Embrilliance Stitch Artistで作るパッチ入門:アップリケとサテン縁取りを正確にデジタイズする方法

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Embrilliance Stitch Artistで作るパッチ入門:アップリケとサテン縁取りを正確にデジタイズする方法
Embrilliance Stitch Artist(レベル1の機能のみ)で、アップリケの「配置/タックダウン」からサテンボーダーまでを初めてでも迷わず進められるように、日本語で丁寧にガイドします。フープやファイルタイプの事前設定、画像の取り込みと100%スケールの考え方、プル補正やアンダーレイの基本も要点だけをすっきり理解。短時間の動画内容を実務で使える手順へ落とし込みました。

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Table of Contents
  1. はじめに:動画のポイントと本ガイドのねらい
  2. Embrillianceの準備:フープと環境設定
  3. 画像のインポートと100%スケールの徹底
  4. 精度を上げるズーム運用
  5. アップリケ基礎:配置とタックダウンの二段構え
  6. サテンボーダーを作る
  7. プル補正とアンダーレイの理解
  8. 最終調整:位置合わせと糸色の割り当て
  9. クイックチェック:出力前の最終確認
  10. トラブルシューティングと回避策
  11. プロのコツ
  12. コメントから:視聴者の疑問に答える
  13. 次の一歩:練習課題と応用のヒント

動画を見る:Stitchback Stories「How to Digitize a Patch using Embrilliance Stitch Artist (Applique & Satin Border)」

短時間で、アップリケの基礎からサテンボーダーの完成まで。小さな差が仕上がりを大きく変える“精度のコツ”が、この動画には詰まっています。デジタイズの第一歩を、迷いなく踏み出しましょう。

Woman holding up a completed custom patch with a Monstera leaf design.
Michelle introduces the video by showing a finished custom patch, which features an appliqué Monstera leaf and a satin border, created using the Embrilliance Stitch Artist software.

学べること

  • Embrilliance Stitch Artistの事前設定(フープ・ファイルタイプ・タイステッチ)
  • 画像の取り込みと100%スケールの考え方、ロック運用
  • アップリケの配置(ポジション)/タックダウン(マテリアル)ステッチの作り方
  • サテンボーダーの幅設定、プル補正、アンダーレイ(Edge Run/Parallel/Zig-Zag)の意味
  • 配置の最終調整、糸色割り当てと試縫いの考え方

はじめに:動画のポイントと本ガイドのねらい 本動画は、カスタムパッチをEmbrilliance Stitch Artistでデジタイズするシリーズの第1回。アップリケとサテンボーダーの設計に焦点を当てています。作者はStitch Artist Level 2を所持していますが、解説はレベル1の機能内で完結。機能の絞り込みが明快で、初中級者の最初の壁を丁寧に取り払ってくれます。

Screenshot of the Embrilliance Stitch Artist software interface.
The Embrilliance Stitch Artist interface is displayed, showing a blank hoop area. The speaker notes she will use tools available in Level 1 of the software.

Embrillianceの準備:フープと環境設定 はじめにPreferencesから環境を整えます。ファイルタイプは使用ミシンに合わせて選択(動画ではBrother向けのPESを例示)。フープはプロジェクトに合うサイズを選び、今回は4×4(100mm×100mm)で解説しています。加えてJumps & Overlapsで「Ensure ties surrounding jumps(ジャンプ前後のタイステッチ)」にチェックを入れ、糸処理の安定を確保しましょう。

Embrilliance preferences window open to Hoops settings.
The preferences window is open, showing the 'Hoops' settings where the file type (PES for Brother) and hoop dimensions are selected. This ensures compatibility with the embroidery machine.

注意 - フープサイズが実機と不一致だと、縫製範囲を超えてしまいます。

Embrilliance preferences window open to Jumps & Overlaps settings.
The 'Jumps & Overlaps' settings are shown, with 'Ensure ties surrounding jumps' checked. This prevents loose threads and improves stitch quality.
  • ファイルタイプは機種に依存。取扱説明書で拡張子の互換を確認してから進めましょう。

小話:フープサイズと拡張の選び方 4×4での単体縫製は練習に最適。一方、同じデザインを量産するなら5×7で複数配置も有効です。Brother系のユーザーでサイズに迷うなら、検索時に「brother 4x4 刺繍枠」や「brother pe800 刺繍枠 size」の比較情報を参考に、作業範囲や固定力をチェックしておくと安心です。

画像のインポートと100%スケールの徹底 CreateパネルからImageを選び、Illustratorなどで用意した画像を読み込みます。ここで最重要なのが“100%スケール”。仕上げたい実寸(例:2.5インチ)に設定してから、デジタイズを進めるのが肝です。仕上がり寸法=デジタイズ寸法=ミシン出力寸法、の三位一体を崩さない運用がプロ品質の近道。画像はレイヤーをロックして、作業中の誤移動を防ぎます。

File selection dialog for importing an image into Embrilliance.
The file import dialog shows the 'Monstera-patch.png' file being selected for import. It's important to have the image cropped to exact dimensions beforehand.

プロのコツ - 取り込む前に外部アプリで“実寸にトリミング”しておく。余白を持ち込まないことで、スケールの迷いが消えます。

Imported image on Embrilliance canvas with selection handles.
The Monstera patch image is now on the canvas, selected with handles. The image is adjusted to 2.5 inches to match the desired final patch size at 100% scale.

- 作業単位はインチで寸法入力→ミリに戻すのが便利。細かいグリッドで形状の詰めが効きます。

Locked image layer in Embrilliance design panel.
The image layer is locked in the design panel, indicated by a padlock icon. This prevents accidental movement or changes to the background image while digitizing.

精度を上げるズーム運用 動画では“一定倍率のズームをキープ”するアプローチを推奨。ショートカットの1/2/3で100/200/300%に素早く切替。6:1程度まで拡大すると1mmグリッドが読みやすく、わずかなズレに振り回されずに線を引けます。刺繍では1mmの誤差は多くの場合、視認上問題になりません。

Zoomed-in view of the design on the Embrilliance grid.
A zoomed-in view (e.g., 3:1 scale) of the design shows the millimeter grid. This precision allows for accurate tracing, understanding that small deviations are acceptable.

アップリケ基礎:配置とタックダウンの二段構え

  1. まず外周の円を作図

Shiftを押しながらドラッグして完全な円を作成。「Center Design」で中心合わせして、外形寸法を確実に合わせます。

Drawing a perfect circle on the Embrilliance canvas.
Michelle draws a perfect circle around the patch design, holding the Shift key to maintain its circular shape. This circle will form the foundation for the appliqué stitch.
  1. アップリケのステッチタイプを割り当て

StitchパネルでAppliquéを選択。デフォルトのE-stitch(装飾的な縁)は今回は不要なので“Border: None”に変更し、ベースはランステッチでシンプルに。

Applying the appliqué stitch type in Embrilliance.
The 'Appliqué' stitch type is selected from the stitch panel, automatically applying an E-stitch pattern initially. This is the first step in creating the patch's outer fabric layer.
  1. タックダウン(マテリアル)を内側に

Materialを有効化し、Insetを0.4mmに。布端よりわずかに内側で押さえることで、ほつれや縫い外れを予防します(数値は動画例)。

Setting appliqué material inset to 0.4mm.
The 'Material' option is enabled, and the 'Inset' value is set to 0.4mm for the appliqué. This ensures the tack-down stitch falls slightly inside the fabric, preventing fraying.
  1. シミュレーターで順序確認

ポジション→タックダウンの順で動くか、Stitch Simulatorで確認しましょう。ここでズレに気づけるのがデジタイズの強みです。

Stitch Simulator playing the appliqué stitch sequence.
The Stitch Simulator previews the appliqué process, showing the position stitch first, followed by the tack-down stitch. This visual confirmation helps verify the sequence and placement.

クイックチェック

  • 円は外形と一致しているか
  • タックダウンは内側に入っているか(0.4mmの目安)
  • 縫い順が意図通りか(シミュレーターで確認)

サテンボーダーを作る 次に、アップリケの外周円をコピー&ペーストし、Satin Borderに変更。幅は3mmを基準に検討します。なお、コピーしたオブジェクトが同位置に重ならない場合は、ペースト時の挙動や選択状態を必ず見直してください(本件は動画では明記なし)。ボーダー幅は最終見え方とミシンの挙動(後述のプル補正)を踏まえ、現物テストで微調整するのが前提です。

Changing stitch type to Satin Border in Embrilliance.
After copying the appliqué circle, its stitch type is changed to 'Satin Border'. This creates the thick, finished edge characteristic of a patch.

注意

  • ペースト直後は“同座標”に重なるのが理想。もしズレる場合は、編集状態やレイヤーの選択位置を確認。必要に応じて位置合わせ(アライン)を使い、既存の円と幾何学的に一致させましょう。

プル補正とアンダーレイの理解 サテンは実際に縫うと、ジグザグ方向のテンションで中心に引かれ、画面表示より細く仕上がります。これが“プル補正”。よって表示上は意図よりやや太めに設定しておくのが実践的です。3D表示を一時オフにして縫い線(アウトライン)を確認すると、縫製時の挙動がより具体的にイメージできます。

Underlay properties for satin stitch in Embrilliance.
The underlay properties for the satin border are configured, with 'Edge Run', 'Parallel', and 'Zig-Zag' selected. These layers provide stability and ensure complete coverage for the satin stitch.

アンダーレイは土台の縫い構造。ボーダーではEdge Run/Parallel/Zig-Zagの3種類を重ねて安定性と被覆性を確保するのが、動画での方針。過度な高密度は硬化の原因になる一方、縁取りは強度が必要なため、3層構成が理に適います。

補足:フープや固定具の検討 布の浮きやズレはボーダーの被覆ムラに直結します。固定力を高めたい場合、磁力系フレームの情報収集も有益です。例えば、Brother系では「磁気 刺繍枠 for brother」「brother 磁気 刺繍枠」などの比較レビューが参考になります。サテンでの被覆リスクを下げるには、素材×固定の相性確認が欠かせません。

最終調整:位置合わせと糸色の割り当て サテンボーダーの円を中心から等比縮小(Shift押し)して、イラストの縁と視覚的に自然な重なりになるよう合わせます。糸色はThreadsから使用メーカを選択(動画ではMadeira PolyNeonを選択)。画面上の色は実色と差が出やすいため、物理の糸見本で確認する前提が安全です。色は縫いながら変更して試す柔軟さも、デジタイズの醍醐味の一つ。

Resizing the satin border while holding Shift for central scaling.
The satin border is resized inwards by holding the Shift key, ensuring it scales from the center. This precisely aligns the satin border with the visual edge of the underlying design.

プロのコツ - ボーダーの内外余裕が偏らないよう、等比縮小で中心基準に。微小ズレは100%表示に戻して再チェック。

Thread color selection dialog in Embrilliance.
The thread selection dialog is open, allowing Michelle to choose the 'Madeira PolyNeon' brand and a 'Burnt Orange' color for the satin border. It's noted that on-screen colors might not be perfectly accurate to physical thread.
  • サテン幅は“見た目+プル補正”で決める。最終用途(摩耗・洗濯)を想定し、やや強気の幅から入って試縫いで詰める。

クイックチェック:出力前の最終確認

  • フープサイズとファイルタイプ(PESなど)は正しいか
  • 画像は100%スケール/ロック済みか
  • アップリケ:配置→タックダウンの順になっているか
  • サテン:幅設定は目的に合うか、アンダーレイ3種は有効か
  • 糸色は仮でOK。実糸見本での再確認を前提に

トラブルシューティングと回避策

  • 円が歪む:Shiftを押してドラッグ。中心合わせ(Center Design)を再適用。
  • タックダウンが外に寄る:Material Insetを増やして内側へ。ほつれを防止。
  • サテンが細い/地が透ける:幅を拡大し、アンダーレイ(特にEdge Run+Zig-Zag)を再確認。
  • 位置がズレる:3D表示オフで縫い線を確認。オブジェクト順序と基準点を見直す。
  • 固定が甘い:素材に合うフープや固定具を検討。情報収集には「snap hoop monster for brother」のような関連キーワードで使用感のレポートを探すのも手。量産や厚物では「brother 磁気 フレーム」などの固定力も比較。

コメントから:視聴者の疑問に答える

  • 画像作成と取り込み:どんなアプリでもOK。Stitch Artist Level 1はPNG/JPGの取り込みに対応、ベクターの直接インポートは不可。自動デジタイズは“きれいな結果を出せるソフトはない”という回答でした。
  • 使用ミシン:Brother PE800とNQ1600Eを使用。NQ1600Eは静音・高速・自動カット機能が便利とのこと。
  • 価格と入手先:Embrillianceは公式サイトやAmazonで購入可能。参考として約$200とのコメントがありました。
  • コピー&ペースト位置ズレ:動画では設定詳細の言及なし。重ならない場合はアライン機能で幾何学位置合わせを。

補足:フープサイズ選びのヒント 小型フープの運用感や代替策を調べるときは、検索キーワードに「brother 刺繍枠」「brother 磁気 刺繍枠 sizes」「磁気 刺繍枠 for brother pe800」などを加えると、対応サイズや固定感のレビューに素早くアクセスできます。環境に合うフープを選ぶことは、サテンの被覆や綺麗な縁取りに直結します。

次の一歩:練習課題と応用のヒント

  • 同一設計で幅2.5mm/3.0mm/3.5mmのサテンを試縫いし、プル補正後の“見え幅”を比較する。
  • アンダーレイの構成を変えて、手触りと被覆の差を確認する(Edge Runのみ→Parallel追加→Zig-Zagまで)。
  • 量産を想定し、5×7フープで複数面付けレイアウトを作ってみる。
  • 将来の拡張として、固定具の情報も収集。たとえば「brother hoopnetic magnetic sash フレーム」や「磁気 刺繍枠 for brother 刺繍ミシン」などのユーザー事例は、厚手素材や量産時の安定化ヒントになります。

最後に 本記事は、動画のワークフローを“そのまま実務化”できるよう再編集したものです。細部の数値(例:Inset 0.4mm、サテン幅3mmなど)は動画での例示であり、素材やミシン、糸張力で最適解は変わります。必ず小さな端材で試縫いし、あなたの環境に最適な設定へ微調整してください。仕上がりが変わるのは、ほんの1mmと、数クリックです。