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開梱から迷わない:Husqvarna Viking Designer EPIC 2 初期セットアップ実務ガイド
Designer EPIC 2(ローズゴールド)のようなハイエンド機を開梱すると、ワクワクと同時に「最初でつまずきたくない」という緊張感も出てきます。最初の1時間で焦って進めると、部品の外し忘れ、旧機種のケーブル混同、原因不明の作動音、クラウドログインの戸惑いなどが重なり、結果的に遠回りになりがちです。
ここでは動画の流れに沿って、初期セットアップを“作業手順書(SOP)”として組み立て直します。単なる開梱レビューではなく、業務用刺繍の考え方(「最初に基準を作る」「輸送部材は資産として保管する」「症状が出たら切り分ける」)で、針が動く前にやるべき確認を明確にします。
古い husqvarna 刺繍ミシン から乗り換える方は、この手順を「標準手順」として一度通しておくと、後々のトラブル切り分けが一気に楽になります。

デザイン変更点:画面まわりの形状と作業性
最初に目につくのは、タッチスクリーン周辺の形状です。従来機では、角ばった画面ユニットが作業スペースに張り出している印象がありましたが、EPIC 2 は角が丸くなり、画面ユニットがやや奥まった配置になっています。
これは見た目だけでなく、作業中の「手の動線」を邪魔しにくい設計です。

「手が通るゾーン」を確保するという考え方
マシン刺繍では、枠張りや糸切り(ジャンプ糸の処理)などで、針周りに手を入れる場面が頻繁にあります。
- 従来機で起きがちだったこと: 画面が前に出ていると、手や手首が当たりやすく、意図せず画面に触れて設定が変わる/一時停止する、といった“うっかり”が起きやすい。
- EPIC 2 の変化: 画面が奥まることで、針周りに手を入れるときのクリアランスが増え、余計な緊張が減ります。
チェックポイント: 椅子に座って、糸通し(ニードルスレダー)に手を伸ばしてみてください。手首が当たりにくい感覚があれば、厚物(キルトサンド、ジャケット等)を扱うときの安心感につながります。

補足: 動画に出てくるローズゴールドのメタリック糸は見栄えが良い一方、一般的にメタリック糸は糸道のわずかな抵抗でも切れやすい傾向があります。初期動作確認の段階では、まずは標準的な糸で「基準」を作り、機械側の状態確認を優先すると切り分けがしやすくなります。
安全最優先:赤い輸送用クランプ(固定具)を外す
コンセントに挿す前に、輸送時の固定具(赤いクランプ)を必ず確認します。輸送中に針棒や可動部が動かないように固定するための部品で、外し忘れは初期トラブルの典型です。
手順1 — 針周りの赤いクランプを外す
動画では、針周り(針棒付近)に付いている赤いクランプを外しています。刺繍ユニット側のクランプとは別物として扱ってください。
作業:
- 針棒/押さえ周辺にクリップ状で付いている赤い樹脂パーツを探します。
- 機械から“まっすぐ外側へ”やさしく引いて外します。
- 音の確認: 外れるときに軽い「カチッ」という感触が出ることがあります。
- 見た目の確認: 破損(欠け・ヒビ)がないかを確認します。


注意: 安全・機械保護の観点から、赤い輸送用クランプが付いたまま電源を入れないでください。 起動時に機械が初期位置合わせ(ホーム動作)を行う際、固定具が抵抗になって異音や負荷の原因になります。まずは「固定具が外れている」状態を作ってから通電します。
「捨てない」ルール:輸送部材は資産として保管
動画内でも、刺繍ユニット用の赤いクランプの存在に触れています。これらは処分せず、必ず保管してください。
現場のコツ(保管の型):
- 厚手のチャック袋にまとめる
- 袋に「EPIC 2 輸送用クランプ」とラベルを貼る
- アクセサリー類の引き出し奥、または刺繍ユニットの持ち運びケースに入れる
将来、点検や移動(教室・ディーラー持ち込み)が発生したとき、輸送固定具があるかないかで安心感が変わります。
電源と接続:ケーブル管理を最初に固める
手順2 — ケーブルの「混同防止」
古い機種の電源コードやフットコントローラーを、そのまま流用したくなることがありますが、動画でも「混ぜない方がよい」という趣旨でラベリングしています。複数台運用では、混同がトラブルの入口になります。
作業:
- ラベル(テープでも可)を用意
- 電源コードのプラグ側に「EPIC 2」
- フットコントローラーのケーブルにも「EPIC 2」

切り分けの考え方: 複数の husqvarna viking 刺繍ミシン をお持ちの場合、フットコントローラーの取り違えは「速度が効かない/反応が変」などの症状に見えやすいので、最初に物理的に分けておくのが安全です。
手順3 — アクセサリートレー(ツールボックス)を点検する
動画では、スライド式のアクセサリートレー(ツールボックス)を外して中身を確認しています。移動時には便利ですが、日常的には「外さないと取り出せない」ため、運用によっては別の収納の方が楽、という話も出ています。


現場のコツ: よく使うものは、機械の横に小箱(“取り出し箱”)を置く運用にすると、作業が止まりにくくなります。
チェックポイント(開梱直後の物理確認):
- 針周りの赤い輸送用クランプを外した
- 刺繍ユニット側の輸送固定具も確認した
- 電源コードを「EPIC 2」とラベルし、差し込みが確実か確認した
- フットコントローラーを使う場合は接続した
- 送り歯周辺にテープや梱包材が残っていない
- ボビン周りに異物がないか目視した(新品でも梱包くずが入ることがあります)
ディーラーのテスト縫いサンプルは「基準」として保管
動画には、ディーラーが動作確認したテスト縫いの布サンプルが出てきます。
考え方: これは「その時点で正常だった」基準資料です。後日テンションや糸調子で悩んだとき、まずこのサンプルと比較すると、原因が「機械」なのか「糸掛け/針/素材条件」なのかを切り分けやすくなります。

電源投入:最初の起動は“感覚で診断”する
手順4 — 初回起動
電源ボタンを押したら、見た目と音を確認します。
- 見た目: 作業灯(LED)が明るく点灯し、画面に「Designer EPIC 2」のロゴがはっきり表示される
- 音: 初期動作のモーター音が滑らかに聞こえる

トラブル切り分け:起動直後の「高速回転音」
症状: 起動直後に、速い回転音がして驚く。
原因(動画の例): ボビンワインダーが何かの拍子に作動側に入っている。
対処: ボビンワインダーの状態を確認し、解除側に戻します。

補足: 新品は操作部が固めで、開梱中にレバー類が当たることがあります。まずは「機械スイッチ類の状態確認」を優先すると、落ち着いて対処できます。
mySewnet とファームウェア:最初に“同期と更新”を済ませる
手順5 — mySewnet へログイン
EPIC 2 は mySewnet 連携が前提の運用になりやすく、動画でも起動後すぐにログイン画面が出ています。
作業:
- Wi-Fi に接続する
- mySewnet のメールアドレスとパスワードを入力してログインする
- 画面上のクラウド表示が有効になっているか確認する


ファームウェア更新:接続後に促されたら実行
動画では、Wi-Fi 接続後にファームウェア更新の案内が出て、そのまま更新が走っています。
運用ルール: 初期セットアップ段階では、更新が提示されたら先に完了させてから次へ進む方が、後の不具合切り分けが簡単です。更新中は電源を切らず、完了まで待ちます。
最初の一針に向けた判断:スタビライザーの選び方(切り分け用)
起動・更新が終わったら、すぐに本番作品に行きたくなりますが、最初は「条件を固定して基準を作る」方が結果的に早いです。ここでは刺繍の基本として、素材に対するスタビライザー(刺繍用下地)の考え方を整理します。
判断の目安:スタビライザーと素材
- IF 布帛(コットン、デニム等) AND 低密度デザイン(線中心):
- THEN ティアアウェイ(破れるタイプ)
- IF 布帛 AND 高密度デザイン:
- THEN カットアウェイ(中厚)
- IF 伸縮素材(Tシャツ、ジャージ、フーディー等):
- THEN カットアウェイ(基本的にこちら)
- IF 毛足・凹凸がある素材(タオル、ベルベット、フリース等):
- THEN 下:カットアウェイ/上:水溶性トッパー
チェックポイント(ソフト・システム側):
- Wi-Fi 接続を確認した
- mySewnet にログインした
- ファームウェア更新が完了した(必要に応じて再起動)
- テスト用素材に合う針を入れた
- 上糸は一度かけ直した(押さえを上げて糸掛けするとテンション部に入りやすい)
生産性のボトルネック:枠張り(フーピング)をどう安定させるか
機械設定が整ってくると、次に効いてくるのが「枠張り」です。付属の刺繍枠でも十分作業できますが、量産や厚物、デリケート素材では、枠張りが品質とスピードの差になります。
一般的に起きやすい課題:
- 枠跡: デリケート素材でリング跡が残る
- 手首の負担: ネジ締め枠を繰り返すと疲労が溜まる
- ズレ・抜け: 厚物で外枠から浮きやすい
道具の導入判断(段階的)
- レベル1:安定性 — 刺繍用 枠固定台 を使うと、下枠を固定した状態で位置合わせしやすくなり、枠張りの再現性が上がります。
- レベル2:スピードと負担軽減 — 作業負担が大きい場合は husqvarna viking 用 マグネット刺繍枠 のようなマグネット刺繍枠を検討する流れになります。マグネットの保持力で挟み込むため、ネジ締めの反復が減り、素材によっては枠跡のリスクも下げやすくなります。
- 探し方の目安: EPIC 2 のアーム接続に合うものを探す際は husqvarna viking 用 刺繍枠 のような検索語が役立ちます。
注意: マグネットの取り扱い
マグネット刺繍枠は保持力が強いタイプがあります。
* 安全面: 指を挟まないよう、着脱時は指先の位置に注意します。
* 周辺物: クレジットカード等の磁気に影響するものは近づけないようにします。
最終チェック:初回運用の「GO」判定
最後に、最初のデザインをスタートする前の確認です。
チェックリスト(運用開始前):
- スタビライザー: 素材に合うものを選んだ
- 枠張り: たるみがなく、ただし伸ばし過ぎていない
- 針: まっすぐで、奥まで確実に差し込まれている
- 糸掛け: 押さえを上げて上糸を通し、引いて引っ掛かりがない
- ボビン: 正しくセットされている
- 可動域: 枠が当たる物(壁、カップ等)が周囲にない
この手順で進めれば、単に「開梱した」ではなく、刺繍作業に耐える“作業環境としてのEPIC 2”を立ち上げた状態になります。
次のステップとして、作業効率を上げたい方は ミシン刺繍 用 枠固定台 や、用途に合うクランプ方式(マグネット刺繍枠など)を検討するのが自然な流れです。
