切り抜き不要のパッチ作り:多層下準備とサテン縁取りで“パチッ”と抜ける刺繍パッチ

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切り抜き不要のパッチ作り:多層下準備とサテン縁取りで“パチッ”と抜ける刺繍パッチ
厚手のティアウェイ、プラスチックシート、水溶性(メッシュ+フィルム)の二種を重ね、最後に高密度サテン縁取りで“ミシン目”を作る——切らずに「パチッ」と抜けるパッチの作り方を丁寧に解説。配色を最適化するカラーソート、ジャンプステッチを素早く片づけるバリカンハック、300度で15〜20秒のHeat and Bond適用まで、現場の手順をそのまま再現します。

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Table of Contents
  1. はじめに:切らずに“パチッ”と抜けるパッチづくり
  2. 必要な材料:ポップアウトを可能にする4層
  3. ステップ1:データ準備とカラーソート
  4. ステップ2:多層フープのセットアップ
  5. ステップ3:刺繍と高密度サテン縁取り
  6. ステップ4:後処理の効率ワザ
  7. ステップ5:Heat and Bondで接着バックを付与
  8. 仕上がりと品質チェック
  9. トラブルシューティングとよくある質問
  10. コメントから:読者の疑問と回答

動画を見る:How We Make Patches - Embroidery Tutorial(Jia & Stitch Designs)

刺繍パッチを切らずに「パチッ」と抜く。作業台に残るのは、きれいな縁と満足感だけ。このチュートリアルは、そのための“重ね方”と“縁取り”にすべてを注ぎます。

従来の厚紙切りや熱カットに頼らず、ミシンが自らミシン目を刻む。高密度サテン縁取りの威力を、最初から最後まで追っていきましょう。

学べること

  • 多層下準備(厚手ティアウェイ/プラスチックシート/水溶性メッシュ/水溶性フィルム)の正しい役割と並べ方
  • デザインの複製とカラーソートで、糸替えを最小化する効率設計
  • サテン縁取りで“ミシン目”を作り、切らずにポップアウトする仕組み
  • バリカンでジャンプステッチを一掃する後処理ハック
  • Heat and Bondを300度で15〜20秒、冷却後に剥離する仕上げ

はじめに:切らずに“パチッ”と抜けるパッチづくり 刺繍パッチを量産する現場で最大のストレスは、縁のカットと後処理。本編では素材選定からデータ準備、フープセット、縁取り、分離、接着バック付与までを一貫して解説。最終縁取りのステップで、層ごとに“切れ目”が入り、指で押すだけで離れる仕組みを作ります。mighty hoop embroidery

必要な材料:ポップアウトを可能にする4層 まず用意するのは、以下の4種(いずれも動画内で実演)。 - プラスチックシート(約6ミル厚)。伸びずに安定し、縁取りの針がクリーンに貫通する基盤です。

A person holding up a semi-transparent sheet of 6 mil plastic.
The first layer shown is a thick 6 mil plastic sheeting. This layer is crucial as it provides a stable, non-stretching surface that the border stitches will cleanly perforate.

- とても厚いティアウェイ安定紙。全体の土台になり、最後に気持ちよく剥がせます。

A person holds a large roll of thick, white tear-away stabilizer.
A very thick tear-away stabilizer, similar in consistency to construction paper, is presented. This material serves as the strong foundational base for the entire patch sheet.

- 水溶性メッシュ(布感のあるタイプ)。縫製を支えながら、後で水で溶かしてエッジを整えます。

A person holding a roll of water-soluble stabilizer that has a fabric-like mesh texture.
This is a water-soluble stabilizer with a fabric or mesh-like texture. It acts as a hybrid layer that supports the stitches but dissolves away easily during cleanup.
  • 水溶性フィルム(トップ用)。最終のサテン縁取り前に上に被せ、縁の沈み込みを防止します。

プロのコツ

  • フィルムとメッシュは役割が別。下にメッシュ、上にはフィルム。両方使うから、縁が沈まず、裏もほつれにくい仕上がりに。
  • プラ板は“切るため”ではなく“貫通させるため”。高密度サテンが周囲をミシン目状にしてくれます。

注意

  • ヒートプレスは高温。手袋・耐熱シートを使い、設置面にも注意しましょう。
  • ライターでの糸焼きは軽く一瞬だけ。焼き過ぎは変色や縮みの原因になります。

ステップ1:データ準備とカラーソート 動画では、アーカンソー州の形をしたパッチを例に使用。編集ソフト上でデザインを複製して面付けし、糸替えをまとめる「カラーソート」を実施します。これで同色をまとめて連続縫いでき、停止回数と段取り替えを削減。

A computer screen showing embroidery software with multiple Arkansas-shaped patch designs arranged in a grid.
In the embroidery software, the single patch design is duplicated to create a full sheet. This maximizes the efficiency of each production run.

クイックチェック

  • デザインには“高密度サテン縁取り”が含まれているか(最終のポップアウトの鍵)。
  • 面付けはフープ内に過不足なく収まっているか。
  • カラーソート後、色順が意図通りか。

コメントから

  • 「どのデジタイザを使っているか?」という質問がありましたが、動画内では特定のソフト名は示されていません(未回答)。

ステップ2:多層フープのセットアップ 順番が命です。動画の通りに重ねましょう。 1) 厚手ティアウェイ(最下層) 2) プラスチックシート(中層) 3) 水溶性メッシュ(上層) この3層をフープでしっかり固定します。

Hands pressing the top part of a Mighty Hoop onto the bottom part, sandwiching three layers of material.
The three layers—tear-away, plastic, and water-soluble mesh—are sandwiched together and secured in the magnetic Mighty Hoop. This creates a taut and stable base for embroidery.

プロのコツ

  • フープは面圧が均一になるよう中央から外周へ。たわみは縫いズレのもと。
  • 8x9インチのフープを使った例が紹介されています。機種によりフープ寸法は異なるため、手持ちのサイズに合わせて面付けを調整しましょう。8x9 mighty hoop

注意

  • フープ内で層が滑らないよう、極端に強く引っ張らない。プラ板の波打ちも禁物です。

ステップ3:刺繍と高密度サテン縁取り まずは本体配色を縫い進め、最終の“縁取り”前に重要なひと手間。 - 仕上げ直前、フープの上に水溶性フィルムを一枚載せる(トップ用)。これでサテンが沈まず、艶がそろいます。

An embroidery machine stitching multiple colorful patches onto the hooped material.
The embroidery machine stitches the main colored sections of each patch. The color sort function ensures all patches of one color are done before the machine stops for a thread change.
A hand placing a sheet of clear, film-like water-soluble stabilizer over the already-stitched patches.
Before the final border is stitched, a sheet of standard water-soluble stabilizer is placed on top. This prevents the satin border stitches from sinking into the design.

- そして高密度の白いサテン縁取りを実行。針が集中して上下することで、プラ板とメッシュ、ティアウェイにミシン目が形成されます。

Close-up of the embroidery machine needle creating a dense white satin border around a patch.
The machine stitches a dense satin border around each patch. This dense stitching acts as a perforation, cutting through the layers and making the patches easy to pop out later.

クイックチェック

  • トップのフィルムは端まで覆えているか。
  • サテンの密度は十分か(低密度だとポップアウトが固くなる)。

プロのコツ

  • 筐体やフープの磁力を活かせる環境なら、安定した押さえが効きやすいです。例えばmighty hoopのような磁力固定タイプは、多層物でも均一なテンションを得やすいのが利点。

ステップ4:後処理の効率ワザ 縫い終えたら、トップの水溶性フィルムを軽く霧吹きして溶かし、拭き取ります。

A person using a spray bottle to mist the top of the hooped material after embroidery is complete.
After embroidery, the top water-soluble stabilizer is removed by lightly misting it with water. The water begins to dissolve the stabilizer, allowing it to be easily wiped away.

裏面に返し、ジャンプステッチや裏糸の処理は“電動バリカン”で面を撫でるように。ハサミよりも早く、面均しも同時にできます。

A person using an electric hair trimmer to shave off the excess threads on the back of the embroidered sheet.
For quick and clean thread trimming, an electric hair trimmer is used to shave the jump stitches from the back of the material. This is much faster than using scissors.

プロのコツ

  • バリカンは“押し付けず、軽く滑らせる”のが毛羽立たせないコツ。刃は常に清潔に。

コメントから

  • 「バリカンのブランドは?」という声がありましたが、銘柄は動画中で特定されていません(未回答)。

ステップ5:分離(ポップアウト) フープから外し、厚手ティアウェイを後ろからベリッと剥がします。

Hands peeling the thick white tear-away stabilizer off the back of the finished embroidery sheet.
The thick tear-away stabilizer is easily peeled off the back of the plastic sheet. The stitches do not penetrate this layer, so it comes away cleanly.

続いてプラスチックシートを剥ぎ、パッチを指で押して“ポンッ”と抜きます。切り出し不要の気持ち良さがここに。

A thumb pushing a finished patch out from the plastic and stabilizer sheet.
Thanks to the perforated border, each patch can be easily punched out from the main sheet with a simple push. This eliminates the need for any cutting.

クイックチェック

  • 抜いた縁に糸カスやフィルム残りがないか。
  • 硬い箇所は、サテン密度や層の重なりを次回調整。

仕上げのクリーンアップ ソロパッチにしてから、縁を軽く水で湿らせ、指でこすってメッシュの残りを溶かします。乾燥後、縁の遊び糸はライターで素早く炙って除去。

A person holding a small, clean, finished Arkansas patch between their thumb and forefinger.
The final, cleaned patch is shown. Any remaining water-soluble stabilizer has been dissolved, and stray threads have been singed off for a crisp, professional look.

注意

  • ライターは一瞬だけ。熱を当てすぎるとステッチや生地にダメージが残ります。

ステップ5:Heat and Bondで接着バックを付与 - Heat and Bondのシートをカットし、ザラザラ面(糊面)にパッチの表側を下向きに並べます。

Hands arranging several finished patches onto a white sheet of Heat and Bond adhesive.
Finished patches are laid out on the rough, adhesive side of a Heat and Bond sheet. This prepares them for the heat press application.

- 保護シートで覆い、ヒートプレスは300度で15〜20秒。冷却後、剥離紙をはがせばアイロン接着可能なバックが完成。

A heat press machine closing down onto the sheet of patches and Heat and Bond.
The patches and Heat and Bond sheet, covered by a protective layer, are placed in a heat press. Pressing at 300 degrees for 15-20 seconds melts the adhesive onto the back of the patches.

プロのコツ

  • プレス後は“完全に冷ます”こと。糊が落ち着いてから剥離すると、転写ムラや糊の糸引きを防げます。

コメントから

  • 「Ultraでも保持力が不安」という声に対し、投稿者から“より厚く強力な別銘柄”への切替の示唆がありました(動画外の体験談)。
  • 「背面に接着剤をどう付ける?」への回答として、本編のHeat and Bond適用手順(熱圧着→冷却→剥離)が案内されています。

仕上がりと品質チェック

  • 縁:サテンのステップ幅と密度が均一か。押し抜いたエッジに“毛羽”がないか。
  • 表面:トップのフィルムのおかげでステッチが埋もれず、光沢がそろっているか。
  • 裏面:ジャンプステッチの刈り残しがないか。

トラブルシューティングとよくある質問 Q. なぜプラスチックシートを使うの? A. 伸びずに安定し、高密度サテン縁取りの針がクリーンに貫通して“ミシン目”を作れるから。だから切らずにポップアウトできます。

Q. フィルムとメッシュ、どちらか一方でいい? A. 役割が違います。メッシュは下支えと後処理のしやすさ、フィルムはトップの沈み込み防止。両方の相乗効果で縁が美しく。

Q. ツイルを下地に使える? A. コメントには「同じ手順でOK」「大きいパッチにも可能」との回答がありました。生地厚でテンションが変わるので、試し縫いでサテン密度の微調整を。

Q. 接着はアイロンでも可能? A. 可能です。動画ではヒートプレス(300度/15〜20秒)での例を紹介しています。アイロンの場合も、温度と圧を安定させるため、当て布と十分な冷却が鍵です。mighty hoops for embroidery

Q. どのフープが適している? A. 多層をしっかり保持できる磁力タイプは便利です。ワークサイズや配置に応じて選択を。参考までに、動画では8×9インチの磁力フープが使われています。magnetic mighty hoop

現場メモ:運用効率をさらに上げるには

  • 面付けの最適化:配色の塊と押さえ位置、糸替え回数のバランスで最大効率を狙う。
  • 後処理の一括化:バリカンで裏面を“面で刈る”手つきに慣れると時間が一気に短縮。
  • 縁取りの実験:サテンの幅と密度を少しずつ変え、最小密度で確実に“抜ける”ポイントを見つける。mighty hoop sizes

ちょい足しTIP:ツール選び

  • フープ:多層でもテンションを均一に保ちやすい磁気タイプは、再現性に優れます。mighty hoops
  • フィルム:厚みが足りないと押さえが効かず縁が沈む。迷ったらやや厚めから試す。
  • フレーム運用:作図ソフトの面付けテンプレートを作り、機種ごとに保存しておくと段取りが速い。mighty hoop

まとめ ・4層(ティアウェイ/プラ板/メッシュ/トップフィルム)で縫製環境を整え、 ・高密度サテンで“ミシン目”を刻み、 ・バリカンと水でクリーンアップ、 ・Heat and Bondを正しく熱圧着——。 この一連で、切らずに抜け、縁がきれいなプロ仕様パッチが安定して量産できます。試作→微調整→記録を繰り返して、自分の環境での最適値を掴みましょう。mighty hoop 5.5