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動画を見る:「How to Create Multi-Color Thread Patterns on Fabric」()
布端の直線も、対角線のジグザグも、一本の“虹色ボビン”で一気に華やぐ。複数色の糸を一つのボビンに巻く——そのシンプルな工夫が、見慣れた布をアートに変えてくれます。

このガイドでは、動画に沿ってマルチカラー糸の作り方から、裾始末、平行ライン、そしてジグザグやクロスハッチまで、連続ステッチで仕上げる要点をまとめました。糸を途中で切らない理由や、幅を一定に保つコツも丁寧に解説します。
■ この記事で学べること
- マルチカラー糸(複数色を同時巻きしたボビン)の作り方
 
- 上糸と下糸の準備、下糸の引き上げ手順
 
- 磁石ガイドで裾幅を一定に保つ方法
 
- 連続ステッチで平行ラインからジグザグへ展開するコツ
 
- 仕上がりを安定させるチェックポイント
 
はじめに:マルチカラー糸で縫うと何が変わる?
複数色の糸を同時にボビンへ巻くと、下糸側に色がランダムに現れ、一本縫うごとに微妙な表情が生まれます。単色の直線縫いと違い、光の角度や布の向きで色の見え方が変わるのが魅力。特に黒い生地の裏面に現れるラインは、コントラストが高く、作品のアクセントになります。
装飾性を高める鍵は「連続性」。動画では、ラインを増やすときも、模様を切り替えるときも、糸は切らずに進める方針が一貫しています。これにより、色の出方が途切れず、不均一な立ち上がりを避けられます。

プロのコツ
- 下糸に色を集約する発想で、上糸はシンプルに(詳しくは「コメントから」を参照)。
 
- 布の向きを大きく変える場面では、停止は必ず針を刺したまま。角が締まります。
 
- 2インチ間隔のガイドは、ジグザグのリズムを安定させるのに有効です。
 
注意
- 動画内では具体的な機種名・テンション設定・ステッチ長は明示されていません。お使いのミシンに合わせ、ハギレで試してから本番へ。
 
- 複数糸の同時巻きでは、テンションが揃わないと絡みやすくなります。巻き直しも選択肢に。
 
道具と材料をそろえる
動画で使用しているもの(明示分):
- ミシン(直線縫い機)
 
- ボビン
 
- 糸(青・紫・緑・黄・ピンク・ライトグリーン・マゼンタ)
 
- はさみ、定規(Stitch University 表記)、チャコ
 
- 磁石(幅ガイドとして使用)
 
- 黒い生地
 
上記に加え、作業台は平らで明るい場所が理想。特にマルチカラーボビンの巻きは、糸の絡みを見逃さないための視認性が重要です。

小物選びのヒント
- 幅ガイド用の磁石は、針板にしっかり密着し、布送りの邪魔をしない形状が扱いやすいです。
 
- チャコはコントラストが出る色(黒布なら白・水色など)を選ぶと、ガイドラインが読みやすくなります。

クイックチェック
- 机まわりは片付いているか? 糸端が引っかかると絡みの原因に。
 
- ハギレは充分あるか? ジグザグの予行演習に使います。
 
マルチカラーボビンの作り方
- 複数色の糸端をそろえて結ぶ
 
最初に複数の糸端をまとめて結び、同時に扱える一本の束にします。動画でも、端を集めて結ぶシーンからスタート。

- ボビン巻き機構に通す
 
結び目から先をボビン巻きのルートへ通し、空ボビンに巻き始めます。複数本が同時に巻かれるため、指先で軽くガイドしながら、乱れを抑えましょう。

- 巻き癖とテンションを整える
 
巻きが偏ったら、いったん止めて整えます。絡みが出たら無理に続けず、早めの巻き直しが結果的に近道です。

注意(巻きの落とし穴)
- 複数本の張力差で、ループができやすくなります。速度は控えめに。
 
- 目視で段差が出るほど偏ったら、早期リセットを。
 
縫う前の下準備:マーキングと糸かけ
- 下糸をセットし、上糸を取り出す
 
マルチカラー糸を巻いたボビンをケースに収め、ミシンに装着。上糸はシンプルな一色で針に通します。針を下ろしてから上げると、下糸が引き上がるので、上糸と一緒に上面へ出して準備完了。

- 裾ラインをまっすぐ整える
 
定規とチャコで直線を引き、はさみで余分をカット。縁がまっすぐだと、マルチカラーの見え方も均一に決まります。

プロのコツ(ガイド) - 針板に磁石を置いて、一定幅をキープ。視線は先(2〜3cm先)を見ると蛇行しにくくなります。

いよいよ縫う:裾始末から装飾ステッチへ
- 裾を折って一列目を縫う
 
折り代を決め、押さえ金の下へ。磁石ガイドに沿って送り、まずは1本目の直線を。下糸のマルチカラーが裏面に現れ、効果の出方を確認できます。

- 連続して平行ラインを増やす
 
糸は切らずに、少しずらして2本目へ。等間隔で数本重ねると、それだけで印象が変わります。ここでも磁石ガイドが威力を発揮します。

連続ステッチの極意:糸を切らない理由
動画では一貫して「まだ続けるなら糸は切らない」方針。これは、再スタート時の色の出方が不揃いになるのを避けるため。複数色が同時に供給される特性上、リセットのたびに束の位置関係が微妙に変わり、ムラの原因になります。連続で運針するほど、色の軌跡は滑らかに繋がります。
加えて、糸始末の数が減るのも利点。装飾ラインが多いほど、糸の始末は仕上がりに影響します。まとめて終端処理できるのは大きな時短に。ここで、関連アクセサリーとして近年人気の磁気 刺繍枠に触れておくと、保持力のあるフレームは布ずれを抑え、連続縫製の精度を上げる一助になります(本動画では使用していません)。
平行ラインからジグザグ・ダイヤへ
- ジグザグの下ごしらえ
 
布に2インチ間隔のガイドを描き、平行ラインに対角線を重ねるイメージで縫い進めます。まずは一方向にジグザグ。見え方を確かめつつテンポよく。

- 反対方向を重ねてクロスハッチ
 
同じ角度で逆方向にも走らせると、ダイヤ状のクロスハッチに。面積が広いほど色のミックスが豊かに見えます。連続ステッチを守り、ライン間の糸切りは行いません。

プロのコツ(角の処理)
- 角は針を下げたまま布を回すと、折れがシャープ。再開時の方向ブレも抑えられます。
 
注意(ブレの兆候)
- 斜め線が波打つときは、速度を落として送りを安定させる。必要に応じてチャコガイドを追加しましょう。
 
仕上げと見せ方
十分に模様を重ねたら、必要に応じて通常の糸へ戻し、仕上げのステッチを整えます。全体の糸端を点検し、緩みがあれば処理。完成した布は、黒地に鮮やかな色が躍るグラフィックピースに。

見せ方のヒント
- 平置きよりも、斜光の入る場所で。糸色の見え替わりが強調されます。
 
- 平行ライン+ジグザグの構成は、トートの外ポケットやテーブルランナーなど、面で魅せる用途に最適。
 
トラブル対処とクイックチェック
クイックチェック
- 巻き:偏り・絡みはないか? 必要なら巻き直し。
 
- 糸道:上糸・下糸とも正しくセットされ、下糸は上面に引き上がっているか。
 
- ガイド:磁石の位置は適切か。押さえや送り歯に干渉していないか。
 
ありがちなトラブルと対処
- ラインが曲がる:速度を落とし、目線は針先ではなく進行方向の目印へ。必要ならガイドを追加。
 
- 目とび・糸緩み:上糸・下糸のテンションを点検。ボビンの向き・装着も再確認。
 
- パターンが歪む:ジグザグの角で止める位置がずれている可能性。針を下げた停止で向きを変える。
 
注意(仕様に関して)
- 動画では、ステッチ長や具体的なテンション数値、使用ミシンの詳細は非公開です。各自の環境でハギレ検証を行い、最適値を見つけてください。
 
発展のアイデア
- 色構成を変える:寒色系だけ、補色同士など、束の配色で印象が大きく変わります。
 
- 模様の重ね方:平行→ジグザグ→逆ジグザグと3層重ねると、密度の高いダイヤ網に。
 
- ガイドの工夫:マス目のチャコガイドを作ると、ステップが安定します。
 
関連トピックの豆知識
ミシン装飾の精度を高めるための周辺アクセサリーとして、磁力で布を固定するフレームやステーションが知られています。たとえば、長尺物の送りを助けるmagnetic フレームや、枠の着脱が容易なsnap hoop monster、機種対応の多いdime 磁気 刺繍枠など(本動画では未使用)。これらは刺繍向けの道具ですが、布保持という観点では装飾直線にも知見が応用できます。対応機種やサイズは各製品の仕様を必ず確認しましょう。
さらに、機種別の話題としてはbrother 刺繍枠やjanome 刺繍ミシンなどメーカーごとのアクセサリー展開があり、創作の幅を広げる選択肢になり得ます。とはいえ、今回のテクニックは標準的な直線縫い機で十分に楽しめるのがポイントです。
コメントから:よくある疑問に回答
質問:ボビンに複数本の糸を入れる場合、上糸はどの太さ?
- 回答:上糸には「通常のミシン糸」を使用したとのコメントが寄せられています(動画コメントより)。上糸は素直な単色で、下糸にマルチカラーを任せるのが扱いやすいでしょう。
 
感想:作品が「とても美しい」「試してみたい」といった声が多く、手軽に導入できるのに見映えが大きく変わる点が支持されています。
おわりに
マルチカラーボビンは、道具を増やさずに装飾性を引き上げる賢い手法。糸を切らずに連続で運針し、ラインを重ね、最後にジグザグでリズムをつける。この3点を押さえれば、日常の布小物が一段と印象的に仕上がります。次のハギレで、まずは一列目の直線から始めてみませんか?
小さなヒント:刺繍分野の知見に触れるなら、対応機種が豊富なmighty hoopや、強力磁気を活かす磁気 フレーム for 刺繍ミシンの情報収集も刺激になります(いずれも本動画外の参考情報)。
