Baby Lock SolarisのIQ Designerで花柄を自動作成(外部ソフト不要):図形作成→塗り設定→ステッチ調整→「2種類保存」で失敗を防ぐ

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Baby Lock SolarisのIQ Designer(本体内蔵)だけで、花モチーフをレイヤー構造で作成する手順を、現場で再現できる形にまとめた実践ガイドです。内蔵シェイプから外枠を作り、複製→リサイズ→センター位置合わせを行い、サテン/スティップリング(stippling)/キャンドルウィッキング(candlewicking)を割り当てます。さらに、スティップリング間隔0.080インチ、サテン幅0.040インチの調整ポイントと、編集可能な「作業用ファイル」と最終「刺繍データ」を二重に保存する安全な運用まで解説。仕上がりを崩しやすい枠張り・スタビライザー・検品の要点も併せて確認できます。
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目次

Baby Lock SolarisのIQ Designerとは

Instructor holding up the finished embroidered flower sample on green fabric next to the machine screen.
Showcasing the final result

Baby Lock Solarisをお使いなら、IQ Designerは「PCを立ち上げずに、その場で図案を作って縫える」強力な機能です。外部のデジタイズソフトを使わず、内蔵の図形を組み合わせて、刺繍可能なデータに仕上げられます。

ただし、経験者ほど痛感している通り、画面上の図案がきれいでも、布は伸び・ズレ・シワ(パッカリング)といった“現物要因”で簡単に崩れます。このチュートリアルでは、単なる操作手順に留めず、花モチーフを実際に再現しながら、位置合わせステッチ設定の詰め方、そして「後で直せる保存」の考え方を、作業フローとして整理します。

このチュートリアルで押さえる成功ルート(重要ポイント)

  • 比率固定の拡大縮小:歪みは後工程の縫い品質に直結します。
  • センター位置合わせ:左右差のある“片寄りリング”を防ぎます。
  • ステッチの役割分担:サテン/スティップリング/キャンドルウィッキングで質感差を作ります。
  • 数値で詰める調整:スティップリング間隔0.080インチ、サテン幅0.040インチ。
  • 運用の安全策:「作業用」と「刺繍用」の2種類保存で、編集不能事故を防止。

また、画面操作だけで終わらせず、実縫いで差が出る枠張り・固定の考え方や、作業性を上げる治具/枠の選択肢(例:マグネット刺繍枠 babylock 刺繍ミシン 用)にも触れます。


Step 1: 図形の作成とサイズ設定

Baby Lock Solaris home screen showing options for Sewing, Embroidery, and IQ Designer.
Menu Selection

1) IQ Designerを開く

Solarisのホーム画面から、下部のIQ Designerアイコンをタップします。

  • チェックポイント: 罫線(グリッド)のキャンバスが表示されれば準備OKです。
Shape selection menu displaying various closed geometry shapes including the flower.
Selecting the base shape

2) 花の図形を選び、外側サイズを設定する

  1. Shapes(図形)メニュー(上部アイコン)を開きます。
  2. 花のアウトラインを選択して確定します。
  3. Size(サイズ)へ移動します。
  4. 重要操作: 右上の鍵アイコン(比率固定)をONにします。
  5. 矢印で拡大縮小し、外側の花を5.00インチ付近に合わせます。
Size adjustment screen with scaling arrows and proportionate sizing lock enabled.
Resizing the flower

チェックポイント: 数値表示が5.00インチ前後になっていること。 なぜ重要?: 比率固定がOFFのままサイズを触ると、曲線形状がわずかに歪みます。歪んだ曲線は、後でステッチ化したときに角度や密度の見え方が不均一になりやすく、仕上がりが“ガタついた印象”になります。まずは形状をきれいに保ったまま進めるのが基本です。

Step 2: 複製・レイヤー化と位置合わせ

Canvas showing two identical overlapping flower outlines after duplication.
Checking the duplicate

3) 花を複製して、内側レイヤーを作る

同じ形をもう一度探すより、既存図形を複製する方が速く、形状差も出ません。

  1. Duplicate(複製)(四角が2つ重なったアイコン)を押します。
  2. 複製した花が選択されている状態で、Size(サイズ)へ戻ります。
  3. 内側の花を3.00インチ付近まで小さくします。
Resizing the inner duplicated flower to be smaller than the original.
Creating layers

チェックポイント: キャンバス上に花のアウトラインが2重になり、内外の“リング”ができていること。

4) 内側の花をセンターに正確に合わせる

目視だけで中央を取らないのがコツです。刺繍は針位置が正確なので、わずかなズレがリング幅のムラとして出ます。

  1. 内側の花を選択します。
  2. センター位置合わせ(中央に点がある四角のアイコン)をタップします。
Instructor pressing the center alignment button to align the inner flower.
Aligning objects

失敗のサイン: ここを飛ばすと、後で入れるスティップリングのリングが片側だけ太く/細くなり、見た目のバランスが崩れます。 成功基準: 内側の花が一瞬で“数学的な中心”に吸い付くように揃います。

Step 3: サテンとスティップリングの塗り(フィル)を割り当てる

Region Property menu with Satin Stitch selected and color palette invisible.
Choosing fill type

ここからは「描く」ではなく「縫い方を指示する」工程です。どの領域をどのステッチで埋めるかを決めます。

5) 内側の花をサテンで埋める

  1. Object and Fill Propertiesを開きます。
  2. Satin Stitch(サテン)を選びます。
  3. 操作: 色を選択します(例:青)。
  4. バケツ(塗りつぶし)ツールを有効にします。
  5. 内側の花の中をタップして塗りを適用します。
The inner flower turns solid blue after being tapped with the bucket tool.
Filling the shape

注意(縫いの考え方): サテンは見た目がきれいな反面、領域が広すぎると糸が渡りやすく(引っ掛かりやすく)なります。画面上で「サテン」を選ぶ際は、機能としてのサテン指定になっているかを確認し、仕上がりと耐久性のバランスを意識してください(不安がある場合は、より安定しやすい塗りに切り替える判断も必要です)。

6) 花の内外の“リング”をスティップリングで埋める

  1. Object and Fill Propertiesに戻ります。
  2. Stippling Fill(スティップリング)を選び、見分けやすい別色(例:緑)にします。
  3. バケツツールで、内側と外側の花の間の空いているリング部分をタップして塗りつぶします。
Selecting the Stippling fill pattern from the property menu.
Selecting background texture

チェックポイント: 画面上で「中心(単色)」と「リング(テクスチャ)」の2ゾーンが明確に分かれていること。 補足: スティップリングは、面をベタ埋めする塗りに比べて布への引き込みが出にくい傾向があり、質感づくりにも向きます。

Step 4: 密度(間隔)と幅を数値で追い込む

Line Property menu allowing selection of outline stitch types.
Setting up borders

IQ Designerの初期値は“無難”な平均設定です。仕上がりを一段上げるには、狙いを持って数値調整します。

7) 外側の花の線にキャンドルウィッキングを設定する

  1. Line Property(線のプロパティ)(鉛筆アイコン)を開きます。
  2. 変化が確認しやすいコントラストの強い色を選びます。
  3. バケツツールで、外側の花の線そのものをタップして対象を取ります。
  4. Candlewicking Stitch(キャンドルウィッキング)を選択します。
  5. 確定し、必要に応じて外側アウトラインをタップして適用します。
Using the stylus/finger to tap the outer line to apply the candlewicking stitch.
Applying line property

チェックポイント: 細い線表示が、キャンドルウィッキング特有の“粒(結び目)感”がある見え方に変わること(色を変えておくと確認が確実です)。

8) 「Next」でプロパティ画面に入り、各レイヤーを調整する

Nextをタップしてステッチ化(生成)し、プロパティ調整画面へ進みます。

The 'Next' screen showing the finalized shapes before parameter adjustment.
Reviewing layers

調整A:スティップリングの間隔を0.080インチへ

  1. レイヤー一覧をスクロールしてStipplingの項目を表示します。
  2. Spacing(間隔)を選択します。
  3. 0.080 inchに下げます。
  4. 確定します。
Adjusting the stippling spacing down to 0.080 inches.
Fine-tuning settings

補足(現場感): 間隔を詰めるほどテクスチャはリッチになりますが、その分ステッチ数が増え、布への負荷も上がります。仕上がり優先で詰める場合ほど、スタビライザーや枠張りの精度が結果を左右します。

調整B:サテン幅を0.040インチへ

  1. レイヤー一覧をスクロールしてSatin Stitch(Zigzag)を表示します。
  2. Satin Stitch Widthを選択します。
  3. 0.040 inchに下げます。
  4. 確定します。
Adjusting the satin stitch width down to 0.040 inches.
Fine-tuning width

補足: 0.040インチはかなり細めの設定です。繊細に見える反面、糸質や針の状態、テンションの影響が出やすいので、縫い上がりを見て必要なら作業用データ側で微調整できるようにしておくのが安全です。

Step 5: 最重要ワークフロー:「2種類保存」で編集不能を防ぐ

9) デザインを2回保存する

初心者ほど「保存は1回で十分」と思いがちですが、運用としては2回が基本です。「Set」して刺繍モードへ変換すると、図形(編集可能な形状)として戻せないためです。

  1. 先に作業用ファイルとして保存: 図形編集ができる状態を残します。
  2. Setを押して刺繍データへ変換します。
  3. 刺繍ファイルとしてもう一度保存: 実際に縫うための最終データを保存します(例:.PES/.PHC)。
The final Embroidery Mode screen ready for stitching.
Ready to embroider

チェックポイント: メモリ/USB内に「作業用」と「刺繍用」の2ファイルが存在すること。後日、スティップリング間隔を0.080→0.100に変えたい場合は、刺繍データではなく作業用ファイルを開いて調整します。


刺繍が崩れる理由:縫いの“物理”を先に理解する

画面上で完璧に見えても、実縫いでは布が主役です。特にスティップリングを0.080インチまで詰めると、そのリング部分はステッチが集中し、布を内側へ引き込む力が強くなります。枠張りが甘い/スタビライザーが弱いと、パッカリング(波打ち)が出やすくなり、後からのプレスでは戻りません。


準備:見落としがちな消耗品とスタビライザーの考え方

枠に触る前に、最低限ここを揃えると途中停止のリスクが下がります。

消耗品チェックリスト

  • 針: 新しい刺繍針(例:75/11または90/14)。
  • 下糸(ボビン糸): 残量を確認(密度を詰めると消費が増えます)。
  • 糸切りハサミ: 飛び糸処理用。
  • スプレー糊(任意): スタビライザーに布を安定させたい場合に有効。

生地×スタビライザーの判断(考え方)

狙いは「0.080インチの密度に負けない支持力」です。

  1. 伸びる生地(ニット/Tシャツ系)ですか?
    • 注意: 伸縮はズレと波打ちの原因になります。
    • 対策例: カットアウェイ系+必要に応じて上面の補助を検討。
  2. 安定した生地(キルティングコットン/デニム等)ですか?
    • 選択肢: ティアアウェイでも進められますが、密度を詰めるほど支持力の高い構成が有利です。

注意: 機械安全。糸処理や確認の際、針周りに指を入れないこと。停止状態でも、必ず安全を確認してから作業してください。


セットアップ:枠張りの安定性と作業性の改善

失敗の多くは枠張りで起きます。布は「太鼓のようにピン」と張りつつ、引っ張って歪ませないのが理想です。

標準枠で起きやすい問題

一般的な樹脂枠は、張りを出すために布を引っ張りがちで、目(地の目)が歪むことがあります。枠から外した瞬間に布が戻り、円が楕円に見えるなどのズレにつながります。また、デリケート素材では枠跡が残りやすい点も課題です。

こうしたストレスから、Solarisユーザーがbaby lock マグネット刺繍枠へ移行するケースがあります。

マグネット枠が選ばれる理由(作業性の観点)

量産や段取り時間短縮、手の負担軽減を狙う場合:

  1. 歪ませにくい固定: 引っ張って締め込む工程が減り、布をニュートラルに保持しやすい。
  2. 枠跡の軽減: 摩擦リングが出にくい。
  3. 段取りが速い: 枠張りの再現性が上がりやすい。

この花(外側5.00インチ)を縫う場合は、作業領域に合うマグネット刺繍枠 babylock 刺繍ミシン 用を前提に、画面表示の枠サイズと実枠が一致しているかを必ず確認してください。

注意: マグネットの取り扱い。強力な磁石は指を挟む危険があります。電子機器や磁気カード等にも近づけないでください。

事前チェック(縫い始める前)

  • スタビライザーと生地が安定して固定できている
  • 地の目が目視でまっすぐ
  • 画面の枠サイズ表示と、実際の枠が一致
  • 糸確認: 上糸経路に引っ掛かりがない/ボビン周りの糸くずが少ない
  • 停止ボタンの位置を把握

実縫い:進行中に見るべきポイント

刺繍データを読み込み、縫いを開始します。

進行中チェック(感覚で見る)

  1. 内側のサテン
    • 見た目: エッジがきれいに出ているか。
  2. スティップリング(負荷が出る工程)
    • 見た目: リング幅が均一か。布が波打ち始めていないか。
  3. キャンドルウィッキング外周
    • 見た目: 粒感が潰れず、輪郭として見えるか。

縫い上がり後チェック

  • 飛び糸を処理
  • 裏面の下糸(ボビン糸)の出方が極端に偏っていない
  • 枠から外すときは無理に引っ張らず、固定を解除してから取り外す
  • マグネット刺繍枠 babylock 用を使う場合は、磁石を横方向にずらして外し、急に“跳ねる”外れ方を避ける

品質チェック:合否の目安

項目 合格(業務品質の目安) 不合格(要見直し)
左右対称 スティップリングのリング幅が均一 片側だけ太い/細い(位置合わせ不足)
フラット性 机に置いても反りが少ない 波打ち・反り(支持不足)
輪郭の見え方 キャンドルウィッキングが粒として見える 潰れて塊に見える(テンション等の影響)
スティップリング 均一なテクスチャ(0.080インチ) スカスカ/逆に硬すぎる印象

トラブルシューティング:症状→原因→対策

症状 主な原因 対策
アウトラインと塗りの間に隙間が出る 布ズレ(押し引き) 1. 固定を強化(スタビライザー見直し)。<br>2. デザインに合うbabylock マグネット刺繍枠 サイズの検討(ズレ抑制の観点)。
スティップリング部が波打つ(パッカリング) 密度が生地条件に対して高い 1. 作業用ファイルで間隔を0.100または0.120へ戻して再検討。
上糸が表でループする 上糸テンション/糸掛け不良 1. 上糸をかけ直す(押さえを上げてから)。<br>2. 糸が引っ掛かっていないか確認。
後から編集できない 刺繍データだけ保存した 予防: 「Set」の前に必ず作業用ファイルを保存。
枠跡が残る 枠の摩擦・締め付け 対策: フラットにクランプできる枠の検討(例:マグネット枠)。

まとめ:次に伸ばすポイント

この手順で、Solaris本体だけで「5.00インチの花モチーフ」を作り、スティップリング間隔0.080インチ/サテン幅0.040インチまで詰めたデータを、作業用+刺繍用の2種類で安全に保存できます。

次のレベルアップ: 枠張りが毎回ブレる、段取りに時間がかかる、枠跡が気になる場合は、固定方法の見直しが効果的です。Solarisの性能を縫い上がりに反映させるには、布を“動かさない”ことが最重要です。必要に応じてマグネット刺繍枠のような選択肢も検討し、作業用ファイルを整理して、調整→再現を回せる状態を作ってください。