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マグネット刺繍枠で「測定」が重要になる理由
現場で一番コストが高いのは、針折れでも糸切れでもなく——届いた箱を開けた瞬間に「新しい枠が1つも機械に付かない」と気づく、あの沈黙です。
従来のチューブラー枠(一般的な樹脂フープ)から、MaggieFrame や Sew Tech のようなマグネット刺繍枠へ切り替えるのは、生産性の面で合理的です。枠跡(枠焼け)を抑えやすく、枠張りの手数も減らせます。ただし、発注はTシャツを買う感覚ではなく、機械側アーム(パンタグラフ)との適合確認が必要な“互換性の選定”です。
刺繍枠の採寸で守るべき「黄金ルール」はこれだけです。
金具ブラケットの外端〜外端(Outer-Bracket to Outer-Bracket)で全長を測る。
内枠は測りません。樹脂部分も測りません。縫製可能範囲(刺繍エリア)も関係ありません。測るのは金具(ブラケット)です。 この寸法が合わないと、パンタグラフに確実に固定できず、最悪の場合は枠が棚の飾りになります。

機械互換がズレると何が起きる?
刺繍機のパンタグラフ(駆動アーム)は幅が固定です。マグネット刺繍枠のブラケットが短ければクリップに届かず、長ければアーム内に収まりません。数mmの違いでも「装着できない/ロックしない」原因になります。
マグネット刺繍枠への切り替えは、事業拡大の流れでよくある“次の一手”です。
- レベル1: 標準枠で枠張りを速く・安定させる
- レベル2(道具の更新): マグネット刺繍枠で枠跡を抑え、作業負担を下げる
- レベル3(設備の更新): 単頭・単針の限界を超え、多針刺繍機(例:SEWTECH)など量産向けへ移行する
レベル2では、精度がそのまま段取り時間と返品コストに直結します。だからこそ、最初の採寸が重要です。
「外端〜外端」を外さないための測り方
正確に測るコツは、目測ではなく“基準点を決める”ことです。
- 目で確認: 刺繍枠の左右に付いている金具ブラケットだけを見る(ここが接点)
- 指で確認: 金具の張り出し(フランジ)をなぞり、一番外側の端を探す
- メジャーで測る: 左の外端にメジャーを引っ掛け、右の外端までたるみなく一直線に引く

注意(安全): 古い枠の金具ブラケットは、摩耗で微細なバリや尖りが出ていることがあります。指で触れるときは強くこすらず、軽く確認してください。必要ならウエスで拭いてから測ります。
Tajima の刺繍枠を測る
Tajima は業務用刺繍の基準になりやすいブランドです。動画では、標準的なチューブラー枠をテーブルに置き、外端〜外端で測る手順が示されています。

標準サイズ(355mm〜545mm)
メジャーで出た数値は、次の“定番値”のどれかに近いはずです。
- 355 mm(約14インチ)
- 395 mm(約15.5インチ)
- 495 mm(約19.5インチ)
- 545 mm(約21.5インチ)
現場のコツ: 356mm や 354mm のように前後するのは普通です。金具の曲げや個体差、当て方で誤差が出ます。基本は、上の定番値に最も近い値として扱います。
もし マグネット刺繍枠 tajima 刺繍ミシン 用 を検討中なら、まず手元のチューブラー枠(樹脂フープ)をこの方法で測ってください。購入するマグネット刺繍枠は、いま問題なく使えている枠と同じブラケット幅である必要があります。
許容差(1〜2mm)の考え方
動画内でも、1〜2mmの差は問題ないと明言されています。
- 理由: 金具加工の個体差、長年の使用によるわずかな反り、メジャーの当て位置
- 判断: 496mm と出たら 495mm 相当として選ぶ、という考え方でOKです。
チェックポイント: メジャーの開始点・終了点が、左右ともに金具ブラケットの外端になっているかを必ず確認します。
Brother/Baby Lock は「測らない」で選ぶ
ここは初心者がつまずきやすいポイントです。Brother/Baby Lock 系は、他ブランドのように“長さを測って当てはめる”より、機種(モデル)で選ぶのが基本になります。

PR と VR/Persona 系の考え方
結論:メジャーは使いません。
Brother PR(多針)、Brother VR、および Baby Lock の同系統機では、互換はミリ単位の全長ではなく、機種名(モデル番号)で決まります。
- 例: PR655/PR1000 など
- やること: セレクターで「Brother PR 系」を選び、対応サイズを選択する
無理に測ると「360mm みたいな中途半端な数値」に見えて不安になりますが、そこで“使えない”と判断しないでください。選び方が違うだけです。
マグネット刺繍枠 babylock 刺繍ミシン 用 を探している場合も同様に、まず機種シリーズを確認し、用意されている該当オプションを選択します。
Brother/Baby Lock で測定が不要な理由
Brother/Baby Lock は装着部が独自設計で、メーカー側がその機種に合わせたブラケット形状を前提にしています。つまり、ユーザーが全長を測って合わせ込むより、モデル指定で適合させる運用になっています。
チェックポイント: 本体表示やラベルで PR/VR などのモデル表記を確認します。
Ricoma ユーザー向け:標準枠か EM-1010 かを先に分ける
Ricoma は最初に分岐があります。標準的なチューブラー枠で測るタイプか、EM-1010 のように“測らずに選ぶ”タイプかを見極めます。

標準チューブラー枠 vs EM-1010
A:標準タイプ(一般的な Ricoma) この場合は他ブランド同様、外端〜外端で必ず測定します。
- 金具がしっかりした鋼材のことが多いので、外端の基準を取りやすい反面、当て位置のズレに注意します。

B:Ricoma EM-1010 動画では、EM-1010 は長さ測定が不要とされています。
- ルール: 測らない
- やること: 選択メニューで「Ricoma EM-1010」を選ぶ(このモデルは前提のブラケット仕様が固定)

Ricoma のよくあるサイズ
A(標準タイプ)で測る場合、代表的には次の値が出ます。
- 355 mm
- 395 mm
- 495 mm
- 605 mm
複数台運用の現場では、枠が混在すると管理が崩れやすいので、まずは「自分の機械が A か B か」を確定させるのが最短です。
ricoma 刺繍枠 を追加購入する前に、機械ヘッド表記で EM-1010 かどうかを確認してください。
チェックポイント: 機械に「EM-1010」と明記されているなら測定を止め、該当オプションを選びます。そうでなければメジャーで外端〜外端を測ります。
Barudan/Happy/SWF:古参ブランドは「長さ+形状」を意識する
この章は、堅牢な業務機に多い“世代差”を吸収するための確認です。
Barudan はブラケット形状(QS/EFP)を先に判別
Barudan は、長さだけ合っていてもブラケット形状が違うとロックしないことがあります。動画でも QS と EFP の2種類が示されています。
手順1:目視でスタイル確認
- QS スタイル
- EFP スタイル

手順2:外端〜外端で全長を測る

代表的な長さ:
- 375 mm(約14.8インチ)
- 515 mm(約20.3インチ)
barudan 刺繍枠 を手配する場合は、「スタイル(QS/EFP)+長さ」の2点セットで伝えます(例:「Barudan QS、515mm」)。
Happy と SWF の標準長さ
Happy: 外端〜外端で測定し、代表的には次の2つが多いと動画で説明されています。
- 355 mm
- 495 mm

SWF: SWF はサイズバリエーションがあり、動画では次が挙げられています。
- 355 mm
- 395 mm
- 445 mm(約17.5インチ)
- 495 mm

swf 刺繍枠 を購入する際は「同じメーカーだから同じだろう」と決めつけず、置き換えたい枠をサイズごとに測ってから発注するのが安全です。
補足:マグネット刺繍枠が「楽」に感じる理由
マグネット刺繍枠は、磁力で上下からクランプするため、従来枠のように摩擦で押し広げる負担が減り、枠跡も出にくくなります。一方で、磁力が強い分、取り扱いには注意が必要です。
注意(磁力): マグネット刺繍枠は強力な磁石を使用します。挟み込みで皮膚を強く圧迫する危険があります。装着・取り外しは指を挟まない位置を確保して行ってください。
ローカルブランド/中国系など「型番不明」枠の対応
ローカルブランド(輸入機・OEM機など)では、全長が標準値に見えても、金具ブラケットの形状が微妙に違うことがあります。動画でも、緑やグレー系の枠が例として出ています。
手順(プロトコル):
- 測る: 外端〜外端の全長を測定
- 撮る: 金具ブラケットを、上から/横からはっきり写るように撮影
- 確認する: 測定値と写真を販売店・代理店に送り、ブラケット形状の適合確認を取る



このひと手間で、返品や再発送のロスを避けられます。
プライマー
ここからは、MaggieFrame/Sew Tech のマグネット刺繍枠を選定するために必要な「刺繍枠の全長測定」を、迷いなく実行するための手順です。
目的: 勘に頼らない 方法: 金具ブラケット外端〜外端(ブランド別の例外あり)
準備(Prep)
急ぐほどミスが増えます。測定前に、精度を上げる道具を揃えます。
隠れ必須アイテム
- 工具: 伸びにくいメジャー(できれば金属製)
- 清掃: ウエス(油分や汚れを拭いて端面を見やすくする)
- 記録: マスキングテープやマーカー(確認済みの枠にメモする)
- 撮影: スマホ(不明機種の確認用)
準備チェックリスト
- 基準にする枠を決める: 実際に機械に問題なく付いている枠を測る
- 作業台を確保: 空中で測らず、平らな台の上で測る
- 金具のバリ確認: 触る前に尖りがないか見る
- 明るさ: mm目盛りが読める照明を確保
セットアップ(Setup)
読み取り角度による誤差を減らします。
基準点を決める
- 枠をテーブルに置く
- 左側金具ブラケットの最外端を基準点A
- 右側金具ブラケットの最外端を基準点B
ブランド別の注意
- Brother/Baby Lock: 測らずにモデル番号で選ぶ
- Ricoma: EM-1010 なら測らない
- Barudan: QS/EFP のスタイル確認が先
セットアップチェックリスト
- 枠が平らに置けている
- メジャーのフックが左ブラケット外端に確実に掛かっている
- 目線を右ブラケットの真上に置いて読み取っている
作業手順(Operation)
機種に合わせて「測る/測らない」を切り替えます。
手順:測定またはモデル選択
手順1 — Tajima
- 作業: 金具外端〜外端で、メジャーをたるませずに測る
- 確認: 355/395/495/545mm のいずれかに近い
- KWD: tajima 刺繍枠 の置き換えはここが最重要
手順2 — Brother/Baby Lock
- 作業: 測らない
- 作業: モデル番号(例:PR、VR)を控える
- KWD: brother pr はモデル指定で選ぶ
手順3 — Ricoma
- 分岐: EM-1010 か?
- はい: 「EM-1010」を選択
- いいえ: 外端〜外端で測る(355/395/495mm など)
手順4 — Happy
- 作業: 外端〜外端で測る
- 確認: 355mm または 495mm が多い
手順5 — Barudan
- 作業: QS/EFP を目視で確認
- 作業: 外端〜外端で測る(375mm または 515mm)
手順6 — SWF
- 作業: 外端〜外端で測る
- 確認: 355/395 に加え、445mm がある
手順7 — Melco
- 作業: 外端〜外端で測る
- 確認: 395mm などが代表的
- KWD: melco 刺繍枠 は世代差があり得るため、まず実測
手順8 — ローカル/中国系
- 作業: 測定+撮影(ブラケット形状が分かる角度で)
作業チェックリスト
- メジャーにたるみがない
- 記録は mm で残した
- 1〜2mmのズレは許容として、定番値に寄せて判断した
- 例外(Brother/EM-1010)を正しく判別した
品質確認(Quality Checks)
購入ボタンを押す前の最終確認です。
確認1:機械アーム幅との整合(目視の再確認)
書き留めた数値が、機械のパンタグラフ幅感と大きく矛盾していないか確認します。
- 例えば 355mm と書いたのに、アーム間隔が明らかにもっと広い場合は測り方がズレています。
確認2:モデル指定の上書き
Brother PR をうっかり測っていないか?
- Brother 系で寸法メモが残っているなら、いったん消してモデル指定に戻します。
確認3:形状(スタイル)の確認
Barudan/型番不明枠は、長さだけでなく金具形状が合っているかが重要です。
補足:テンションと枠張り品質
採寸は入口で、実際の仕上がりは枠張りの精度に左右されます。
- スタビライザー: 生地に合わせて選定する
- ならし: 上側マグネットを落とす前に、生地のシワ・たるみを取る
- 音: しっかり吸着する感触があるか確認する
トラブルシューティング
| 症状 | ありがちな原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 353mm/357mm など微妙にズレる | 測り当て位置や個体差による許容範囲 | 近い定番値(例:355mm)として扱う(1〜2mmは許容) |
| Brother で測定値が見つからない/合わない | そもそも測る運用ではない | 測定を止め、モデル番号で選ぶ |
| Ricoma がどれにも当てはまらない | EM-1010 の可能性 | 機械ヘッド表記を確認し、EM-1010 なら該当オプションを選ぶ |
| 長さは合っていそうなのにロックしない | ブラケット形状違い(例:Barudan QS/EFP) | 長さだけでなくスタイルを合わせて再選定する |
| マグネットにしても枠張りが速くならない | 作業動線の問題 | 専用の 枠固定台(枠固定台)を用意し、段取りを固定する |
結果
この手順で、あなたの機械に必要な仕様(測定値/モデル指定/ブラケットスタイル)が明確になり、購入ミスによる返品・停止時間を減らせます。

判断フロー(どのルートで進む?)
- Brother PR/VR、または Baby Lock の業務機ですか?
- はい: 測らない。「Brother PR/Baby Lock」の該当オプションを選ぶ
- いいえ: 次へ
- Ricoma EM-1010 ですか?
- はい: 測らない。「Ricoma EM-1010」を選ぶ
- いいえ: 次へ
- Barudan ですか?
- はい: QS/EFP を目視確認 → 外端〜外端で測定
- いいえ: 次へ
- Tajima/Happy/標準 Ricoma/SWF/Melco などの一般的な業務機ですか?
- はい: 外端〜外端で測定し、355/395/495mm などに合わせる
- いいえ: 次へ
- ローカル/無印/中国系など型番不明ですか?
- はい: 測定 → 写真撮影 → 事前に販売店へ確認
まとめ: 正しい採寸(または例外のモデル指定)ができれば、マグネット刺繍枠のスピードと品質のメリットを、迷いなく現場に持ち込めます。
