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襟ぐり刺繍のはじめかた
カーブ襟ぐり刺繍は、デザインの美しさと着心地の両立がポイント。今回の動画では、Gildan 18000(コットン50%/ポリ50%)のミディアムに“mama”を弧状に配置して刺繍しています。仕上がりを先にイメージしておくと、半径や回転角の微調整がスムーズです。

まずは素材と道具を確認します。スウェット本体、紙に印刷したデザイン、Soft-N-Sheer(極薄のカットアウェイ)、ティアウェイ、仮止め用のスプレー糊、ピン、そして刺繍機側ではMighty Hoopなどを使います。

テンプレートはEmbrillianceで作成し、必ず印刷して実物上でカーブと位置をチェックしましょう。紙の段階で“しっくりくる”曲率に整えるのが、仕上がりの要です。

紙を丁寧にカットして、襟ぐりのカーブに沿わせます。中心線を折り目で見つけ、テンプレートにもクロスヘアを入れておくと、視認性がぐっと上がります。

襟ぐりに配置して、見た目のバランスを確認。クロスヘアが身頃のセンターと一致していれば、後工程のレーザー合わせが格段に楽になります。

中心点のマークは小さくても明確に。最終的な“見え方”はここで決まります。

Embrillianceでカーブ文字を設計する
Embrillianceを立ち上げ、新規タブで“mama”を入力。BXフォントのLibby Jane(1.5インチ)を選び、円アイコンの「下側に配置」で文字列を円弧に沿わせます。

半径は102mm(約4インチ)を起点に、襟ぐりの曲率に近づくよう微調整。文字同士が自然につながるよう、間隔も少し詰めます。重なり過ぎに注意しながら、スクリプトらしい流れを作りましょう。

最終的にデザイン全体を約75度回転。襟の見え方に合わせて角度を整え、紙にプリントして実物で再確認します。紙段階での微修正が“きれいな仕上がり”を生みます。

ちなみに、Melco環境での実機合わせが前提でも、設計自体の考え方は共通。機種に左右されにくい“紙で見る→数値を詰める→また紙で見る”の反復が、失敗を最小化します。ここで、将来別文字列や長めのフレーズに応用する場合も、半径を変えて紙で確認する流れは同じです。melco 刺繍ミシン
スウェットと安定紙の準備
スウェットは縦半分に折ってセンターを取り、テンプレートをピン留め。襟ぐりの縫い目(シーム)は枠から外れるように“少し下へ逃がす”のがコツです。

安定紙は二層。極薄のSoft-N-Sheerを裏面にスプレー糊で軽く固定し、その下にティアウェイを重ねて、枠外に少し余裕をもたせます。襟ぐりのような伸縮部位では、波打ちやズレを抑えるために二層の安定が効きます。作業中にズレが気になる場合は、ピン留めを見直すか、スプレーの当たりを部分的に増やしましょう。刺繍枠 for melco
注意
- ピンは後で必ず外すので、外し忘れがない箇所にだけ使う。
 
- スプレー糊は軽くで十分。べた付きは後処理の手間になります。
 
- シームが枠内に入ると針折れや段差の原因。必ず回避。
 
襟ぐりをうまく枠入れするコツ
Mighty Hoop(5×5)に、テンプレートと安定紙を重ねた襟元をセット。生地は“張るが、引っ張らない”が原則です。伸ばし張りは波打ちや縮み戻りの原因になります。

枠をマシンに装着したら、テンプレートのクロスヘアとレーザーを一致させ、必要であれば微調整。トレースで外周をなぞって、枠や縫い目に当たらないかを必ず確認します。ピンは刺繍前にすべて外します。Painter’s tapeでテンプレートを仮固定するテクニックも有効です(読者の提案)。mighty hoop 5.5
プロのコツ
- 紙テンプレートは“曲率の見え”を最短で掴む道具。気になるなら半径違いを複数印刷してあて比べる。
 
- 文字間は“つながる直前”まで攻めると、スクリプトらしい滑らかさに。
 
- 視覚的なセンターより“着用時の見え方”を優先。鏡や試着で確認する。
 
刺繍機のセットアップとステッチング
デザインをマシンに読み込み、レーザーで合わせたら、トレースで一周。ニットの上面にはウォーターソルビー(ウォータートッピング)を敷き、ステッチが沈み込まないようにします。

スタート前の最終チェック
- すべてのピンは外したか。
 
- ウォーターソルビーにシワはないか。
 
- トレースで枠に干渉しないか。
 
- オイルや事前整備は済んでいるか(動画では事前に給油済み)。
 
刺繍を開始します。特に序盤と終盤は視認性を高め、糸張力や生地の挙動、トッピングの変化を観察しましょう。必要なら一時停止して整え直します。mighty hoop melco
クイックチェック
- ステッチ中にテンプレートが視界を妨げるなら、テンプレートは外してOK(位置決め後)。
 
- もしズレを感じたら、直ちに停止して再アライン。無理に続けない。
 
- 字間の“跳び”は後処理で刃を入れるため、見落とし箇所がないか把握。
 
仕上げと着用チェック
縫い上がったら、まずはジャンプステッチを安全にカット。ウォーターソルビーがまだ乗っているうちにカットすると、布を誤って切りにくくなります。次にトッピングをはがし、裏側のティアウェイを除去。Soft-N-Sheerはデザインの外周に沿って余分をカットします。

着用テストでは曲率と角度、中心からの距離を確認。動画では“完璧なカーブ”に仕上がった一方、襟の近さについては好みが分かれるという所感。次回に向けて半径や回転角を見直す、良いフィードバック材料になります。
注意
- ウォーターソルビー上での糸切りは安全ですが、刃先の角度に注意し、生地へ触れないように。
 
- ティアウェイは“引き裂きやすい方向”を見極め、刺繍を歪ませない力加減で。
 
プロのコツ
- 紙テンプレートを複数(半径違い)用意し、最も“襟の弧と馴染む”ものを選ぶ。
 
- トレースは必ず実施。想定外の干渉はこの段階でしか回避できません。
 
- 文字列が長いほど、半径は大きめから検証を。視覚的な“息継ぎ”が生まれます。
 
- トッピングを使う場合、縫い始めの固定を忘れず。端がめくれると縫い目が乱れます。
 
- ピンが苦手なら、Painter’s tapeの小片で仮固定する方法も。再現性が高まります。磁気 刺繍枠 for embroidery
 
クイックチェック
- Embrilliance設定:半径102mm前後/回転約75度(目安)
 
- 安定紙:極薄カットアウェイ+ティアウェイの二層
 
- 枠入れ:シームは確実に回避、生地は“張るが引っ張らない”
 
- 合わせ:レーザー+トレース、ピン外し忘れに注意
 
- 仕上げ:トッピング上でジャンプステッチをカット→安定紙除去
 
トラブルシューティング
- 縫い目が波打つ:生地を引っ張り過ぎ。枠入れをやり直し、極薄カットアウェイの当たりを均一に。
 
- 位置がずれる:テンプレートのクロスヘアが曖昧。印刷し直し、中心線をくっきり。
 
- 文字が詰み過ぎ/離れ過ぎ:Embrillianceで字間を微調整。見た目の“線”として滑らかに。
 
- トッピングがシワ:新しい片に交換。必ず平滑に敷く。
 
- 枠に当たりそう:トレースで検知→デザインの回転や位置を少し引く。mighty hoops
 
コメントから:よくある質問に回答
Q. トッピングは何を使っていますか? A. ウォーターソルビー(ウォータートッピング)。ニットでの沈み込みを軽減します。
Q. レーザーのない機種での中心合わせは? A. 紙テンプレートのクロスヘアを活用し、トレースや手送りで外周確認。Painter’s tapeの仮固定も有効です。
Q. どの安定紙を使えば快適? A. 首元の着用感を重視して極薄のカットアウェイ(Soft-N-Sheer)を採用。裏側の見え方を重視するならティアウェイのみという選択も(動画コメントの所感)。
Q. データ書き出しは? A. Embrillianceでdstまたはpesに書き出し、Design Shopへ取り込みという運用例が紹介されています。
Q. iMacでも動く? A. Embrillianceを使用。動画では“無料版”に言及があります(有償版Essentialsの利用者コメントもあり)。melco mighty hoop
Q. Brotherの家庭用単針でも可能? A. テンプレート→枠入れ→トレースの基本は同じ。“穴刺繍(bowl状に丸めて刺す)”の考え方が有効とのコミュニティアドバイスも。brother pe800 刺繍枠 size
応用と展望
文字が長いフレーズや名前でも、半径を適宜大きくし、紙で見てから決める原則は同じ。配置は中央寄りか襟寄りかで印象が変わります。ネックレスとの兼ね合いを考えると、少し襟から離した配置を好む声も。次回の作品に向けて、今回の試着で得られた“見え方”を数値(半径・回転)にフィードバックしましょう。mighty hoops for melco
機種が変わっても工程は普遍です。テンプレートで“見え”を決め、安定紙で“縫い”を支え、トレースで“事故”を防ぐ。この三点を守れば、襟ぐりのカーブ文字はあなたの定番テクニックになります。melco 刺繍枠
