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埋め込み動画について: この記事は、チャンネル「Sewing with Maryrose」の動画「How to Install BX Fonts in Embrilliance for Machine Embroidery」を元に構成しています。手順は“動画を止めずに”作業できるよう、単独で読める形に整理しています。
BXフォントの導入は本来サクッと終わる作業です。ところが実際は、形式を間違えてダウンロードしたり、zipの場所が分からなくなったり、Embrillianceのどこに出てくるのか迷ったりして、意外と時間を取られがちです。
ここでは動画のやり方を、毎回同じ品質で再現できる「チェックリスト型の手順」に落とし込みました。新しい刺繍フォントを購入するたびに、そのまま使える運用手順として使ってください。
この記事でできるようになること
- ベンダーの注文ページから BX 形式を選んでダウンロードする(Embrillianceで導入できる形式にする)。
- zip(アーカイブ)を解凍し、「本物のBXファイル」が見えている状態まで持っていく。
- BXファイルを1つずつダブルクリックでインストールし、完了ポップアップで成功を確認する。
- Embrilliance内でベンダーコード/カテゴリを探し、レタリングに適用して表示確認する。
- サイズの入れ忘れ・重複インストールを防ぐための整理習慣を作る。

新しいフォントをダウンロードする
最初の時点で一番の時短ポイントはこれです。ベンダー側のダウンロード選択肢が出たら、必ずBX形式を選ぶこと。
Embrillianceがインストールできるのは「BXファイルそのもの」です。別形式(刺繍機用のステッチデータ等)を落としても、この手順では導入できません。

BX形式を選ぶ
ベンダーの注文ページ/請求書(invoice)ページで、購入したフォントを見つけてダウンロードをクリックします。動画では、複数の形式が並ぶ中から BX fonts を明確に選択しています。

チェックポイント: ブラウザ側でダウンロードが進行中(または完了)として表示されます。ここでの期待結果は、BXフォントを含むアーカイブ(一般的にはzip)がPCに保存されることです。
注意: 失敗で一番多いのは、BXではない形式をダウンロードしてしまうことです。ダウンロードしたものに「BX」が含まれていない/BXファイルが入っていない場合は、ここで止めてBXを選び直してください。
ダウンロード先を見つける
ダウンロードが終わったら、ブラウザのダウンロード一覧、またはPCの「ダウンロード」フォルダからファイルを開きます。動画はMac画面ですが、考え方は同じで「今落としたアーカイブを見つける」だけです。

フォントをまとめ買いする人ほど、ダウンロード前に簡単な置き場を作ると迷いません(例:「Fonts to Install」「Fonts Installed」など)。“未導入”と“導入済み”が分かれるだけで、サイズの入れ忘れや二重作業が減ります。
なお、名入れ案件が増えてくると「枠張りの再現性」を上げるために治具や枠の見直しをする人も多いです。その段階では、machine embroidery hoops を含めた“再現性の仕組み化”が効いてきますが、ここで扱うのはあくまでソフト側の導入手順です。
EmbrillianceにBXフォントをインストールする
ここが動画の核心です。zipを解凍→フォルダを開く→BXファイルを1つずつダブルクリックで導入。
BXはEmbrillianceの導入フローに認識されるよう作られているため、この方法でインストールできます。
ファイルを解凍する
ダウンロードしたzipを見つけ、解凍(展開)します。動画ではzipをダブルクリックして展開し、展開後のフォルダを開いています。

期待結果: フォルダ内に複数のBXファイルが見えます(同梱サイズ違いが別ファイルになっていることが多いです)。
チェックポイント: 展開したのにBXファイルが見えない場合は、(1) フォルダ階層が違う場所を見ている、または (2) そもそもBX形式を落としていない、のどちらかがほとんどです。
ダブルクリックでインストールする(1ファイルずつ)
BXファイルが入っているフォルダを開き、BXファイルを1つずつダブルクリックします。動画では「Embrilliance Thumbnailer」が入っており、BXファイルに特徴的なアイコンが表示されるため、見た目で判別しやすくなっています。

この順番が重要な理由: 解凍後の“実体ファイル”を開くことで、EmbrillianceがBXを正しく参照できます。圧縮されたままの状態だと、反応がない/何も起きない原因になりがちです。
現場のコツ: フォルダの上から下へ、意図的に順番を決めて入れていくと、サイズの入れ忘れを防げます(サイズ違いが複数あるバンドルほど効果大)。

注意: フォント導入直後に試し縫いをする場合は、稼働中の針周りに手を入れない、髪や袖などの巻き込みを避けるなど、基本安全を徹底してください。糸切り(ハサミ/カッター)も取り扱いに注意し、停止確認してから作業します。
インストール完了の通知で成功確認する
BXファイルをダブルクリックすると、動画では「インストール完了」を示すポップアップが表示されます。OKを押して、次のBXファイルへ進みます。

チェックポイント: 直前に開いたBXファイルがインストールされた旨がポップアップで確認できること。確認が出ない場合は、BXファイルそのものを開いているか(フォルダや別形式を開いていないか)を見直してください。
Embrilliance側で使えることを確認する
インストール後、動画ではEmbrillianceを開いて、フォント一覧に追加されていることを確認し、レタリングに適用しています。
この「表示確認」を挟むことで、“入れたはずなのに見つからない”ループを防げます。

フォント一覧でベンダーコード(カテゴリ)を探す
Embrillianceを開き、フォントのセクションへ移動します。動画ではフォント一覧をスクロールし、ベンダーコード/カテゴリとして DBJJ(Designs by JuJu)を探しています。

期待結果: フォント一覧にベンダーカテゴリが見つかり、その配下に新しく入れたフォントが表示されます。
よくある確認手順: すぐに表示されない場合は、Embrillianceを一度終了して起動し直し、フォント一覧を再確認します(動画の構成上も、一覧が更新されないときは再起動が有効とされています)。
レタリングに適用して目視確認する
レタリング(文字)オブジェクトを作成します(動画では「ABC」のような例)。その状態で新しいフォントを選択します。動画では、フォントが読み込まれ、同梱されているサイズが一覧に揃っていることも確認しています。



チェックポイント: フォントを選ぶと、キャンバス上の文字の見た目が新しい書体に切り替わります。
期待結果: フォント名と同梱サイズが確認でき、サンプル文字が視覚的に更新されます。
整理・運用のコツ(導入を“事故らせない”)
動画には簡単なクリーンアップが出てきます。また、実務的には「バンドルに複数サイズが入っていて、1つだけ入れて終わったつもりになる」問題が起きやすい点も示唆されています。
ダウンロードファイルを片付ける(任意)
インストール後、必要に応じてzipや展開フォルダを削除して、ダウンロードフォルダを整理します(動画でも選択して削除しています)。

注意: 削除は、必ずEmbrilliance内で表示確認が終わってから。先に消すと、うまく入っていなかった場合に再ダウンロードが必要になります。
複数サイズを“別作業”として扱う
動画のバンドルには複数サイズが含まれており、ファイル名から 0.25 / 0.5 / 0.75 / 1 / 1.5 / 2 inch などが読み取れます。実務上のポイントは、BXファイル1つ=インストール1回として扱うことです。
現場のコツ: フォントを大量に入れるなら、「導入ログ」を残すのが効きます(メモ帳でOK)。ベンダー名/フォント名/導入日を書いておくと、重複導入の防止や、後日の切り分けが楽になります。
また、作業全体のボトルネックが「フォント導入」から「枠張り・位置合わせの再現性」に移ってくると、hooping stations を検討する人が増えます。ここは別の改善トラックとして切り分けて考えると、導入作業が散らかりません。
見落としがちな消耗品・事前チェック
このチュートリアルはソフト中心ですが、布に文字をきれいに出すには“見えない前提条件”もあります:
- 上糸と下糸(ボビン糸)の組み合わせ: 基本は安定して走る下糸を選び、量産前に小さく試し縫いして確認します。推奨がある場合は刺繍機の取説を優先してください。
- 針の考え方: 生地と密度で最適が変わります。糸切れ・毛羽立ち・穴あきが出るときは、針交換が最短の検証になります(対応針は取説基準)。
- スタビライザー(刺繍用安定紙)とトッピング: 伸びる/毛足がある素材は、裏の支え(スタビライザー)や表のトッピングが必要になることがあります。これはフォント導入の問題ではなく、素材挙動の問題です。
- 小物とメンテ: 糸切り、針の安全な取り扱い、糸くず清掃の習慣。糸くず堆積や切れ味の落ちた道具は、文字の仕上がりを一気に悪くします。
枠張りがボトルネック(生地ズレ、位置ブレ、枠跡)なら、マグネット刺繍枠が改善策になることもあります。家庭用単針機では magnetic embroidery hoops が枠張り負担の軽減や段取り短縮に効くケースがあり、業務用の多針刺繍機でも再現性の面で検討されます。機種や扱うアイテムに合わせて選定してください。
注意: マグネット刺繍枠は強く挟み込みます。マグネットは引き剥がすのではなく“スライドして”外し、電子機器や磁気媒体から離して保管し、装着時は指を挟まないようにしてください。
次に何を改善するか(ソフト/枠張り/生産)
- BXをインストールでき、Embrillianceで表示確認までできたら、次は実素材+実スタビライザーで試し縫いに進みます。
- インストールしたのに見つからない場合は、まず形式(BX)と表示確認手順の切り分けを優先します。
- 試し縫いは良いのに位置が安定しないなら、枠張り手順の改善(治具・固定)を検討します。
- 同じ名入れを繰り返してスループットを上げたいなら、ボリュームに応じて多針刺繍機の運用が適するかを検討します。
位置合わせ治具を検討する段階では、hoopmaster や hoop master embroidery hooping station のような選択肢と、従来の枠張りを比較することになります。これは“フォントが入らない”問題の解決ではなく、“位置再現性”の改善策として扱うのが整理のコツです。
事前チェックリスト(ダウンロード前)
- EmbrillianceがPCにインストールされている。
- 購入したフォントの注文ページ/請求書ページを開いている。
- ダウンロード形式の選択肢の中でBXを判別できる。
- ブラウザの保存先(ダウンロードフォルダ等)が分かっている。
セットアップチェックリスト(ダブルクリック前)
- アーカイブが最後までダウンロード完了している(途中で止まっていない)。
- zip(アーカイブ)を解凍し、展開後のフォルダを開いている。
- フォルダ内に複数のBXファイルが見えている(フォルダだけではない)。
- サイズを飛ばさず、1つずつ導入する時間が確保できている。
作業チェックリスト(導入+確認)
- 各BXファイルをダブルクリックし、インストール完了ポップアップを確認した。
- Embrillianceを開き、フォントのセクションに移動した。
- ベンダーカテゴリ(例:DBJJ)をフォント一覧で見つけた。
- レタリングに新フォントを適用し、文字の見た目が変わることを確認した。
結果と引き継ぎ
この手順のゴールは、(1) ダブルクリック方式でBXの各サイズを導入し、(2) Embrilliance内でベンダーカテゴリ配下に表示され、レタリングに適用できることを目視確認する、の2点です。
作業を他の担当者(または未来の自分)に引き継ぐなら、最も確実なメモは「ベンダー名/フォント名/展開フォルダ内のBXを全部入れた(1サイズだけで終わっていない)」の3点です。
トラブルシューティング/復旧
期待結果と違うときは、ここで切り分けます。
症状:「ダブルクリックしても何も起きない」
- 原因の可能性: BXファイルではなく、zip、フォルダ、別形式を開いている。
- すぐできる確認: 展開後フォルダ内で、開いているものがBXファイルかを確認する(動画ではThumbnailer導入によりBXアイコンが見えます)。
- 対処: BXファイルが並んでいる階層まで戻り、BXファイルそのものをダブルクリックする。
- 代替: ベンダーサイトに戻り、BXを明示的に選んで再ダウンロードする。
症状:「一部サイズは入ったが、全部のサイズがEmbrillianceに出ない」
- 原因の可能性: 1つ以上のBXファイルを導入し忘れている。
- すぐできる確認: フォルダ内のBXファイル数と、Embrilliance側で見えるサイズ数を見比べる。
- 対処: 未導入のBXファイルをダブルクリックし、各ポップアップで完了確認する。
- 代替: どれを入れたか不明なら、上から順にもう一度導入し直してからEmbrillianceで再確認する。
症状:「インストールできたはずなのに、フォント一覧で見つからない」
- 原因の可能性: 一覧の見ている場所が違う/一覧が更新されていない。
- すぐできる確認: フォント一覧をスクロールし、動画で示されたベンダーカテゴリ(Designs by JuJuの場合はDBJJ)を探す。
- 対処: Embrillianceを終了して起動し直し、フォント一覧を再確認する。
- 代替: 新規レタリング(例:ABC)を作り、レタリング選択状態でフォントのドロップダウンを再確認する。
症状:「ダウンロードしたが、BXファイルではない」
- 原因の可能性: ダウンロード時に形式選択を間違えた。
- すぐできる確認: ベンダーのダウンロード選択肢にBXがあるか確認する。
- 対処: BXを選んでダウンロードし直す。
- 代替: そのベンダーがBXを提供していない場合、この動画の手順とは別の導入方法が必要です(ベンダーの案内に従ってください)。
症状:「フォントは入ったのに、縫い上がりが汚い」
- 原因の可能性: 多くは導入ではなく、素材と支え(スタビライザー)側の問題。
- すぐできる確認: 本番と同じ生地・スタビライザー・糸で、小さく試し縫いする。
- 対処: 素材挙動に合わせてスタビライザーや針/糸の組み合わせを見直す(対応は取説基準)。
- 代替: 枠張り由来のズレがあるなら、マグネット枠や位置合わせ治具で動きを減らせるか検討します。再現性が課題になってきた段階では、hoopmaster station や magnetic hooping station を比較する人もいます。

