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1 プロジェクトの概要
手縫いでもミシンでも、キルトの最後の「面」を美しく決めるのは配置の正確さです。本ガイドでは、Creative Gridsのスクエアアップ（ファジーカット）定規を使い、刺繍ユニットでキルティングデザインを正確に重ねる方法を紹介します。中心と東西南北を定規でマーキングし、フープ内の目印と一致させるだけで、狙った場所にデザインを刺せます。
この方法は、ピースド（つぎはぎ）トップをシンプルに組んだキルトに特に向いています。ブロックごとに刺繍デザインを落とし込むことで、ステップの確認と品質チェックが容易になり、完成イメージを保ったまま全体を進められます。
1.1 いつこの方法が有効か
- ブロック単位で均一な配置をしたいとき。
- 長尺のフリーモーションではなく、安定した刺繍ユニットでキルティングを進めたいとき。
- フープの内側に定規が入り、マーキングの再確認が必要なとき。
1.2 事前に知っておきたいこと
- 動画では特定機種名は明示されていませんが、Brotherの8×8インチフープとJanomeの9.5×9.5インチフープについて言及があります。
- 刺繍デザインはAnita Good Designsの8インチ角向けを例示しています（デザイン名や番号は未記載）。
- 実際のステッチングのライブ工程は映像にありませんが、仕上がりの表裏とステップの理屈は明確です。
2 準備するもの
- Creative Grids ファジーカット・スクエアアップ定規（フープ内に収まるサイズ）
- Frixionペン（アイロンで消えるタイプ）
- 刺繍ユニット付きミシンと対応フープ（例：Brother 8×8インチ、Janome 9.5×9.5インチ）
- キルトサンドイッチ（トップ、バッティング、裏布）
- 刺繍用の糸（表糸・下糸を同色にそろえる）
- 刺繍用キルティングデザイン（8インチ角に合うもの）
ここで、フープに関連する用語として、一般的に使われる刺繍用 枠固定台という補助ツールもありますが、本手順では必須ではなく、定規とフープの既存目盛りだけで十分に精密な合わせが可能です。
2.1 素材の下ごしらえ
トップ・バッティング・裏布を重ねてしわをのばし、実寸に近いブロックを用意します。動画では「8インチ仕上がりに近い」ブロックに定規を当てていますが、正確な寸法は完成前でも構いません。
2.2 定規サイズの選び方
定規は必ずフープ内に収まるサイズを選択します。大きすぎるとフープの内側でマーキング位置の再確認ができませんし、小さすぎるとブロック全体の基準線が取りにくくなります。
2.3 チェックリスト（準備）
- 定規はフープ内に収まるか？
- Frixionペンは滑らかに書けるか？
- ブロックは平滑で、折り目や波打ちがないか？
- 表糸と下糸は同色を用意したか？
3 セットアップと安全な作業環境
作業テーブルをクリアにし、ブロックを置いても周囲に物が当たらないスペースを確保します。フープは内側の目盛りや矢印（中心・東西南北）を目視できるように明るい環境で扱いましょう。
刺繍フープの種類は多岐にわたりますが、基本的なリング式フープで問題ありません。なお、他用途で広く知られるマグネット刺繍枠は着脱の容易さが利点ですが、本チュートリアルの要点は「定規で付けた基準線とフープ内部の目印を一致させること」にあります。
3.1 センターポイントの理由
刺繍の開始点をデザイン中央に置けると、左右上下の余白が均一になり、周囲のステップリングとのバランスが整います。中心点を正確に記すことが、全ての基準になります。
3.2 東西南北線の役割
多くのフープ内側には、十字のガイドラインが刻まれています。ブロック側にも同じ方向の線を引いておけば、フーピング時に線同士を重ねるだけで歪みを抑えた装着が可能です。
3.3 クイックチェック（セットアップ）
- 作業台はフラットで滑りにくいか？
- フープの目盛りと方向マークが視認できるか？
- 定規の中心穴とガイド線が明瞭か？
4 マーキング：中心と東西南北を正確に出す
ブロック（トップ・バッティング・裏布を重ねた状態）を平らに置き、スクエアアップ定規を上に載せます。ブロックの縫い目や柄に惑わされず、ブロックの辺や完成見込み線に合わせて定規を置くと、視覚的な歪みを回避できます。
4.1 センターを印す
Frixionペンで定規の中心穴から生地に「点」を打ちます。これが刺繍デザインの開始点（ニードルのスタート）に直結します。
4.2 東西南北線を引く
定規のN／S／E／Wガイドに沿って、短い線を生地に引きます。フープの内側にも同様の方向ガイドがあるため、後のフーピングで線を合わせやすくなります。もし線がずれたと感じたら、アイロンで消して引き直せばOKです。
4.3 注意（マーキング）
- 長い線を濃く引きすぎると、消すときにムラ感が出る場合があります。必要十分の長さと濃さで、短い印にとどめましょう。
- ブロックが完全な正方形でなくても、中心点と方向線が一致していれば配置は整います。
4.4 チェックリスト（マーキング）
- 中心点ははっきり見えるか？
- 東西南北の短い線は、定規のガイドと一致しているか？
- 余計な斜め線や、二度書きによるブレはないか？
5 フーピング：ホープ内マーキングとの完全一致
フープにブロックをセットします。先ほどの中心点と東西南北の線を、フープの内側にあるガイドと一致させます。上下左右のテンションは均一に、しわを伸ばしながらセットしてください。
5.1 位置合わせの決め手
- フープの十字ガイドとブロックの線が、重なるかを四方向で確認。
- 針位置を下ろして、中心点と一致するかを目視でチェック。
フープのサイズによっては、スクエアアップ定規自体をフープの中に入れて、もう一度位置の整合を確認することもできます（動画では9.5×9.5インチのフープで実演）。
5.2 もしずれたら
- 無理に引っ張らず、一度緩めてからやり直します。
- フープのガイドと生地の線の両方を見て、微調整を繰り返します。
- 必要に応じて定規を再度フープ内に置き、中心と方向を検証します。
5.3 プロのコツ（フーピング）
たとえば、8インチ角のブロックに合わせる場合は、brother 8x8 刺繍枠のようなフープサイズを想定してデザインを選ぶと、ブロック全体のバランスがとりやすくなります。
5.4 チェックリスト（フーピング）
- 中心点＝針位置は一致したか？
- 東西南北の線はフープのガイドと正確に重なるか？
- 生地は均一なテンションで、歪みや波打ちはないか？
6 ステッチアウト：刺繍ユニットでキルティング
フープをミシンに装着し、刺繍デザインを選択します。動画ではAnita Good Designsのデザインが、8インチブロックに適した例として示されています。
表糸と下糸は同色を推奨です。裏側に下糸の色が出ても目立たず、全体の印象が引き締まります。
6.1 デザイン選びのポイント
- ブロック中央から広がるモチーフなら、中心点合わせが最大の力を発揮します。
- 周辺を細かなステップリング（もしくはメフィル状）で囲むと、中央の模様が立ち上がって見えます。
6.2 縫い進めの目安
- 最初の外周がブロックに均等にのっているか。
- ステップリングの目がつまりすぎていないか。
- 模様の太い線・細い線の対比が自然か。
6.3 クイックチェック（ステッチアウト）
- 表面：糸割れ、ループ、目飛びなし。
- 裏面：テンションが均一で、糸の引きつりがない。
- 全体：中心からの広がりが均等で、角のバランスが取れている。
6.4 注意（糸とテンション）
下糸を別色にすると、裏で目立つことがあります。均一な見栄えを狙うなら、上下糸は同色にそろえましょう。テンションは実行前に小さな試布で表裏をチェックし、必要に応じて微調整します。
7 仕上がりチェック：表と裏を確認する
出来上がったブロックをフープから外し、表と裏を確認します。表ではステップリングと主模様の線の太さのコントラストが自然であること、裏では糸調子が均一であることがポイントです。裏布の色と糸色の対比で、キルティングのトレースが美しく見える場合もあります。
また、各ブロックを同じ手順で刺すことで、配置の一貫性が保たれます。大ブロックを先に刺してから、小ブロックに移る順で進めると効率的です。
7.1 プロのコツ（裏面の見せ方）
裏地が濃色の場合、やや明るい糸色を選ぶとコントラストが映えます。ただし、全体の統一感を優先したいときは上下とも同色でまとめるのが無難です。
8 仕上げと次の一手
本チュートリアルでは、最後に「溝キルト（ditch）」などをウォーキングフットで加える想定が示されています。主模様を刺繍ユニットで入れた後、残りの直線補強をウォーキングフットで行うと、面の落ち着きが増します。
また、定規とフープの合わせによる成功体験が得られたら、ブロック配置やデザインのバリエーションを広げるのもおすすめです。用途に応じて、着脱が容易な刺繍ミシン 用 マグネット刺繍枠を使う場面もありますが、位置決めの精度は本手法（定規＋フープガイド一致）で十分に達成できます。
8.1 チェックリスト（仕上げ前）
- すべての大ブロックは刺し終わったか？
- 小ブロックの配置にも同じ基準線が使われているか？
- 必要ならウォーキングフットでの直線補強を行う準備はできているか？
9 トラブルシューティング
症状：刺繍が中心からずれている
- 可能原因：センター点と針位置が一致していない／フープ内ガイドと生地の東西南北線がずれている
- 解決：一度フープを緩め、線とガイドを再度重ねる。必要なら定規をフープ内に置き直して検証。
症状：ステッチが波打って見える
- 可能原因：フーピング時のテンション不均一／生地が斜めに引っ張られた
- 解決：フープをかけ直し、四辺のテンションを均一に保つ。生地を押し込まず、水平に整える。
症状：裏で下糸が目立つ
- 可能原因：上下糸の色差が大きい
- 解決：上下糸を同色にする。必要に応じて色を揃えたスプールを準備。
症状：糸調子が不安定
- 可能原因：テンションが合っていない／デザインの密度に対して糸や設定が不適合
- 解決：小片で試し縫いし、上糸テンションを微調整。過度な密度は避けるか、速度や針番手（動画では未言及）に配慮。
なお、固定の補助具があるとフーピングの再現性が上がる場合もありますが、今回の方法では定規とフープのガイド一致が核です。一般に使われるhoopmaster 枠固定台のような治具は、量産や反復作業のときに検討するとよいでしょう。
10 コメントから
今回のソースには具体的なコメントは掲載されていませんでしたが、実務上よくある質問に準拠して補足します。
- 定規サイズは？：フープ内に収まることが最優先です（動画では9.5インチ定規が大きいフープ内に収まる例あり）。
- デザインは？：動画ではAnita Good Designsの8インチ角に合うものを使用（デザイン名は未記載）。
- どのフープでもよい？：基本は「フープ内ガイドがある」ことが条件です。定規で付けた線と一致できれば機種は問いません。
最後に、フープやアクセサリーの選択肢として、着脱性重視でbrother 刺繍枠や他社互換枠を比較検討するケースもありますし、磁力で固定するmighty hoop マグネット刺繍枠や、ブランド専用のjanome 刺繍ミシン 用 マグネット刺繍枠を活用する場面もありますが、本記事の核となる手順はあくまで「定規での基準づくり」と「フープガイドとの一致」です。ここが揺るがなければ、安定した結果が得られます。