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動画を見る:DIY Paint Brushes(Create to Inspire)
手に入らない時も、アイデア次第で“描ける道具”は作れます。しかも、家にあるもので十分。使い切ったペンのリフィル、テープ、糸にスポンジ——たったそれだけで、6種類の描き味が手に入ります。

このガイドでは、動画の手順に忠実に、材料の選び方から固定、カットのコツ、仕上がりチェックまでを日本語で丁寧に解説。お子さまの工作や美術授業、休日のクラフトにもぴったりです。

■ 学べること
- 絹糸・ほうき毛・ココナッツ繊維・スポンジ・コットン・ウール毛糸で6種のブラシを作る基本手順
 
- ペンのリフィルを柄として使い、糸で結んでテープで固める固定のコツ
 
- 先端を均一に整えるカットの考え方と、用途に合わせた描き分け
 
- 実演の観察ポイントと、トラブル時の見直し箇所
 
注意
- 動画では水性系の表現に向いた例示ですが、塗料適性は塗料ごとに異なります。初めての塗料は目立たない紙端で試し塗りを。
 
- ココナッツ繊維やほうき毛は自然素材のため、個体差があります。量や結束具合で描き味が変わります。
 
クイックチェック
- 結び目は動かないほど締まっているか?
 
- テープは浮きや段差なく巻けているか?
 
- 先端カットは水平で、毛束の偏りがないか?
 
プロのコツ
- テープは“張り”を感じる強さで巻くと、柄と毛束が一体化。ゆるみは描いているうちにズレの原因に。
 
- 先端のカットは少しずつ。いきなり短く切らず、試し塗り→微調整を2〜3回繰り返すと安定します。
 
はじめに:手作りブラシの魅力 身近な素材で“描き味”を設計できるのがDIYブラシの醍醐味。細い線、面塗り、点描、独特のテクスチャまで、6本を使い分ければ自由自在です。ここで紹介する方法は、ペンのリフィルを柄に、毛束を糸で結んでテープで固定するという共通設計。作る順序さえ覚えれば、応用の幅は無限に広がります。
材料と準備(絹糸) 絹糸ブラシは繊細な描線が得意。幅3cmの厚紙に絹糸を60回きっちり巻き、束を作ります(動画 00:29〜00:39)。

ステップ:絹糸ブラシの組み立て 1) 巻いた束を外し、片側をしっかり糸で結び、反対側の輪をカット。2) 結び側に使い終わったペンのリフィル先端を差し込みます(00:41〜01:10)。

3) テープで強く巻き付け固定(01:14〜01:38)。最後に先端を水平に整えるようにカット(01:38〜01:47)。

使いどころ(絹糸) 花びらの縁、樹木の細枝、文字のエッジなど、シャープでコントロールしやすい線に適します。細密ドローイングの塗り分けも快適です。なお、刺しゅう好きの方なら、道具の手づくりは“自分の手に馴染む”という点で刺繍枠 baiにも通じる感覚かもしれません。
広く塗れるほうき毛フラットブラシ ほうきの穂先は張りがあり、平らに整えるとフラットな面塗りに強くなります。初手は“束の底を適度な長さにカット”(01:52〜02:00)から。

組み立てと形づくり(ほうき毛) 束を糸で強く結び、リフィル先端に固定→テープでしっかり巻きます(02:11〜02:35)。最後に先端を平らにそろえると、面を埋めやすくなります(02:35〜02:41)。

描画テクニック(ほうき毛)
- 面塗り:平らな面を寝かせてやさしく引く。
 
- ストライプ:軽く押し当て、方向を変えずにスッと引く。
 
- テクスチャ:先端の角を使い、斜めにタップ。
 
質感が楽しいココナッツ繊維ブラシ ココナッツの外皮から繊維を剥がし、ほぐして束ねたブラシは“自然な荒さ”が魅力。繊維は動画の通り、まずは殻から丁寧に剥ぎ取ります(02:47〜03:04)。

採取と下ごしらえ(ココナッツ繊維) コームで繰り返しとかして繊維を分離・平滑化(03:04〜03:23)。この“ほぐし”が仕上がりを左右します。

ブラシへの組み込み(ココナッツ繊維) 束をきつく結び、リフィル先端に差し込み、テープで確実に固定(03:41〜04:05)。最後に先端を希望の長さ・表情に合わせて整えます(04:05〜04:13)。
質感づくりのヒント
- 斑点模様:先端を垂直に軽くタップ。
 
- 枝葉のボリューム:インク量を控えめに、短いストロークを重ねる。
 
- 岩肌風:乾いた状態でかすれさせると自然なムラに。
 
やわらかダーバー:スポンジ&コットン スポンジは吸いが良く、丸く整えるとスタンプのような“点”がきれいに出せます。まずはスポンジを小さな円錐〜三角形にカット(04:17〜04:40)。

スポンジダーバーの作り方 切ったスポンジをリフィル先端にあて、糸で強く結び、テープで固定(04:40〜05:17)。これでダビング(点描・叩き塗り)に最適なヘッドが完成です。

コットンダーバーの組み立て コットンを丸く成形→リフィルにあて→糸でしっかり結び→テープで覆って固定(05:18〜06:12)。やわらかい発色、ふんわりとした葉や雲、ハイライトの“置き”に向いています。
注意
- ダーバーは“押す・置く”が基本。横にこすると紙を荒らしたり、スポンジを裂く原因になります。
 
- 使用後は水性塗料なら水でやさしくすすぎ、軽く絞って乾燥。作者のコメントでも“洗える”旨が示されています。
 
小さな工夫
- コットンは内側をやや硬めに(密に)丸め、外側はふわっと残すと、中心から外へ自然なグラデが作れます。
 
- スポンジは先端を面取りすると、エッジの角が紙に当たりにくく、丸い点が出やすいです。刺しゅう好きなら、位置決めの感覚はhoopmasterやmighty hoopでの“基準出し”とも似ています。
 
ふわふわ仕上げのウール・ポンポンブラシ ウール毛糸は2通りの組み方が登場。ひとつは“3本取り→ほぐしてコームでふわふわに”(06:17〜06:46)。もうひとつは“幅5cmの厚紙に30回巻き→縛って片側をカットしポンポン状に”(07:36〜08:12)。どちらも、リフィル先端に差し込みテープで固定し、最後に丸みを整えます(06:53〜07:27, 08:16〜08:56)。
ウールをほぐしてふわふわに コームで丁寧に繊維を分けると、空気を含んだ柔らかなヘッドに。点描、もこもこした花や雲、ドライブラシ風のテクスチャに活躍します。
プロのコツ
- ポンポンは“切っては試し塗り”を繰り返し、均等な球体に近づけるとムラが激減。
 
- 巻き数(30回)や厚紙幅(5cm)は動画通り。形崩れが気になるときはテープの巻き起点を毛束の根元より少し手前に置くと安定します。
 
動作チェック:6本を描いて試す 動画後半(08:59〜)では、6本を順に塗り心地チェック。絹糸ブラシは花びらの内側にオレンジを精密に乗せ、狙い通りの細部表現を実現しています。
続いて、ほうき毛やコットン、ウールなども、葉や花びら、点描の表現に用いて効果を比較。コットンダーバーは樹の枝にピンクの葉をふんわり追加し、スタンプ的な“置き”がきれいに決まっています(09:51)。
クイックチェック
- 細描きが欲しい→絹糸(カットは薄めに)
 
- 面を素早く塗る→ほうき毛(しっかり平面カット)
 
- 質感やかすれ→ココナッツ繊維/ウール
 
- 点を並べる→スポンジ/コットン(垂直タップ)
 
トラブルシューティング
- 毛束がぐらつく:結束が甘い/テープの張り不足。結び直し&テープを強く。
 
- 先端が広がりすぎる:カットのしすぎ。いったん描いてから“少しだけ”戻すイメージで微修正。
 
- インクが出すぎる:スポンジ/コットンは一度別紙で余分を落とす。
 
コメントから:現場の声とQ&A
- 洗える?→作者が“洗える”と回答。水性なら軽くすすぎ、陰干しでOK。
 
- どれがベスト?→“用途次第。作者の好みはほうき毛とココナッツ繊維”とのこと。
 
- 動画が速い→“もっとゆっくり見たい”との声も。巻き数や幅は本文の数字を参照し、停止・倍速調整で確認を。
 
- 使える?→“家で作ってうまくいった”というポジティブ報告も多く、実用性が伺えます。
 
まとめと次のアイデア 6本のDIYブラシは、材料と手順がシンプルで繰り返し再現しやすいのが魅力。ペンのリフィルを柄にする設計は軽く、手の延長のように扱えます。まずは動画どおりに1本ずつ作り、描きたいモチーフに合わせて先端のカットや束の密度を微調整していきましょう。
応用のヒント
- 材料の量を変える:毛量を増やせばインク保持量が上がり、面塗りに強く。
 
- 先端形状を替える:斜め切りでライン&面の両立、角丸で均一な点描。
 
- 材料ミックス:ココナッツ繊維に少し絹糸を足して、コシと柔らかさのバランス調整。
 
刺しゅうやクラフト愛好家なら、道具の“保持と固定”の重要性はおなじみ。例えばbrother 刺繍枠やbernina 磁気 刺繍枠のように、安定した固定が精度を上げます。ブラシも同じ——結束とテープの張りが描線を決めます。
さらに深掘りしたい方へ
- 位置決めの考え方はhoopmaster mighty hoopやdime snap hoopなどの固定具を扱う発想と共通。基準点(結び目の位置・テープの巻き始め)を一定にすると、量産しても品質が揃います。
 
- 別の工作に展開するなら、マスキングやステンシルと組み合わせて、点描やかすれを背景づくりに活用してみましょう。
 
最後に——“手で作る道具”は、作る過程そのものがクリエイティブ。あなたの描きたいイメージに合わせて、巻き数や束の密度、先端の形を少しだけ変えれば、オリジナルの描き味が必ず見つかります。作品づくりの第一歩に、まずは1本。次にもう1本。楽しんでください!
