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動画を見る:How to Make Custom Embroidered Patches: A Step-by-Step Guide(Liberty Graphic Designs)
柔らかな布から、硬派な“プロ仕上がり”のワッペンへ。ポイントは、適切な安定芯、正しい刺繍の順序、そして最後の“切って封じる”一手。はじめてでも、段階を踏めば驚くほどきれいに仕上がります。

この解説では、動画の手順に沿って、素材の選び方からはんだごてによる最終カットまでを一気通貫でナビゲート。現場で役立つチェック項目と注意点も加え、作業の確度を一段上げます。
■ この記事で学べること
- ワッペンが“フニャっとしない”ための下ごしらえ(安定芯の選び方と使い方)
 
- ミシン刺繍で縁取り・文字を入れる最短ルート(Tajima機での基本操作の流れ)
 
- 熱接着シートの活用とヒートプレスでの圧着ポイント
 
- ガラス板上ではんだごてを使い、カットと縁の封止を同時に行う方法
 
- ポリエステル必須の理由と、うまくいかない時の見直し箇所(素材・作業面・速度)
 
はじめに:カスタム刺繍ワッペンの魅力
既製のワッペンを買うのも便利ですが、布から作れれば、サイズも表情も自由自在。動画では、薄い布に“ヒューズ付き安定芯(fusible stabilizer)”を熱圧着し、刺繍で縁を作ってから仕上げるプロセスが示されています。

ワッペンは“硬さ”が命。ぺらっとした布のままでは扱いにくいだけでなく、縁も乱れやすいもの。そこで登場するのが、片面に糊を持つ安定芯(fusible backing)です。これを布の裏に熱プレスすると、ワッペンのベースがしっかりします。

動画では、赤い生地と白い安定芯を重ね、のちの工程でプレスして一体化。ここでの狙いは「刺繍時の安定」と「仕上がりの硬さ」を同時に手に入れることです。

理解しておきたい構成要素(クイックチェック)
- ベース布:最終カットをはんだごてで行うなら100%ポリエステルが必須。
 
- 安定芯(fusible):片面接着タイプで“硬さ”を与える要。糊面の向きに注意。
 
- 刺繍:縁取り→文字や意匠の順で。縁は“ガイドライン”にもなります。
 
- 熱接着シート:後からシャツや帽子へ圧着するための背面のり。
 
必要な材料と道具
この動画で使われている主材料(一般名)
- 布:赤、黒、テクスチャ生地など(仕上げカットはポリエステルが前提)
 
- 安定芯(fusible backing / fusible stabilizer)
 
- 熱接着シート(例:Heat n Bond/ロール状の重手タイプも紹介)
 
- 昇華シート(オプション・別工程)
 
主な道具
- 刺繍機(Tajima)と刺繍枠
 
- ハサミ(荒裁ち用)
 
- ヒートプレス機
 
- はんだごて、ティッシュペーパー(先端清掃用)、ガラス板(耐熱作業面)
 
プロのコツ
- 刺繍前に“安定芯の圧着を済ませる”と、段差や引きつれが起きにくく、縁取りも安定します。tajima 刺繍ミシン 刺繍枠
 
注意
- 動画では刺繍機の詳細設定(糸調子・密度)やヒートプレスの温度・時間、はんだごてのワット数などは明示されていません。初めての素材・資材では必ず端材でテストしましょう。
 
ミシン刺繍でデザインを形にする
1) フープセットアップ(Hooping) 安定芯を裏打ちした生地を刺繍枠にピンと張ります。たるみは歪みの原因。指でなぞって波打つようなら張り直しを。ここでの丁寧さが、縁取りの“真っすぐ感”を決めます。

2) 縁取りの刺繍 動画では、まず赤布に白糸で長方形のボーダーを縫い、ワッペンの輪郭を明確化。これは仕上げのカットガイドにもなる重要ステップです。

縁取りが仕上がると、空打ちのない“ピシッ”とした雰囲気がすでに漂います。刺繍面をチェックして、乱れやほつれがないか確認しましょう。

3) デザインの読み込みと刺繍 USBメモリからデザインを呼び出し、黒いテクスチャ布に「Liberty」の文字+ボーダーを刺繍。2色仕様の例も紹介されており、素材や構成の自由度が感じられます。

ステッチの走りや糸調子を目視で確認。問題があれば糸掛けや位置合わせを見直します。

仕上がったパッチは、まずは“刺繍の見栄え”を最優先で確認。段差や引きつれ、ボーダーの乱れがないかチェックしましょう。

クイックチェック
- 布の張り:指で押しても沈みにくいか。
 
- ボーダー外周:角の抜けや縫い重なりの偏りがないか。
 
- 文字:打ち込みが薄すぎたり、にじんでいないか。
 
- 位置:フレーム中心からズレていないか。tajima 磁気 刺繍枠
 
接着と荒裁ち:次工程へつなぐ下ごしらえ
刺繍が終わったら、まずは荒裁ち。仕上げカットに入る前に、周囲の余白を大まかに落とします。ここでは“安全第一”で、刺繍に食い込まない距離をキープ。

次に熱接着シート(Heat n Bondなど)を背面にセット。安定芯と布をヒートプレスで一体化し、加えて背面へのり層を形成します。ここでパッチは“たわみ”が消え、扱いやすい板状の質感に。

プロのコツ
- プレスは生地・芯・接着シートの仕様書に従い、小さなテスト片から。温度や時間は動画で明示なし。焦げや糊のはみ出しを避けるため、段階的に条件を詰めてください。mighty hoops for tajima
 
注意
- 切りやすさ重視で周囲を短くしすぎるのはNG。最終カット時に掴む余白がなくなると作業性が落ち、縁取りに波打ちが出やすくなります。
 
精密カットの核心:はんだごてで“切って封じる”
100%ポリエステルが必須の理由
ここからが動画の肝。仕上げのカットは“はんだごて”で行います。先端の熱でポリエステルを溶断しながら、同時に縁の糸を封止(シール)できるため、ほつれを強力に抑えられます。綿や混紡はこの方法が効かないため、素材は100%ポリエステル一択です。
作業面にはガラス板を使い、下地を焦がさないように保護。はんだごての先はティッシュでこまめに拭き、糊や繊維の焦げ付きによる引っかかりを防ぎます。

切り方の基本手順
- ガラス板の上に、プレス済みパッチを配置(背面が安定していること)。
 
- はんだごての先端をボーダーの“縫い目の外縁”に沿わせ、一定の速度で滑らせます。
 
- 角は止めすぎず、軽い円弧で回すイメージ。止め置きは焦げ・えぐれの原因に。
 
- 切り離された余布は、完全に冷めてから安全に除去。
 
- 仕上がりの縁がザラつく場合は、はんだごての“側面”をそっと当てて均します。

クイックチェック
- 生地は100%ポリエステルか(混紡・綿は不可)。
 
- 作業面はガラスか(耐熱・不燃のもの)。
 
- 先端はクリーンか(ティッシュで焦げ・糊を除去)。
 
- 速度は一定か(止めすぎ注意)。
 
- 縁は滑らかで、糸のほつれはないか。
 
代替アプローチ:昇華シート
動画では、昇華用のファブリックシートも紹介されます。これはシートのキャリアを剥がし、印刷面を活かしてカット&適用する方式。はんだごては使わず、ハサミで全周を切り出して活用できます。作り方がシンプルで、ビジュアルの自由度も高いのが利点です。
プロのコツ
- はんだごての温度・ワット数は動画で言及なし。機材ごとに立ち上がりやコテ先温度が異なります。最初はスクラップで練習し、切断速度の“ちょうど良い”を体感で掴みましょう。tajima mighty hoop
 
安全のために
- ヒートプレス・はんだごては高温。耐熱手袋や換気を行い、やけど・煙対策を。
 
- ポリエステル溶断時に微細な煙が出ます。必ず十分な換気を確保してください。
 
- ガラス板は割れにくい厚みのあるものを使用。段差のない安定面で作業しましょう。
 
仕上げとこれから:ワッペンの活用アイデア
最終カットを終えると、背面は熱接着シートで準備万端。ヒートプレスでシャツ、ニット帽、クージーなどへ圧着できます。仕上がりのエッジはつるりと密閉され、使用中のほつれを最小限に抑えられます。

アプリケーションのヒント
- 曲面の多い帽体は、プレス時に当て布やパッドで段差を均して圧を安定させる。
 
- ウェアへの適用時は、洗濯表示と接着剤の仕様を事前に確認。
 
- 強い摩擦環境では、縫い留め+接着の“二段固定”も検討。
 
コメントから:質問と学びのシェア
- アイロン接着ワッペンの販売について:現在は販売停止との返答がありました(動画制作者)。
 
- 昇華シートの購入先:動画中では“Sign Warehouse”が言及されましたが、コメントでは未回答。入手性は地域差があるため、同等品名や国内取扱いの有無を複数ルートで確認しましょう。dime snap hoop
 
- ヒートプレスの温度・時間:動画では非公開。素材・接着剤の仕様書とテストが頼りです。
 
- はんだごてで糸は溶ける?:ポリエステル糸は熱に反応する可能性があるため、コテ先が糸に長く触れないよう“外縁側”を滑らせるのがコツ(動画は縁取りの外でトレース)。
 
- デジタイズ動画:ライブ配信で触れたことはあるが、専用動画は不明とのこと。ソフト選びと基本操作は別途学習を。
 
プロのコツ(総まとめ)
- “安定芯→刺繍→熱接着→はんだごて”の順序を守ると、作業がスムーズに流れ、失敗が大幅に減ります。brother pr1055x
 
- はんだごては“切って封じる”が同時にできるため、縁かがりの安心感が段違い。焦らず、止めず、一定速で。
 
- 素材・芯・接着の三位一体で“硬さ・平滑性・接着性”を確保。どれか一つでも弱いと、仕上がりが不安定になります。bernina 磁気 刺繍枠
 
よくある落とし穴とリカバリー
- 綿・混紡を使ってしまった:はんだごて方式は不可。ハサミでのカットや別縁処理を検討。
 
- コテ先に焦げが付着して引っかかる:ティッシュで頻繁に拭き、作業速度を見直す。
 
- 縁がギザつく:角で止めすぎ/速度が不均一。側面で軽くアイロンを当てて整える。
 
- 接着が甘い:プレス条件を微調整し、均一に圧がかかるよう治具・当て布を工夫。
 
ヒント:枠・セッティングの選び方
- 厚手素材や小物のフーピングには、機種向けの補助フレーム・マグネット枠を活用すると効率が上がります。ブランドや機種に応じた適合可否を必ず確認しましょう。磁気 刺繍枠 for tajima
 
最後に
動画の手順は“ワッペンの本道”。とくに、はんだごてでの仕上げは見た目と耐久性に直結します。素材選びから作業面、速度管理まで、丁寧な一手の積み重ねが仕上がりを決めます。まずは端材で練習し、あなたのロゴや文字で一枚目に挑戦してみてください。磁気 刺繍枠 for bernina 刺繍ミシン
