Table of Contents
1 プロジェクトの概要
PaintStitchは、写真やJPEG画像、スキャン画像、手描きのイラストなどを、ステッチの集合として再構成し、独特の風合いを持つ刺繍アートへと変換する機能です。プレゼンターは花の写真を集めたパネル、大学マスコットのキャラクター、さらにヤギのペインティングや子犬の写真など、多様なソースを取り込み、プロパティを調整しながら刺繍デザイン化していきます。
1.1 何ができるのか(効果と適用範囲)
- 写真・絵・JPEGを取り込み、PaintStitchとして変換。
- パレット(糸色セット)やブレンディング、明るさ・コントラストなどを変更して見栄えを最適化。
- 5.5x5.1インチ(SQ14)や5x7インチなど、枠サイズに合わせてリサイズ・センタリング。
- 実演例では、花の写真を並べた折りたたみポーチのパネルや、キャラクター、ヤギの絵、子犬の写真が使用されています。



1.2 いつ使うべきか/向いていないケース
- 写真の質感や陰影を“糸の走り”として表現したいときに最適です。
- 細かい文字や均一なベタ塗りを忠実に再現したい用途には向かない場合があります(本動画ではその是非に触れていません)。
1.3 本ガイドの前提
- Janome Artistic Digitizer V1.5の基本操作に慣れていること。
- 画像ファイルをPC上の分かりやすい場所に保存していること。
クイックチェック:この記事はソフト操作に特化しています。ハード側(生地・芯材・枠の固定)は各自の環境に合わせて選定してください。例えば一般的に使われる マグネット刺繍枠 は便利ですが、本動画ではハード面の運用は扱っていません。
2 準備するものと前提条件
- ソフトウェア:Janome Artistic Digitizer V1.5
- 画像ファイル:JPEG(写真・絵・スクリーンショット等)
- 前提スキル:ソフトの基本的なUI理解、ファイルブラウズ操作
2.1 画像の準備
取り込み前に、不要部分を切り抜いておくと仕上がりがすっきりします。動画ではヤギの画像で「下側を少しトリミングすればもっと良かった」と示唆されています(実演では事前クロップは未実施)。
2.2 作業フォルダの整理
ブラウズで素早く辿れるよう、画像は一箇所にまとめておくのが安全です。PaintStitchは色数やブレンディングを変える度に見え方が大きく変わるため、オリジナル画像のバックアップは必須です。
チェックリスト(準備):
- 画像はすぐに開ける場所に保存したか?
- オリジナル画像のバックアップは取ったか?
- 仕上げたい枠サイズ(例:5x7)を決めたか?
- ハード面の固定方法(例:刺繍用 枠固定台 など)を各自で用意したか(本記事では詳細未解説)?
3 ワークスペースのセットアップ
PaintStitchの効果を見やすくするため、枠やグリッド表示、プロパティパネルの表示を整えます。動画では、枠が視認を妨げる場面で「View」から枠表示をオフにする使い方も触れられています。
3.1 枠サイズの初期設定
花の例ではSQ14(5.5x5.1インチ)では小さかったため、RE18(5x7)に変更してから作業しています。枠が小さいと、取り込んだ直後にデザインがはみ出しやすく、誤解を招きます。先に枠を合わせておくと視覚的な判断が容易です。
3.2 表示の切り替え
犬の例では、枠表示を一時的にオフにして全体の見え方を確認し、その後再度枠を表示して位置合わせを行っています。見やすさを優先して表示を切り替えるのがコツです。
チェックリスト(セットアップ):
- 枠サイズは完成サイズに合っているか?
- プロパティパネルを開ける状態か?
- 必要に応じて枠表示のオン/オフを切り替えられるか?
4 手順:画像をPaintStitchに変換する
ここからは3つの作例(花の絵→ポーチパネル、ヤギのペインティング、子犬の写真)に沿って、読み込みから基本調整までの流れを整理します。

4.1 画像を読み込む
1. ソフト内の「Browse」から画像フォルダを開く。

- 画像を選択すると「Artwork Image Load」ウィンドウが開く。
3. 「Open as PaintStitch」を選ぶ(ここが肝心)。

期待される結果:画像がPaintStitchとしてワークスペースに配置され、グリッドや枠に対してサイズと位置が確認できる状態になる。

注意:クリップ画像などを取り込むと、たまに非常に大きなサイズで読み込まれることがあります。最初に枠へ収まるか確認しましょう。
4.2 花の絵:パレットとブレンディング、明るさ/コントラスト
- プロパティパネルでパレットを選択(例:JANOME)。色は最大15色にレンダリングされます。

- ブレンディングをLow/Full/Normalで比較(動画では最終的にNormalを好むとコメント)。


- 明るさを+20%にすると淡くなりやすい例、コントラストを+20%で色が際立つ例が示されます。
プロのコツ:数値は一気に動かさず、小刻みに変えて見た目を比較しましょう。戻したい場合はUndoが素早く確実です。
4.3 ヤギのペインティング:取り込みとコントラストの強調
- 「Open as PaintStitch」で取り込み、コントラストを上げて色のキレを出す。
- 下部の不要部分は事前にトリミングしておくとよりすっきりします(動画では提案のみで未実施)。


クイックチェック:コントラストを上げたら、花や輪郭の色域がシャープに出ているか拡大表示で確認しましょう。
4.4 子犬の写真:スムージングとサイズ調整、5x7枠への配置
- 取り込み後、見やすさのため枠表示をオフにして全体を把握。
- スムージングをオンにして質感を整える(カールした毛並みが立って見える)。
- コントラストや明るさを少しずつ調整。
- 角のハンドルで等比のまま縮小し、5x7枠に合わせて中央へ配置。



チェックリスト(変換・基本調整):
- 画像は「Open as PaintStitch」で開けたか?
- パレット・色数(最大15色)・ブレンディングを比較したか?
- 明るさ・コントラストは小刻みに変更し、Undoで戻せるように進めたか?
- 枠サイズに収まり、中央に配置できているか?
5 最適化:見栄えを磨く調整ポイント
PaintStitchの見た目を左右するカギは、パレット・ブレンディング・明るさ・コントラスト・スムージングの組み合わせです。動画で示された挙動を、目的別にまとめます。
5.1 パレットと色数
- パレットを切り替えると、同じ画像でも色の割り当てが一変します。素早く雰囲気を変えるなら、まずパレットを試すのが効果的です。
- PaintStitchは最大15色にレンダリング。色数の絞り込みは見た目の簡潔さと縫い時間のバランスに影響します(花の例で約94,000針)。
注意:特定の1色だけを入れ替える操作は動画では解説されていません。見た目の変更は主にパレット切替やブレンディング・コントラストで行っています。
5.2 ブレンディングと階調
- Low:彩度や濃淡が弱く、やや淡い見え方。
- Full:濃淡が強調され深みが出る一方、被写体によっては強すぎに感じる場合も。
- Normal:動画の作例では汎用的で好まれていました。
クイックチェック:ブレンディングを切り替えたら、肌や花弁、毛並みといった微細な質感の出方が自然かを拡大して確認します。
5.3 明るさ・コントラスト・スムージング
- 明るさ:上げすぎると“白っぽく”なります。+20%で淡さが強くなる例が示されました。
- コントラスト:+10~20%で色の輪郭やエッジが締まり、主題が際立ちます。
- スムージング:毛並みなどの細部をなめらかに見せるのに有効。子犬のカールがはっきり見える例がありました。
プロのコツ:調整前後のスクリーンショットを段階的に保存しておくと、後から比較してベストな版を選べます。必要なら、外部で事前クロップした画像を複数パターン用意すると検証が速くなります。
参考:枠合わせの段階はソフト側操作の範囲ですが、実機の固定は各自の設備に依存します。一般に 刺繍ミシン 用 マグネット刺繍枠 を選ぶと厚手生地でも抑えやすいケースがありますが、本動画では実機運用は扱っていません。
6 仕上がりチェック
最適化が進んだら、以下の観点で「刺す前」に確認します。
- 主体の輪郭:コントラスト過多でギザついていないか、逆に弱すぎてぼやけていないか。
- 色のまとまり:15色レンダリングの中で主役色がきちんと“読める”か。
- ディテール:スムージングの効果で本来の質感が失われていないか(毛並み、花の縁など)。
- 枠とサイズ:5x7などの枠内に収まり、中心に配置されているか。
クイックチェック:花や毛並みなど、細部を200%程度に拡大して、階調の連なりが不自然に途切れていないかを目視しましょう。
7 完成イメージと運用
動画では、花を並べたコットンパネルを合皮の折りたたみポーチに仕立てた例が紹介され、キャラクター(Goldy the Gopher)やヤギの絵、子犬の写真も美しくステッチ化されています。PaintStitchの長所は、糸の重なりによる独自のテクスチャ表現です。刺しゅう時間はデザイン次第ですが、花の例で約94,000針と示され、時間はかかるものの「美しい結果」と評価されています。
運用のヒント:本記事はソフト操作に限定しますが、実機での枠選定は環境により異なります。例えば5x7枠相当で作る場合、他社機の環境でも“5x7相当の枠”が選ばれることがあります(製品名の詳細は動画では扱っていません)。必要に応じて、作業台には hoopmaster 枠固定台 のような固定支援ツールを用意しておくと位置合わせが安定します(本動画では未解説)。
8 トラブルシューティング・リカバリー
症状→原因→対処の順でまとめます。
- 症状:取り込んだら枠から大きくはみ出した。
- 原因:元画像が大きい/初期枠が小さい。
- 対処:先に枠サイズを目的の大きさに変更し、等比で縮小して中央へ配置。
- 症状:色が淡く、のっぺりして見える。
- 原因:ブレンディングがLow、または明るさを上げすぎ。
- 対処:ブレンディングをNormal/Fullへ。明るさを下げ、コントラストを少し上げてアクセントを付ける。
- 症状:色が強すぎて粗く見える。
- 原因:コントラスト上げすぎ、ブレンディングFullが強く出ている。
- 対処:コントラストを下げ、ブレンディングをNormalへ戻す。必要ならスムージングの度合いを見直す。
- 症状:画像の余白や不要物が邪魔。
- 原因:取り込み前にクロップしていない。
- 対処:外部でトリミングしてから再取り込み。作業時間の短縮にも有効。
- 症状:微調整のやり直しが煩雑。
- 原因:段階的な保存をしていない。
- 対処:調整ごとに複製保存し、AB比較しながらベストを選ぶ。迷ったらUndoで戻す。
注意:特定の1色のみ差し替える具体操作は本動画で扱っていません。見た目の試行はパレット切替でのプレビューが手早く、効果の傾向を掴みやすいです。
9 コメントから
色の置き換えに関する質問が寄せられています。動画では「パレットの切り替え」「最大15色へのレンダリング」「ブレンディング/明るさ/コントラスト」の調整が解説されており、特定の1色のみを直接置き換える手順は示されていません。見た目の差を素早く確認するには、まずパレットを切り替えて雰囲気を比較するアプローチが有効です。
—
補足:この記事はソフト側の操作に限定し、実機での刺しやすさや固定方法は扱っていません。例えば5x7枠を使う場面で、他社環境のアクセサリー(janome mc400e 刺繍枠 や brother 5x7 マグネット刺繍枠、bernina マグネット刺繍枠 など)を利用するケースもありますが、これらは一般論の紹介に留めます。実機での固定・位置合わせはご使用の設備基準に従ってください。また、必要に応じて マグネット刺繍枠 や 刺繍ミシン 用 マグネット刺繍枠、補助治具として hoopmaster 枠固定台 を活用する選択肢があります(本動画では未解説)。
