編み地に刺繍をのせる基本:フレンチノット/レイジーデイジー/ステム/サテン/リーフで彩るマルヴァローサ

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編み地に刺繍をのせる基本:フレンチノット/レイジーデイジー/ステム/サテン/リーフで彩るマルヴァローサ
シンプルな編み地が、少しの糸と針で表情豊かに。Expression Fiber Artsの動画「MALVAROSA How To Embroider Your Knit Projects」をベースに、マルヴァローサセーターのヨークを花と葉で飾る5つのステッチ(フレンチノット/レイジーデイジー/ステム/サテン/リーフ)を日本語で丁寧にガイドします。水で消えるペンでの下書き、糸のゆるいテンション、フープ不要など、ニットに適した刺繍の要点を実例とともに解説。読者の質問から「ブロッキングは刺繍前?」「どの針・糸が合う?」などの疑問にも回答します。

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Table of Contents
  1. はじめに:動画で学ぶ“編み地×刺繍”
  2. なにが変わる?ニットに刺繍する魅力
  3. 準備のヒント:下書き・テンション・糸選び
  4. 実践ステッチ1:しっかり固定の「はじめの結び」
  5. 実践ステッチ2:フレンチノットで中心づくり
  6. 実践ステッチ3:レイジーデイジーの花びら
  7. 実践ステッチ4:ステムステッチで茎を描く
  8. 実践ステッチ5:サテンステッチで面を塗る
  9. 実践ステッチ6:葉のかたちと葉脈
  10. 配置のアイデア:ヨークから袖口、裾へ
  11. クイックチェック:仕上がり確認リスト
  12. トラブル対処:引きつれ・形崩れを防ぐ
  13. コメントから:道具・糸・ブロッキングQ&A
  14. プロのコツ:自然なゆらぎと重ね技
  15. 次の一歩:パターンの入手とコミュニティへ

動画を見る:MALVAROSA How To Embroider Your Knit Projects(ExpressionFiberArts)

シンプルなメリヤス地が、花と葉でふわりと咲き出す。手編みのセーターに刺繍をのせると、着るたびに高揚する一枚に生まれ変わります。ここでは動画の流れに沿って、5つの基本ステッチでマルヴァローサセーターを華やぐ方法を、ニットに最適化したコツとともに解説します。

– この記事で学べること – • 下書き、テンション、糸選びなど“ニット刺繍”の前準備の肝 • フレンチノット/レイジーデイジー/ステム/サテン/リーフの実践ステップ • ヨークから袖・裾まで、配置の考え方と自然に見せるコツ • 仕上がりチェックとよくあるつまずきの回避法 • 視聴者の質問から得た実用的なTIPS(ブロッキング、針・糸)

はじめに:動画で学ぶ“編み地×刺繍” ニットに刺繍をのせるのは難しそう? 実はステッチ自体はシンプルで、ルールに縛られず楽しめるのが魅力です。動画のセーターはCandy Keyの“Malvarosa”。DKウェイト、ふっくらとしたバルーンスリーブ、ほどよいゆとりがあり、主にメリヤス編みで構成。プレーンに着ても素敵ですが、ヨークに花刺繍を散らすと、視線をさらう主役級の一枚に。

なにが変わる?ニットに刺繍する魅力 刺繍は後から追加できる“編集力”。編み上がった作品に季節や気分でモチーフを足せ、袖や裾、脇線にも自由に展開できます。

Close-up of hands using a water-soluble marker labeled 'Disappearing Ink' to draw a design onto knit fabric, demonstrating how to plan embroidery.
Use a water-soluble marker to sketch your embroidery design directly onto the knit fabric. This helps visualize the pattern before stitching. Remember to test the marker on a scrap piece of yarn first.

動画でも「ルールはない。思うままに」と語られる通り、曲線や間隔に少しのゆらぎを残すと、植物の自然味が生きます。なお、機械刺繍の道具に親しんでいる人は、手刺繍と混同しないよう注意。たとえば磁気 刺繍枠はミシン用のアクセサリーで、本稿の手刺繍では不要です。

準備のヒント:下書き・テンション・糸選び ・下書きは水で消えるペンで。いきなり本体に描かず、まずはスワッチで“本当に消えるか”を検証しましょう。

Close-up of hands showing loose thread, illustrating the importance of not pulling too tightly while embroidering on knitwear.
Keep your embroidery thread loose, not pulled taut, to prevent puckering your knit stitches. This maintains the fabric's drape and prevents distortion of your design.

・テンションは“ゆるめ”をキープ。強く引くと編み地がつれてシワや凹みの原因に。糸がふんわり乗るくらいが美しいです。 ・糸は手持ちの毛糸、刺繍糸、シルク糸など好みで。動画ではCash Silk Sock Yarnを使用。

Close-up of hands holding a skein of Cash Silk Sock yarn, showing the material used for embroidery in the tutorial.
The tutorial uses Cash Silk Sock yarn for embroidery, but you can choose any yarn, silk, or embroidery thread that suits your aesthetic. Different threads offer varied textures and looks.

コメントではDMCフロス(225, 501, 503, 504, 613, 819, 3046, Ecru)が紹介されました。糸選びに迷ったら、地色とのコントラストと肌あたりで決めるのがおすすめです。 ・フープは不要。編み地を伸ばしてしまう可能性があるため、手でやさしく支えながら進めます。 ・刺繍前のブロッキングは有効。コメントでは“刺繍後は伸ばしづらくなるので事前に”との助言が寄せられています。

実践ステッチ1:しっかり固定の「はじめの結び」 最初に裏側で糸を確実に留める“太めの結び”を作ります。ダーニングニードルに糸端を通し、長い側を針軸に沿わせて6〜7回ゆるく巻き、根元へスライドしてコロンとした結び目に。

Close-up of hands threading a darning needle with dark purple yarn to begin making a chunky knot.
To start securely, thread your darning needle and prepare to create a chunky knot. This ensures the yarn won't pull through the knit fabric.

この結びがあると、最初の数針で裏側の糸端をまたぎながら固定でき、作業が安定します。

Close-up of hands wrapping the dark purple yarn around the darning needle multiple times to form a chunky knot.
Wrap the yarn around your needle about six or seven times loosely. This creates the bulk needed for the chunky knot, securing your embroidery thread.

注意 ・巻きはきつく締めすぎない。ふくらみが出る程度にゆるく巻くのがコツ。 ・結びが小さくて抜けそうなら、やり直して“太さ”を確保しましょう。

実践ステッチ2:フレンチノットで中心づくり 花の中心に小さな粒感を与える定番ステッチ。裏から針を出すときは、編み地の“穴”ではなく“糸そのもの”を割って出すと固定力が増します。

A darning needle emerges through the knit fabric, demonstrating the correct way to start a French knot by splitting a yarn fiber, not entering a hole.
Bring your needle up through the actual yarn fiber of the knit fabric, not through an open hole. This provides a more secure anchor for your French knot.

手順 1) 糸を片手で持ち、針に2回巻きつける。 2) 針先を元の位置(またはすぐそば)に戻し、巻きを軽く押さえたまま糸を引き締める。 3) 最後に手を離すと、ぷっくりとしたノットが完成。

Close-up of hands wrapping the dark purple yarn twice around the darning needle, forming the basis of a French knot.
To make a French knot, wrap the yarn twice around your needle. Maintain slight tension to keep the wraps neat as you prepare to insert the needle back into the fabric.

クイックチェック ・ノット同士が重なりすぎていないか? ・編み地が引きつらず、表面に自然に“乗っている”か?

コメントから 「最初は目の中を割って通し、その後は穴を使っていたのは?」という質問には、「最初は結びの固定のため。固定後は穴からでOK」との回答が。理屈がわかると安心して進められます。

実践ステッチ3:レイジーデイジーの花びら 中心(フレンチノット群)の近くから針を出し、すぐ脇に戻して糸をほぼ引き切らず“ループ”を残します。

Hands demonstrating the start of a Lazy Daisy petal by bringing the needle up, inserting it back down, and pulling most of the yarn through to form a loop.
Begin a Lazy Daisy petal by coming up next to the flower's center, going right back down, and pulling the thread almost all the way through, leaving a loop. This loop will form the body of your petal.

花びらの先端にしたい位置から針を出してループを押さえ、ループの外側へひと針落として留めます。

Hands securing a Lazy Daisy petal by bringing the needle up at the petal's desired tip and inserting it down on the outside of the loop.
Secure the petal by bringing your needle up where you want the petal's top to be, then pushing it down on the outside of the loop. This locks the petal into its characteristic shape.

これを周囲にぐるりと繰り返せば、素朴で可憐な花が咲きます。

プロのコツ ・花びらの長短を少しだけ揺らすと、自然な表情に。 ・大輪にしたいときは花びら数を増やし、隙間があればサテンで埋めて密度を調整。

実践ステッチ4:ステムステッチで茎を描く まっすぐも曲線も得意な“ロープ状”の線。編み地の“1目列”に沿って進むと整います。糸は常に針の下側に置き、2目分先へ刺して、1目分戻った位置から針を出す“バックトラック”を繰り返します。

A darning needle inserted into knit fabric, with the thread held below, to begin a stem stitch.
Start the stem stitch by bringing your needle up and holding the thread below it. This position is key for creating the neat, twisted appearance of the stem stitch.
Hands demonstrating the 'backtracking' motion for stem stitch, where the needle comes up one stitch over from where it went down.
After inserting the needle two stitches over, bring it back up one stitch. This 'backtracking' creates the continuous, rope-like texture of the stem stitch.

このリズムで、ヨークの曲面にも自然に沿うラインが描けます。

クイックチェック ・ステッチの間隔は一定か? ・カーブで無理に引かず、糸を寝かせるように沿わせているか?

実践ステッチ5:サテンステッチで面を塗る 円や楕円、花びらなど“面”を埋めて質感を作る方法。片側からもう一方へまっすぐ長い針目をかけ、平行に並べて隙間を埋めます。

A darning needle inserted to create the first long, straight stitch for a satin stitch, intended to fill a shape.
For satin stitch, imagine an area to fill, like a circle. Insert your needle on one side and bring it up on the opposite side, creating a straight line to begin filling the shape.
Hands continuing to make parallel stitches to fill a square shape with satin stitch, showing the filling process.
Continue making parallel stitches side-by-side to densely fill the desired area. You can adjust the tightness of the stitches to create different textures and coverage.

密度は好みで調整。軽やかにしたいなら粗め、光沢を出したいなら密に。

注意 ・引きすぎると編み目が沈んで段差が出るので、ふわりと“乗せる”。 ・広い面は途中で方向を少し変えて、光の反射を分散させるとムラが出にくい。

実践ステッチ6:葉のかたちと葉脈 中央線(葉脈)を想定し、中心から左右に交互に斜めの針目をかけて輪郭を作ります。

A darning needle creating a diagonal stitch from the center outwards, forming one side of a leaf.
Start a leaf by making diagonal stitches from a central point, alternating sides to create the leaf's shape and veins. This builds the foundational structure of your embroidered leaf.

最後に中央へまっすぐ一針落とすと、葉脈の通った生き生きした葉に。

A darning needle completing a leaf by making a straight stitch down the center, forming a central vein.
Finish your leaf by making a straight stitch down the center, which acts as the main vein. This adds definition and completes the leaf's natural appearance.

トラブル対処:引きつれ・形崩れを防ぐ ・パッカリングが出たら…糸をそっと浮かせるように裏から針で持ち上げ、余剰テンションを逃がす。 ・ノットが沈む/抜ける…最初の数針は裏で糸端をまたぎ、結びを補強。必要ならノットを作り直し。 ・線がガタつく…編み地の目列に沿って進む。カーブは針目をやや細かく。

配置のアイデア:ヨークから袖口、裾へ ヨークに花束のように集める、袖の縦線に沿ってツタを這わせる、裾や両脇に点在させるなど、配置は自由。動画でも「袖や裾、サイドにもOK」と紹介。写真を撮ってモノクロにすると、濃淡のバランスが客観視しやすく、刺繍量の加減が決めやすくなります。

ミニ補足:ミシン派へのメモ(読み飛ばしOK) 手刺繍の記事ですが、機械刺繍に慣れた方のために用語を補足しておきます。たとえばmighty hoopsnap hoop monsterはミシン用のホーピングツール。兄弟機ではbrother 刺繍枠、ベビーロックではbabylock 刺繍枠、ジャノメではjanome 磁気 刺繍枠、工業機ではtajima 刺繍枠などが知られます。とはいえ本稿のテクニックはすべて“手刺繍”向け。ミシン用の器具は使いません。

クイックチェック:仕上がり確認リスト ・ノットや花びらは均一? それとも“自然な揺らぎ”が出ている? ・線のカーブは目列に沿って滑らか? ・サテンの面は必要なだけ埋まっている? 透け感の意図は達成できた? ・裏側の糸始末は平らで、肌に当たっても気にならない?

コメントから:道具・糸・ブロッキングQ&A ・針は?…動画はダーニングニードルを使用。コメントでは「刺繍針でもOK」との回答。 ・糸は?…手持ちの毛糸、刺繍糸、シルク糸など自由。コメントではDMCフロスの具体色が紹介されました。 ・ブロッキングのタイミングは?…「刺繍前に」。刺繍後は伸びが制限され、引きつれやすいとのこと。 ・下書きはどう描く?…水で消えるペンで。まずスワッチで消えるかを試すのが鉄則。 ・編み地の“穴”と“糸の間”、どちらに通す?…開始時は糸を割って通すと固定力UP。固定後は穴でもOK。

プロのコツ ・“ヨークの曲面”を意識してラインを流すと、立体感が増します。 ・花の密度は“中心密・外周疎”にすると、自然なグラデーションに。 ・色選びは2〜3トーンの近似色+1色の差し色が万能。コントラストは地色との相性で調整を。 ・肌当たりが気になる場合は、裏の糸始末を結びだけでなく数目に渡ってすくい、凹凸を減らす。

注意(安全と品質) ・強いテンション、結びの不足、フープによる伸びは、いずれも“形崩れ”の原因。 ・水で消えるペンはメーカーや色で挙動が違うことも。必ずスワッチで事前テストを。

次の一歩:パターンの入手とコミュニティへ ・パターン入手:ExpressionFiberArts.comから“Malvarosa”をダウンロード。サイトでは使用糸のリンクも案内されています。 ・糸選び:動画ではDewy DK(やわらかなつけ心地のDKベース)が紹介。コメントには配合(70%スーパーウォッシュメリノ+20%ナイロン+10%シルク)情報もありました。肌あたりと発色の両立に向くベースです。 ・学びを続ける:サイトでメール登録すると毎週フリーパターンの配信あり。作品の共有や質問も、コミュニティで気軽にどうぞ。

小さなまとめ はじめの結びで“土台”をつくり、フレンチノットで花芯を。レイジーデイジーで花びらを広げ、ステムで線、サテンで面、リーフで息吹を添える。大切なのは、ニットのふくらみを尊重して“ゆるく、やわらかく”。今日仕上がったセーターに、明日は一輪の花を咲かせてみませんか。

補足ノート ・袖や裾、脇線への展開は、よく触れる部位ほど裏の糸始末を丁寧に。細かな引っかかりを回避できます。 ・洗濯の心配がある場合、色落ちしやすい色(特に赤系)は事前に単独で手洗いテストを。コメントでも“先に糸を手洗いして色移りを見る”という実践的なアイデアが共有されています。

さらに知っておきたい(機械刺繍の話題を少しだけ) 手刺繍と機械刺繍は道具が大きく異なります。ミシンを使う場合は、磁力やスナップで挟むホープ類(例:磁気 刺繍枠)を用途に合わせて選択しますが、本記事の手法には不要です。道具選びの迷子を防ぐためのメモとして残しておきます。

最後に 動画のメッセージは明快です。「ルールはない。自然をまねて、自由に」。あなたの編み地に、あなたの花を。完成したら、ぜひ見せてください。コミュニティで会いましょう。

おまけ:用語メモ(機械刺繍派) ・ブラザー系:brother 刺繍枠 など機種別に多彩。手刺繍では使用しません。 ・ベビーロック系:babylock 刺繍枠。こちらもミシン用の治具です。 ・スナップ系ホープ:snap hoop monster は着脱簡単なタイプ。手刺繍では不要。 ・工業/プロ向け:tajima 刺繍枠 など。用語の違いだけ把握しておくと情報収集がスムーズです。