Baby Lockのボビン周りを10分で安全に掃除する(掃除後に調子を崩さないために)

· EmbroideryHoop
Baby Lockミシンのボビン周りを「開ける→点検する→掃除する→組み戻す」まで、手順どおりに進められる実務ガイドです。ボビンケースの針当たり(小さな穴・欠け)を見分けるポイント、エアダスターを使わずに糸くずを“取り出す”清掃方法、白い矢印(△)と白い点の正しい位置合わせ、最後に手回し(はずみ車)で当たりを確認するチェックまでをまとめました。さらに、ボビン付近の異音、動作が遅い、ネジが固い、糸が引っ掛かるといった現場で起きがちな症状への切り分けと、無理せず販売店・技術者に相談すべきタイミングも整理しています。
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目次

ボビン周りメンテナンス決定版:「ガリガリ音」の不安を消す

マシン刺繍の現場で、経験年数に関係なく背筋が冷たくなる音があります。突然の「ゴリッ」という感触のあとに続くガリガリ音、そして画面に出るエラー表示。

多くの場合、原因はひとつに集約されます。糸が絡んだ“鳥の巣”状態です。

テンションをいじったり糸を疑ったりしがちですが、根本原因はたいてい「環境要因」——つまり 糸くず(リント)バリ(傷) がボビン周りにあることです。

マシン刺繍は「経験則+機構理解」で精度が上がります。表面をサッと払うだけでは不十分で、回転釜(ロータリーフック)で上糸がボビンケースの外周を“抵抗なく”回れる状態を作る必要があります。ほんのわずかな引っ掛かり(微小な傷や糸くず)でも、糸切れ・目飛び・異音につながります。

このガイドでは「掃除する」ではなく「点検してから掃除し、組み戻しで確実に復帰させる」ことを目的に、手の感覚(引っ掛かり・抵抗・音)まで含めて手順化します。

Front view of the Baby Lock sewing machine needle plate area before disassembly.
Initial state

準備:作業を“整える”

ドライバーを持つ前に、考え方を切り替えます。これは単なる掃除ではなく、トラブルを未然に防ぐための予防整備です。ボビン周りが清潔だと摩擦が減り、動作の重さ(負荷)や熱のこもり、そして目飛びのリスクを下げられます。

始める前に:「通電したまま作業」ルール

取扱説明書では電源OFFが基本です。一方、動画では見やすさのために電源ONのまま作業しています(内蔵ライトを使うため)。もし同じように通電状態で作業するなら、次の前提を守ってください。

  • フットコントローラー(ペダル)を外す/誤作動しない状態にする
  • 針の進路に手を入れない(針棒周辺は“危険エリア”として扱う)

用意するもの(“取り出す”ための道具)

ホコリを動かすのではなく、外へ出す道具を揃えます。

  • コイン式/短柄ドライバー:ネジ頭をなめにくく、力をかけやすい
  • 掃除用ブラシ:ボビン周りの糸くずを掻き出す
  • ピンセット:絡んだ糸端の除去に便利
  • 掃除機の細口アタッチメント(任意):吸い出し用(キーボード用など)
  • 新品の針:清掃後に交換する前提で準備
  • ネジを置く場所:落下防止のため、すぐ退避できる場所を確保

注意:安全手順(必須)
分解前に、押さえ金は必ず外します。これは妥協不可です。ネジ落下も厄介ですが、針が付いたまま手を入れるとケガや、内部機構の噛み込みにつながります。

Hands removing the needle from the clamp.
Removing needle

手順1 — 作業エリアを分解して視界を確保

次の順番で進めると迷いにくいです。

  1. 電源の扱いを決める:電源OFFで作業する/通電するならペダルを外す
  2. 押さえ金を外す
  3. 針を外す

補足(現場のコツ): 針を外したら、その針は再使用せず交換前提にします。曲がりや先端の傷みは、ボビンケースへの針当たりの“きっかけ”になります。

手順2 — プラスチックのボビンカバーを外す

プラスチックカバーは、後方のくぼみ(指を掛ける部分)に人差し指を入れ、手前にまっすぐ引くのが基本です。

Finger pulling the plastic bobbin cover plate forward using the rear indent.
Removing bobbin cover

チェックポイント: 「パチッ」と外れる感触があり、機種によっては開放を知らせる電子音が鳴ることがあります。

手順3 — 金属の針板(ニードルプレート)を外す

コイン式ドライバーで、針板のマイナス(フラット)ネジ2本を緩めます。

重要: ドライバーだけで最後まで抜かず、ある程度緩めたら指で回して外すと落下しにくくなります。外したネジはすぐに作業台の安全な場所へ移動し、転がらないように立てて置くと管理しやすいです。

Close up of a damaged bobbin case showing small needle strike hole.
Inspect bobbin case

準備チェックリスト(作業開始の合否判定)

  • 押さえ金を外した
  • 針を外した(清掃後は新品に交換する前提)
  • ボビンカバーを外した
  • 針板ネジを落下しない場所に退避した
  • 針板を持ち上げて取り外した

点検:ボビンケースの“傷”を見つける

縫い不良はテンションではなく、物理的な損傷が原因のことがあります。ここではボビンケース(黒い樹脂パーツ)を点検します。

Using a screwdriver to loosen the flat head screws on the needle plate.
Removing screws

「爪でなぞる」引っ掛かりチェック

目視だけだと小さな傷を見落とします。糸は小さな段差にも反応するため、触感で確認します。

  1. ボビンケースを取り出す
  2. 樹脂の縁(特に針が落ちる側)を爪で軽くなぞる
  3. 糸道の金属クリップ(糸ガイド)周辺も同様に確認

チェックポイント: 爪が「カチッ」と引っ掛かる箇所があれば、そこは糸を傷めたり引っ掛けたりする原因になり得ます。小さな穴(針当たり)でも糸の流れを阻害し、縫い不良につながります。

針当たり(Needle Strike)が起きる理由

厚物を無理に縫ったり、負荷が高い状態で針がたわむと、針がボビンケースに当たり、樹脂が欠けたり穴が開いたりします。深い欠けや穴がある場合は、掃除で改善しません。交換が必要です。

「自分の機種は印が違う」場合

動画では、ボビンケース側に白い三角/矢印、本体側(釜)に白い点があります。機種によっては色や形が違うことがあります(点ではなく刻みなど)。基本原理は同じで、ボビンケース側の目印と、本体側の目印を合わせることが重要です。

清掃:押し込まず“取り出す”

針板を外したら、回転釜(ロータリーフック)周辺=糸くずが溜まりやすい場所が見えます。

The internal hook race exposed after removing the metal needle plate.
Inspection

手順4 — ブラシで掻き出し、必要なら吸い出す

ブラシで糸くずを掻き出します。ポイントは、見える場所だけでなくボビンケースが座る下側にも糸くずが溜まりやすいことです。

Using a white brush to sweep lint out of the metal bobbin race area.
Cleaning

糸端が絡んで取れない場合はピンセットを使います。

触ってはいけない部位(トリマー周辺)

回転釜の近くに、小さく尖った部品(糸切り刃/保持バネ機構)が見えることがあります。

Pointing out the thread cutter blade mechanism that should not be removed.
Safety warning

ここは引っ張らない・曲げない・無理に掻かないでください。外れたり位置がずれたりすると、調整が必要になる場合があります。

注意:エアダスター(缶エア)は使わない
エアで吹くと、糸くずが奥へ入り込みやすくなります。必要なら、細口アタッチメント付きの掃除機で吸い出す方向で行います(吹き込まない)。

送り歯(フィードドッグ)も忘れずに

コメントでも「送り歯の間も掃除した方がいい」という声があります。送り歯の間に糸くずが詰まると布送りが重くなり、作業感が悪化します。ブラシや吸引で、見える範囲を軽く清掃します。

組み戻し:必ず「針板→ボビンケース」の順

組み戻しには順番があります。ここを間違えると「掃除したのに調子が悪い」状態になりがちです。

手順5 — 針板は必ず先に固定

ボビンケースを正しく座らせるには、針板が先に固定されている必要があります。

  1. 金属の針板を戻す
  2. ネジは手でねじ山に入れる(斜めに噛ませない)
  3. ドライバーでしっかり締める
Placing the metal needle plate back onto the machine bed.
Reassembly
Tightening the needle plate screws with a coin-style screwdriver.
Securing plate

チェックポイント: 手で回し始めた時にザラつきや引っ掛かりがあるなら、斜めに入っている可能性があります。いったん戻してやり直します。

手順6 — ボビンケースは「矢印(△)→白い点」で位置合わせ

次にボビンケースを戻します。

  1. ボビンケースの白い三角/矢印を探す
  2. 本体側(釜)の白い点を探す
Showing the white arrow on the bobbin case.
Instructional
Pointing to the white dot on the machine race for alignment.
Instructional
  1. 目印同士を正確に合わせて、ボビンケースを落とし込む
Inserting the bobbin case into the race with correct alignment.
Reassembly

チェックポイント: うまく座らないときは、無理に押し込まず、はずみ車を手前(自分の方向)にゆっくり回すと、内部が回って「ストン」と収まることがあります。針板を緩めて入れようとするのは避けます。

最終確認:縫う前に“手回し”で当たりを見る

いきなり縫い始めず、まず安全確認をします。

手順7 — 新しい針を取り付け

新品の針を取り付けます。針は奥までしっかり差し込み、固定ネジを締めます。

Tightening the needle clamp screw after inserting a new needle.
Needle installation

手順8 — はずみ車を手前に回して2回転

はずみ車を手前に回して、2回転(合計720度)ほど確認します。

チェックポイント:

  • 感触:引っ掛かりや重さがないか
  • :金属的な「チッ」という当たり音が出ないか(出たら即停止)
  • 動き:針がスムーズに上下するか

手順9 — プラスチックカバーを戻して“隙間ゼロ”

カバーを元の位置へスライドして戻します。

Sliding the plastic bobbin cover plate back into position.
Final Reassembly

チェックポイント: プラスチックと金属針板の間に隙間がないこと。隙間があると布が引っ掛かる原因になります。

清掃後の判断フロー(次に何をする?)

  • A:手回しが軽く、異音なし
    • 対応:糸をかけ直し、端布で試し縫い
  • B:組み戻したら手回しが重い/ザラつく
    • 対応:再度分解して、糸くずの噛み込みやボビンケースの座りを確認
  • C:清掃したのに糸がすぐ引っ掛かる/切れる
    • 対応:針の取り付け状態を確認し、ボビンケースの針当たり(穴・欠け)を再点検。小さな穴でも問題になります
  • D:どうしても解消しない/エラーが続く
    • 対応:無理をせず、販売店・技術者に相談(コメントでもサポート窓口や販売店での点検を推奨する案内があります)

運用チェックリスト(再稼働前)

  • ボビンケースの目印を合わせた(矢印→白い点)
  • ボビンケースの前に針板を固定した
  • はずみ車を2回転して異音・抵抗がない
  • 針を新品に交換した
  • カバーが面一で隙間がない

清掃の次:作業効率を上げる“枠”の見直し

ここまでの手順で機械側が健全になっても、糸切れやズレが頻発する場合は、素材の保持(枠張り)側に原因があることもあります。

清掃は機械内部の安定化。枠の見直しは、素材との“相互作用”の安定化です。

従来フープの弱点

一般的な樹脂フープは摩擦と締め付けでテンションを作ります。強く締めすぎると生地が歪み、結果として針の負荷が増え、針のたわみ→針当たりのリスクが上がることがあります。

選択肢:マグネット式の枠張り

薄手やデリケート素材、または本数が多い作業では、magnetic embroidery hoopのようなマグネット式を検討する人もいます。

  • メリット:均一に押さえやすく、締め付けムラが出にくい
  • 注意:機種ごとの適合があるため、購入前に確認が必要です。Baby Lock向けとしては マグネット刺繍枠 babylock 用 のように機種対応を明記したものを探すと判断しやすくなります

注意:マグネットの取り扱い
babylock 刺繍枠 のような強力マグネットを使う枠は便利ですが、挟み込みに注意が必要です。
1. 指を挟まないよう、クランプ部に指を入れない
2. 医療機器(ペースメーカー等)を使用している場合は距離を取る

いつ見直すべき?

  • 枠跡(枠跡)が出やすい素材を扱う
  • 手の負担(締めネジの操作)が大きい
  • 枠張りの再現性を上げて段取り時間を減らしたい

トラブルシューティング:「症状→原因→対処」早見表

まだ不調がある場合は、症状から切り分けます。

症状 ありがちな物理原因 対処
鳥の巣(下側で糸が絡む) 上糸のかけ直し不良、またはボビンケースの傷 押さえ金を上げた状態で上糸をかけ直す。ボビンケースを爪でなぞって引っ掛かり確認
縫っているとカチカチ音がする 針が曲がって針板/ボビンケースに当たっている 針を交換し、手回しで当たりがないか確認
ボビンケースが浮く/外れそう/回る 釜のキー溝に正しく座っていない 目印(矢印→白い点)を合わせて入れ直し、手回しで「ストン」と収まるか確認
縫い目は問題ないのに音がひどい 組み戻しのズレ、または点検が必要な状態 まずは目印合わせと手回し確認。注油については取扱説明書の指示に従う(指示がない場合は自己判断で注油しない)
針板のネジが固くて外れない 締め過ぎ、ネジ頭の損傷リスク ドライバーを強く押し付けてから回す。なめそうなら無理をせず相談(コメントでも固いネジの悩みが出ています)
掃除しても動作が遅い 清掃以外の要因の可能性 清掃で改善しない場合は点検が必要(コメントでも「遅い」相談があります)

まとめ:清掃で“基準状態”に戻す

「針板を先に固定」し、「ボビンケースの目印を合わせ」、「手回しで当たり確認」までできれば、機械の基準状態を取り戻せます。

仕上がりのイメージは次の3点です。

  1. ボビンケースが水平に座っている
  2. はずみ車が軽く回り、異音がない
  3. カバーが面一で、布の通り道がスムーズ

定期的なメンテナンスは修理費を抑えるだけでなく、作業者の判断力も上げます。機械側が整うと、次は枠張りや素材保持(必要なら Baby Lock マグネット刺繍枠 のような選択肢)に集中できます。

こまめに清掃し、正しく枠張りし、指を守って作業を続けましょう。