Embirdで「文字→魚」デザイン:Union+ノード編集でシルエットに沿わせる(ダブルステッチ事故を防ぐ)

· EmbroideryHoop
Embirdで「fish」の文字を魚のシルエットに収める実践手順を、Sue(OML Embroidery)の内容に沿って整理しました。背景画像を約2インチ弱にリサイズし、内蔵フォント(Alphabet 1)で文字を配置。複数パーツで構成される文字をUnionで“1つの編集可能な形状”に統合してから、ノード編集でF/I/S/Hをシルエットに沿わせます。Union後に残りがちな“ゴースト(下に残る旧パーツ)”を確実に削除してダブルステッチを回避する方法、可読性を保ったまま曲線を攻めるコツ、最後にSketchステッチで軽く仕上げて3Dで確認する流れまでをまとめています。
【著作権声明】

学習目的のコメントのみ。 このページは元の作者(制作者)の作品に対する学習メモ/解説です。権利はすべて原作者に帰属します。再アップロードや転載は禁止配布は行いません。

可能であれば、元動画を作者のチャンネルで視聴し、チャンネル登録で次のチュートリアルを応援してください。1クリックが、より分かりやすい手順解説・撮影品質の改善・実践テストの継続につながります。下の「登録」ボタンから支援できます。

著作権者の方で、修正・出典追記・一部削除などのご希望がある場合は、サイトのお問い合わせフォームよりご連絡ください。速やかに対応します。

目次

文字を形に沿わせる発想(シェイプ文字の基本)

「文字だけ」で見栄えを一段上げるのは、現場でも即効性のあるテクニックです。イラストを一から描かなくても、ロゴっぽい“完成感”を出せます。

本稿は、OML EmbroideryのSueによるEmbird解説を、作業手順として再構成したものです。単にボタン操作を追うのではなく、刺繍データとして破綻しない形状の作り方(=縫えるデータの設計)に焦点を当てます。

流れ自体はシンプルです。

1) シルエット画像の上に文字を置く → 2) 文字をUnionで「1つの形」にする → 3) ノード編集で文字をシルエットに“馴染ませる”。

ただし、画面上で良く見えても、縫うと崩れる典型パターンがあります。特に、Union後に残る“見えない残骸”は、実機でダブルステッチ(過密)を起こしやすく、糸切れや縫い詰まりの原因になります。

このガイドで扱うポイント:

  • 取り込みとスケール調整: 背景シルエットを「約2インチ弱」に抑えて、後工程の縫い(特にサテン相当)が無理にならないようにする
  • 配置の考え方: Embird内蔵フォント(Alphabet 1)で“当たり”を付ける
  • ベクター処理の要: Transform → Shaping → Unionで、分割パーツの文字を「1つの編集可能オブジェクト」に統合
  • ノード編集: F/I/S/Hをそれぞれの領域に合わせて変形(読みやすさを優先)
  • 致命的チェック: Union後の“ゴーストパーツ”を削除してダブルステッチを回避
  • 最終確認: Sketchでステッチ生成し、3D表示で縫い挙動を確認
A black fish silhouette graphic displayed on the Embird workspace grid.
Initial setup of the background image.

スキル前提について(補足): 本稿はEmbirdの中級者(選択・移動・ノードモードへの切替ができる)を想定しています。なお、動画は主にソフト操作ですが、最終的に縫う以上、素材や枠張り条件で結果が変わります。画面上の完成度だけで判断せず、3D表示や試し縫いで“縫える形”になっているか確認してください。

シルエットと文字の準備

Sueは魚のシルエット画像を読み込み、Edit Image Windowでサイズを確認しながら調整します。狙いは横幅が約2インチ弱です。

なぜ「約2インチ弱」なのか。 動画内の意図は明確で、サイズが大きすぎると(特にサテン相当の)ステッチが長くなりすぎて不安定になるためです。まずは小さめ・シンプルなシルエットで始めるのが安全です。

The word 'fish' in a serif font is placed over the silhouette.
Adding letting to the design.

シルエットが効く理由(まずは“単純形状”が正解)

シルエットは、文字を押し込むための「境界線」になります。境界が明確だと、ノード編集の判断が速くなり、形も破綻しにくくなります。

  • チェックポイント: ノードが増えすぎると、曲線がガタつきやすくなります。必要以上にノードを増やさず、「効くところだけ」動かすのがコツです(Sueも“全部いじらない”と話しています)。

事前準備(ソフト解説でも、縫いを想定しておく)

この工程はソフト中心ですが、Union後の過密や、変形しすぎによる可読性低下は、実機でトラブルになりやすい部分です。

  • チェックポイント: 仕上げで3D表示に切り替えて、密度が不自然に濃い箇所(黒く潰れて見えるような箇所)がないかを確認する習慣を付けてください。

切り札:EmbirdのUnion(統合)ツール

Sueは内蔵フォント Alphabet 1 を選び、「fish」と入力してシルエット上に拡大配置します。Embirdでは文字が個別オブジェクトとして扱われるため、まずは全体を大きくしてから、各文字をだいたいの位置へ動かします。

Menu showing Transform -> Shaping -> Union being selected for the letter F.
Merging vector parts using the Union tool.

先に“ゾーン分け”、あとで精密化

Sueの進め方は、いきなり細部を作り込まず、先に配置の当たりを付ける手順です。

  • F: 尾(テール)側
  • I: 背中(上側)の空き
  • S: 腹(ボディ)側のカーブ
  • H: 頭〜鼻先

現場のコツ: まずは回転でごまかさず、文字は立てたまま置いておきます。読みやすさを残したまま、ノード編集で“形に寄せる”ほうが破綻しにくいです。

なぜUnionが必須なのか

フォントの文字は、見た目は1文字でも内部的には複数パーツ(棒・飾り・接続部など)に分かれていることがあります。分割のままノードを動かすと、パーツ同士の整合が崩れて「文字としての一体感」が壊れます。

そこで使うのが Union(ブーリアン統合) です。

  1. 文字をUngroup(グループ解除)
  2. その文字を構成するパーツをすべて選択
  3. Transform → Shaping → Union

これで文字が「テキスト」ではなく、ノード編集しやすい単一形状になります。

The letter F in node editing mode, showing control points (nodes) being dragged.
Node editing the F to fit the tail.

注意:Unionは“下に残骸が残る”ことがある

ここが最大の落とし穴です。Sueも繰り返し注意している通り、Unionで新しい形ができても、元のパーツが下に残る場合があります。

残したままだと、実機では「元パーツ+Union後パーツ」を両方縫ってしまい、ダブルステッチ(過密)になります。

  • 結果: 密度が上がりすぎて縫いが硬くなる/糸切れの原因
  • 対策: Union後は、不要になった旧パーツ(接続片や断片)を必ず削除

チェックポイント: 3D表示で一部が不自然に濃く見える場合、下に何か残っている可能性があります。

F-I-S-H:ノード編集の手順

ここからは整形工程です。Sueの方針は明快で、「違いが出るノードだけ動かす」。必要以上に触らないことで、文字の雰囲気(フォントの味)も残しやすくなります。

Step 1 — 背景画像の取り込みとリサイズ

シルエット画像を読み込み、Edit Image Windowでサイズ確認。横幅を2インチ弱に調整します(サテンが長くなりすぎないようにする意図)。

Step 2 — 文字の挿入とラフ配置

Alphabet 1で「fish」を入力し、シルエット内に入る程度まで拡大。各文字をゾーンへ移動します。

Selecting the two parts of the letter 'i' (body and dot) to prepare for Union.
Preparing letter 'i' for merging.

チェックポイント: ここでは“完璧に沿わせる”必要はありません。後でノード編集する前提で、まずは大まかに収まるサイズ感にします。

Step 3 — F:Union→ノード編集で尾の角度に合わせる

Fはパーツが多いので、UngroupしてからUnion。ノードモードに入り、尾の角度に沿うように外形を調整します。

The letter 'i' significantly distorted/swollen to look like a bubble at the top of the fish.
Distorting the 'i' to fill dead space.

チェックポイント: フォントの雰囲気(カールや角度)を残す意識で、効く部分だけ動かします。

Step 4 — I:本体+点をUnionし、背中側の空きに“膨らませる”

Iは2パーツ(本体+点)になりやすいので、両方選択してUnion。SueはこのIを、背中側の空きに合わせて“泡(バブル)っぽく”変形しています。

Menu showing the Union command being applied to the letter 's'.
Merging the letter 's'.

注意: Sue自身も触れている通り、変形の結果としてステッチが長くなりすぎる可能性があります。最終的にステッチ生成して確認してください。

Step 5 — S:Union→残骸(接続片)を削除→腹側カーブに沿わせる

SもUngroup→Unionで単一形状にします。その後、Union後に残りがちな小さな断片(接続片)を削除し、腹側ラインに沿うように下側のカーブを引き下げます。

Manually selecting and deleting small leftover connector fragments.
Cleaning up artifacts after Union command.

チェックポイント: Sは崩しすぎると別の形に見えやすいので、中心の流れ(Sらしさ)が残っているかを都度確認します。

Step 6 — H:Union→旧パーツを先に削除→頭〜鼻先へ曲げ込む

HもUngroup→Union。Sueはここで、先に不要パーツを削除してからノード編集しています(後回しにすると画面が散らかりやすい)。右側の縦画を大きく曲げて、頭〜鼻先のラインを作ります。

The letter 'H' positioned in the head area of the fish.
Beginning editing on the H.

直線セグメントを曲線にしたいときは、右クリックで 「To Curve」 を使い、曲げやすい状態にします。

Right clicking a node line segment to select 'to curve'.
Changing a straight line to a curve for better shaping.

チェックポイント: 形を優先しすぎて読めなくなると本末転倒です。Sueも「やりすぎると何の文字かわからなくなる」と注意しています。

The letter H fully distorted to form the nose and head of the fish.
Finalizing the H shape.

Step 7 — (任意)全体を囲うアウトラインを追加

Sueは文字の外側に、魚全体のアウトライン(外形)を追加しています。文字の輪郭ではなく、魚の輪郭を取る意図でノードを置いていきます。

Adding a manual outline vector shape around the entire fish text group.
Creating a containing shape.

アーティファクト(残骸)掃除

Sueが強調している通り、Unionは便利ですが“きれいに終わらない”ことがあります。下に残る旧パーツが、ダブルステッチの原因になります。

Final 3D rendering of the 'fish' text fully shaped into a fish silhouette with sketch stitching.
Reviewing the final result.

実務向け:Union直後の掃除手順(確実に潰す)

動画の注意点に沿って、次の流れを習慣化してください。

  1. 対象パーツをUnion
  2. いったん何も選択していない状態にする
  3. Union後の新しい形を、少しだけ横へ動かす
  4. 元の位置に残っているパーツ(断片・接続片)を選択
  5. 削除
  6. 新しい形を元の位置へ戻す

「残っているかどうか分からない」状態を作らないのが目的です。

コメントで多かった疑問:Font Engineは必要?

コメントでは「Font Engineが必要?」「フォントを持ち込むだけで足りる?」という関心が見られます。

この動画の核は、特定の追加機能よりも、Unionで形状を1つにしてからノード編集するという手順そのものです。まずは内蔵アルファベットで流れを掴み、操作に慣れてから拡張を検討するのが安全です。

ステッチ生成とSketch設定(3Dで最終確認)

最後にSueは、パラメータを試しつつ、最終的に Sketch を選んでステッチ生成し、3D表示で仕上がりを確認します。

Parameters window selecting 'Sketch' stitch style.
Setting stitch properties.

Sketchが合う理由

  • 軽い見た目: 手描き風の雰囲気になり、魚の有機的な形と相性が良い
  • 3Dで判断しやすい: 密度の偏りや不自然な詰まりが見つけやすい

運用チェックリスト(縫う前の最終確認)

  • ゴースト確認: Union後の旧パーツが残っていない(動かして確認)
  • 可読性: 「FISH」と読める範囲に収まっている(やりすぎていない)
  • 3D確認: 不自然に濃い箇所がない/意図しない重なりがない

トラブルシューティング

症状:ダブルステッチ/密度が高すぎる

  • 原因: Unionで新形状を作った後、下に旧パーツ(断片・接続片)が残っている
  • 対策: Union直後に旧パーツを選択して削除する(特に小さな接続片)

症状:ステッチが長すぎて不安定

  • 原因: 画像サイズ(=デザイン)が大きすぎる
  • 対策: 背景画像を約2インチ弱に抑える/必要に応じてステッチ種を見直す

まとめ(この作り方の要点)

この手法で重要なのは、文字を“それっぽく変形する”こと以上に、縫える形状に整える衛生管理です。

  1. Union後の削除が必須: 残骸を残すとダブルステッチになる
  2. ノードは最小限: 触るほど良くなるとは限らない
  3. 読みやすさ優先: シルエットへのフィットより、文字として成立することを優先

ソフト上で完成しても、最後は3D表示と試し縫いで“縫いの現実”に合わせて仕上げてください。