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1 素材選びが仕上がりを決める
チェーンステッチの「手刺繍風」を活かすには、土台となるロンパースの生地感と安定化資材の選択が要です。ニットは伸縮と厚みがあるため、布地の動きを抑えつつも風合いを損なわないバランスが求められます。
1.1 ロンパース選びのポイント
・ニットの目が詰みすぎていないものはチェーンステッチの陰影が映え、見た目がやさしく仕上がります。なお、卸での入手先はコメントでは言及がありましたが、この記事では販売情報の詳細には立ち入りません。 ・色は糸色とのコントラストが出るものだと、チェーンの輪郭が整って見えます。 ・襟ぐりや股のスナップ部が大きく開くほど、マシンアームの通し入れが楽になります。
プロのコツ：フォントの印象は性別を限定しません。コメントでは「男の子にも使える？」という質問に対し、制作者は「好み次第」と回答しています。実例はEtsy等にもあり、カジュアルなニットアイテムと相性良好です。
1.2 スタビライザーと接着剤：ニットの親友
・スタビライザーはポリメッシュ・カットアウェイを使用（動画準拠）。ニットの伸びを穏やかに抑え、衣類の裏側でもゴワつきにくいのが利点です。 ・ベイスティング接着剤（スプレー）で仮貼りしてからフープインすることで、フープ入れ中のズレを防ぎます。 ・トップに水溶性のトッパーは必須ではありません。コメントでは「使わなくても美しく縫えた」との制作者回答があり、「使うとより安心」という補足意見も紹介されました。
注意：ニットの種類やパイルの長さによってはトッパーを使ったほうがエッジが整う場合もありますが、本プロジェクトでは未使用でも良好な結果でした。
1.3 チェーンステッチ・フォントの魅力
・手刺繍風の立体感と温かみが最大の特徴。今回は「Bold Chain Stitch」書体を使用しています。 ・太さや連結位置によっては大文字の始筆や終筆が繋がらないケースがあります。動画ではKの連結を断念していますが、全体の見栄えは十分キュートにまとまっています。
クイックチェック：仕上がりを事前に確認するため、実寸テンプレートのプリントは必須。胸の位置でのサイズ感・間隔を実物上で確かめます。
チェックリスト（素材選び）
- ニットのロンパース（清潔で平らにできるもの）
- ポリメッシュ・カットアウェイ・スタビライザー
- ベイスティング接着スプレー
- 刺繍糸（デザインは1色）
- 仕上げ用Tender Touch（裏面保護）
ここで、将来の作業効率化としてマグネット刺繍枠の導入を検討するのも一案です。今回は標準フープで進めますが、磁力で均一に保持できるフレームはニットのたわみを減らしやすいと感じる場面があります。
2 Embrillianceで名前をデータ化する
Embrillianceを使って、チェーンステッチ・フォントで名前をレイアウトし、流れよく「連結」させます。ここは後戻りの手間を減らす重要工程です。
2.1 作業環境とフープ設定
・Embrillianceでフープ設定を行います。動画では「8x9 Mighty Hoop設定」でレイアウトされました（実際の刺繍は標準フープ）。 ・一時的に大きめのフレーム設定で当たりを見て、のちにサイズ調整する手順でもOKです。
ここで、ソフト上の設定名としてmighty hoop 8x9 マグネット刺繍枠を確認しつつも、実作業は標準フープで行う点を混同しないようにしましょう。
2.2 文字入力と連結調整
・BXフォーマットのチェーンステッチ・フォントを読み込み、名前を入力。 ・各文字をドラッグで寄せ、筆記体として自然につながるよう手作業で調整します。 ・大文字や末尾の下降部は干渉しがち。動画ではKの終筆が繋がらず別体のまま採用。見た目のバランスを優先し、無理な接続は避けています。 ・コメントでは「文字単位でサイズ変更できる」との指摘がありましたが、制作者はステッチの歪みを避けるため不採用という判断でした。
2.3 テンプレートのプリントと保存
・最終レイアウトをプリントして実寸テンプレートを作成（ランシートは1色のため省略）。 ・デザインをUSBへ保存し、マシンへ持ち込みます。
クイックチェック（データ化）
- 文字の重なりや筆の流れが自然か？
- フレーム内に収まるサイズか？
- センター揃え（水平位置）が取れているか？
なお、EM1010ユーザーで、将来的に磁力フレームを使う構成を想定するならマグネット刺繍枠 ricoma em 1010 用という互換観点も早めに調べておくと、作業の見通しが立てやすくなります。
3 ロンパースの下準備：安定させてズレを防ぐ
ベイスティング接着剤でスタビライザーを背面に仮止めして、フープ入れの成功率を上げます。
3.1 裏返してスタビライザーを貼る
1) 股のスナップを外し、ロンパースを裏返しに。 2) デザインより一回り大きいポリメッシュ・カットアウェイをカット。 3) スタビライザーにベイスティング接着剤をスプレーし、前身頃の裏側に平滑に貼り付けます。
4) シワや気泡があれば、手でならして密着させます。
5) 再び表に返し、フラットな状態を作ります。
注意：接着剤は必要量のみ。多すぎると布地が波打ったり、針に付着しやすくなります。
3.2 センターを出す：折り目で精度アップ
・前身頃を縦半分に折り、肩線や脇線を揃えて薄い折り目を作ります（センターガイド）。
・テンプレートの中心線をこの折り目に合わせ、襟から「指2本」程度の距離を目安に下げて配置。 ・指同士で左右の距離感を確かめ、見た目のバランスを目検で再確認します。
3.3 テープでテンプレートを固定
・ずれ防止のため、テンプレートを透明テープで固定。
・胸元に当てて正対し、目検で「まっすぐ」に見えるか確認します（制作者は“プロの目検”を自称）。
チェックリスト（下準備）
- スタビライザーはシワなく密着している
- センター折り目が目視できる
- テンプレートが動かないよう固定済み
位置決めの反復作業が多い場合、作業台にhoopmaster 枠固定台のような治具を備えると、左右の揃えと高さ基準の再現が素早く安定します。
4 ニットを“きれいにフープ入れ”するコツ
今回は標準フープを使うため、フープの方向とテンション管理が重要です。
4.1 “上下逆”でのフープインが効く理由
・マシンアームを通す際、襟ぐりより股側の開口の方が広いことが多いです。そこで、フープを上下逆（テンプレートが逆向きになる）に入れて、下側の開口からアームに通す戦略をとります。 ・標準フープは着脱時のストレスで外れやすいことがあるため、布の引っ張りが少ない経路を選ぶのが合理的です。
プロのコツ：磁力フレームの運用に慣れると標準フープが煩雑に感じる場面もあります。実際の動画でも「Mighty Hoopに慣れてしまった」との本音が漏れていました。サイズの選択肢としては、胸中央の名入れ専用に5.5 mighty hoop マグネット刺繍枠を検討するユーザーもいます。
4.2 テンション調整とたわみ防止
・フープのネジは「最小限の力で面を張る」イメージ。過緊張は歪みやフープ痕の原因になります。
・スタビライザーも含め、全面が均一に張れているか、指先で軽く弾いて確かめます。 ・フープの外周に生地が噛み込んでいないか最終チェック。
クイックチェック（フーピング）
- 生地・スタビライザーともにピンと張れている
- フープの噛み込み・巻き込みがない
- マシン装着時にアームの通路が確保できる向き
ニットのフープ入れは、安定治具の併用で精度が上がります。繰り返し作業の現場では刺繍用 枠固定台を活用し、毎回の位置決めバラつきを抑えるのも有効です。
5 EM1010での刺繍：チェーンステッチを安定させる
フープ済みのロンパースをマシンに装着し、輪郭トレースで安全確認してから縫い始めます。
5.1 取り付けとデザインの向き
・ロンパースがどこにも噛み込まず、裏側で自己縫い付けしない状態でアームに通します。 ・デザインの向き（上下）を必ず再確認。フープを上下逆で入れているため、ソフト側でもデザインを上下反転しておく必要があります。
注意：チューブ状アイテムの“自己縫い”は初心者が最もやりがちな失敗。アーム周辺とフープ外の布が遊んでいないか丁寧に確認しましょう。
5.2 輪郭トレースの重要性
・ニードル1をデザインのセンタークロスに合わせ、輪郭トレースを実行します。 ・フレームに接触しないか、動線上で障害がないかを確認。 ・ここで問題があれば、マシン上で位置微調整するか、必要に応じてフープ入れからやり直します。
クイックチェック（トレース）
- センター合わせが正確
- フレーム干渉がゼロ
- 走行中の布の引っ掛かりがない
5.3 ステッチアウトを見守る
・チェーンステッチのループが均一か観察し、糸切れ・張力ムラがあれば中断して対処します。
・動画では一部にループの緩みが見られました。これはテンションが原因のことが多く、ミシン側の張力調整やスレッディングの見直しが回復策です。 ・コメントでは総ステッチ数は8,444と共有されています。
注意：テンションの微調整や速度など、具体値は動画では明示されていません。機種や環境により適正は変わるため、症状を見て段階的に調整しましょう。
チェックリスト（刺繍前〜最中）
- デザインの上下反転が正しい
- トレースで接触なし
- チェーンの輪が均一に形成されている
磁力フレーム運用に興味がある場合は、EM1010のユーザー事例としてricoma mighty hoops マグネット刺繍枠やマグネット刺繍枠 brother 用の市場情報を参考に、将来導入の見通しを立てるのも良いでしょう（本プロジェクト自体は標準フープで完遂）。
6 仕上げ：肌ざわりと耐久性を高める
ステッチ完了後は、裏面の処理とTender Touchの貼付で赤ちゃんに優しい仕上げにします。
6.1 裏面の糸端処理とスタビライザーのカット
・フープを外し、ロンパースは裏返しに。 ・スタビライザーはデザインより一回り広く残して周囲をカット。衣類を切らないよう細かいハサミで慎重に。
・短い糸端が気になる場合は、ライターでごく軽くあぶって処理（同じ箇所に炎を当て続けない）。
安全第一：炎は一瞬だけ触れる程度。焦げや穴あきの原因になるため、長時間の加熱は厳禁です。
6.2 Tender Touchで裏面をやさしく
・デザイン全体を覆うサイズにTender Touchをカット（周囲に少し余白を残す）。 ・アイロンで熱接着し、ステッチ全体をカバーします。
・コメントの実用アドバイスとして、角を丸くカットすると剝がれにくいとの声があり、実践的です。
6.3 最終チェックとお披露目
・表に返して全体を確認。ループの乱れがあれば微調整や糸切りで整えます。
・今回の仕上がりは、フォントサイズをもう少し大きくしても“もこっと感”が楽しめそうという所感が述べられていました。
チェックリスト（仕上げ）
- スタビライザーは適量を残してカット済み
- 糸端処理は安全かつ最小限で完了
- Tender Touchが全ステッチを覆い、しっかり密着
将来的にワークフローを省力化したい場合、テンプレートの再現性やフーピング速度を上げるためマグネット刺繍枠 babylock 刺繍ミシン 用などの選定比較や、固定精度を高める枠固定台の導入検討も役立ちます（本記事の作例はEM1010＋標準フープ運用です）。
コメントから
- トッパー（ウォータースル—ブル）は必須？：制作者は未使用でも良好と回答。一方で「使っても損はない」との補足もあり、毛足や編み目によっては採用が安心。
- 文字サイズの個別調整：Embrillianceで可能という指摘あり。ただし制作者はステッチの歪みリスクを回避するため不採用の判断。
- ステッチ数：今回の名前は8,444ステッチとの共有。
- Tender Touchのカット形状：角を丸くすると剝がれにくいという実践的アドバイス。
- 性別と書体：男の子アイテムにも合うかは好み次第。カジュアルなニットと相性がよいとの見解。
仕上がりの目安（クイックチェック）
- 文字の連結が自然で段差がない
- チェーンの輪が均一・ふっくら
- 裏面はやさしくフラット。Tender Touchで肌あたり良好
今回のプロジェクトは、標準フープであっても下準備とトレースを徹底すれば、ニットでも美しい手刺繍風の名入れが実現できることを示しています。もし将来、磁力フレーム運用へ発展させるなら、環境に合う機種対応（例：マグネット刺繍枠 tajima 用やEM1010周辺の選択肢）を事前に把握しておくと失敗が減ります。最後に、作業は常に安全第一で。ライターの使用やマシン周りの巻き込みには十分ご注意ください。