
配置・サイズの戦略(ツバ干渉を回避)
構造化キャップでは、上端(クラウン上部)で歪みが出やすい点に留意。Saiは高さ2.9インチまで対応可能ですが、帽体次第では制約が発生します。動画では2.6インチ高のデザインを使用。最下点開始に設定し、トレースで機械背面との干渉を確認します。硬いツバが当たりやすい場合は、ツバを“前へ軽く曲げて”クリアランスを確保しましょう。

クイックチェック:
- デザイン高さは帽体の形状とカーブに適しているか?
 
- 上端の歪みリスクを許容範囲に収められているか?
 
- トレース時に抵抗やエラーは出ないか?
 
コメントから:エラー322(Y軸関連)は、トレースで“ツバが近すぎる”抵抗検知により発生するとのアドバイスが記載されています。ツバを曲げてから、デザイン位置を“わずかに上へ”移動し、トレースでエラーが消えるポジションに調整するのが実務解です。
小ネタ:別機種を使う場合や比較検討では、キャップ系の周辺機器もリサーチ対象に。たとえば兄弟機種向けのキャップ 刺繍枠 for brother 刺繍ミシンや、汎用的なmighty hoopといったキーワードで、作業者のレビューや運用上の注意点を追うのも有用です(本動画の主旨外、参考情報)。
トレースとスタートシーケンス
フープ済みの帽子は、斜めに差し込むようにしてから“カチッ”と装着。左右2つ+下部1つのクランプが確実に噛んでいるか再確認します。クロスヘアレーザーは落針位置に高精度で一致するので、センターシーム上に乗ったかを目視でチェック。問題がなければトレースで外形をなぞり、エラーが出ないことを確認してスタート。


プロのコツ:レーザーと実針位置が合っていても、縫い進むにつれて“帽体の張り”が微変動することがあります。スタート前にテンションとクランプの再点検を。
注意:高度な磁力フープや他社用フレーム類は“強力固定=万能”ではありません。素材や帽体構造、縫製仕様によっては、むしろテンション過多が歪みやパッカリングの原因になることがあります。自分のマシン・帽体に合わせた最小限のテンション設計が鉄則です。
仕上げとベストプラクティス
縫い終わったら、ヘッドを前進させてからフレームを外します。背面のクランプ→ラッチの順で解放し、安定紙を帽子内側から丁寧に剥がします。最終チェックでは、位置ズレや目飛びがないか、境目のレジストレーションが揃っているかを確認しましょう。
帽体別の考慮:
- 構造化キャップ(ラミネートバッカラム、クラウンが硬い)では、上方ほど歪みが出やすい。高さは控えめに、ツバ干渉を避ける配置が鍵。
 
- いわゆる“トラッカー”やフォーム入りの単一前面パネル帽では、2.9インチ高まで無理なく狙えるケースが多い(動画の言及)。
 
プロのコツ:
- バッカラムは蒸気で柔らかくしてからフープイング。
 
- 開始点は“最下点”。位置合わせもクリアランス判断もシンプルになります。
 
- レーザー×センターシームで芯合わせをルーチン化。
 
クイックチェック:
- 縫い上がりの清掃(安定紙の除去)は内部から。外観の糸くずも軽く除去。
 
- ヘッド・帽体の干渉跡がないかを確認。
 
参考リンク探索のヒント:機種横断の情報収集には、用語を少し広げてみても良いでしょう。例として磁気 刺繍枠や磁気 刺繍枠 for brotherのような一般語から入ると、各メーカーの互換性や注意点の比較材料が集めやすくなります(本稿はTajima Saiの手順記事であり、他社仕様の詳細は動画では扱っていません)。
よくある質問(動画から)
Q1. いつも安定紙は必要? A. ラミネートバッカラムなら不要な場合もありますが、品質確保のために一枚入れる判断は推奨されています。
Q2. なぜ180°回転が必要? A. 完成キャップは上下逆にフープされるため。画面上で回転しないと、正面から見て上下逆に縫われてしまいます。
Q3. デザイン高さはどこまで? A. Saiは最大2.9インチ。ただし構造化キャップでは歪みや干渉の恐れがあるため、2.6インチ程度など余裕を見た設定が現実的です。
Q4. スチームの利点は? A. バッカラムが柔らかくなり、曲面に沿って強固にフープしやすくなります。
コメントから:現場のヒント集
- 価格情報(まとめ):価格は公式ページ参照との案内。投資判断はサポート体制や用途を含めて検討を。
 
- 側面刺繍:通常のフープイング後、デザイン位置を側面へオフセットして針位置を合わせる方法が紹介されました。
 
- エラー322対処:トレースでツバの抵抗を検知した結果。ツバを軽く曲げ、デザインを少し上げてエラーが消える位置まで調整。
 
- 針番手:一般的には75/11。素材が厚い場合は80/12、細密表現なら70/10など、デザインや生地で使い分けるというユーザー報告がありました。
 
- デザインの“帽子専用性”:キャップサイズに収まるアートワークなら、キャップで良好に走るものはフラットでも走りやすい——との運用思想が紹介されています。
 
最後に:ブランク帽体(素材・構造)は仕上がりの半分を決めます。動画の手順通りに、赤線の芯合わせ、均一テンション、180°回転、最下点開始、トレースの“無抵抗”確認を積み重ねれば、完成キャップ刺繍は確実に安定していきます。補助的な機材や他社フレームを調べる場合も、まずは自分の機械と帽体の“現物合わせ”を最優先にしましょう。
補遺:機材横断の情報収集では、メーカー別の用語も役立ちます。たとえば磁気 刺繍枠 for tajimaや磁気 刺繍枠 for brotherの話題は、同じ“固定”でも方法論が異なることを教えてくれます。逆に、Tajima Saiのキャップワークは本記事のように“ジグ&フレーム+テンション管理+回転&最下点スタート”が王道。流儀を混ぜず、再現性の高いルーチンを固めることが上達の近道です。

