低予算で“うまい”プロダクト動画を作る:ポップコーンで学ぶ創意工夫の撮影術

· EmbroideryHoop
低予算で“うまい”プロダクト動画を作る:ポップコーンで学ぶ創意工夫の撮影術
熱風機で弾ける瞬間をワイヤー固定の粒で切り取り、Aputure 300D IIのランタンで背景と被写体を同時に整える。袋のマスターショットから、カメラが袋の中へ“飛び込む”プローブレンズの没入カット、そして電動ドリルとウォータージャグで作る自作回転リグまで。少ない機材でも、工夫次第で“おいしい”一皿を盛り付けるように撮れる——その全手順を、日本語でやさしく解説します。

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Table of Contents
  1. 低予算プロダクト撮影のイントロダクション
  2. 夢の一撃:ポップコーンのスローモーション・ポップ
  3. ラインナップを美しく:袋の“マスターショット”
  4. 袋を踊らせる:回転・投げ・注ぐのクリエイティブ
  5. 発明力で勝つ:ウォータージャグ回転リグ
  6. まとめ:創造性は道具を超える

動画を見る:How to create an Awesome Product Video on a Budget(Dunlop Films)

“限られた機材でも、発想で勝てる”。そんな気持ちのまま作られたのが、ポップコーンを主役にした本チュートリアルです。ピンクの背景、ワイヤーに刺した一粒のコーン、熱風機。そして袋のラインナップをシネマティックに見せる工夫と、電動ドリルで回す自作回転リグ。必要なのは高価な機材ではなく、段取りと光の理解、そして“遊び心”。

このガイドでは、動画の流れに沿って撮影手順とライティング、チェックポイントを整理し、実際に使えるノウハウだけを抽出してお届けします。

— 学べること —

  • 一粒のポップコーンをスローモーションで美しく弾かせるセットアップと安全な運用
  • 袋の“マスターショット”を均一な背景と立体感のある光で仕上げる方法
  • 袋の回転・ポップコーンの投げ要素・袋から器への“没入”ショットの作り方
  • ドリルとウォータージャグで作る低予算の回転リグ設計と安定化のコツ
  • 最低限のカットで最大の説得力を出す、チェックとトラブル解決の考え方

低予算プロダクト撮影のイントロダクション

“液体以外”をやりたい——と始まった今回のテーマはポップコーン。カラフルな袋の魅力を軸に、3つの柱で構成されます。1) 一粒のポップショット、2) 袋のマスターショット、3) 体験型の回転・没入カット。まず全体像を掴むために、完成イメージと必要な小道具を洗い出します。

Man holding a bag of Boom Chicka Pop popcorn in a studio setting with lighting equipment.
The presenter introduces the product and the concept for the video, holding up a bag of Boom Chicka Pop popcorn.

プロのコツ:袋を破る前に“使える”ショット(マスターやディテール)を先に回収しておく。無駄買いを避けられます。

注意:動画内では具体的な絞りやISOの数値は明示されていません。露出の最終判断はモニターと波形で行いましょう。

夢の一撃:ポップコーンのスローモーション・ポップ

“朝に見た夢から生まれた”という一粒ポップのアイデア。仕組みはシンプルです。細いワイヤーや尖った棒の先に粒を固定し、オイルを軽くつけ、熱風機で加熱。背景はピンク、上からAputure 300D II+ランタンで“被写体も背景も”満遍なく照らします。

Man explaining the setup for a popcorn popping shot with various lights and a pink background.
The presenter explains the unique idea for capturing popcorn popping on a wire, detailing the setup including lights and background.

セットアップの骨子

  • 粒は細いワイヤーで固定。ブレ防止に棒へテープ留め。
  • 背景はピンクの紙(均一な色面が鍵)。
  • ライトはAputure 300D II+ランタンを頭上兼背景に。足りない分はi-Canでフィル。
  • 粒の輪郭を出すために下面から控えめのバックライト。
  • カメラはBlackmagic URSA Pro G2+Canon 100mm Macro、4K/120fpsで捕捉。

クイックチェック:粒の固定とピント。背景のムラが出たら、距離をとるか拡散を強めて均一性を確保しましょう。

Close-up of a popcorn kernel skewered on a wire, taped to a stick, ready for popping.
A close-up reveals the popcorn kernel precisely placed on a wire, which is then taped to a stick for stability during the popping process.

ライティングの狙い ランタンの広がる光で“背景と被写体の両方”を支配しつつ、右手からソフトな当てを加える構成。多灯が難しい現場では“一灯二役”の発想が効きます。i-Canは影の落ち方を見ながらごく薄くフィルに。

Presenter gestures towards an Aputure Lantern light acting as both overhead and background illumination.
The presenter highlights the Aputure Lantern, which serves the dual purpose of illuminating both the subject and the pink background, demonstrating resourcefulness with limited lights.

カメラワークと設定 マクロは少しの揺れでも絵が壊れます。三脚で固定し、熱風の当て方は一定に。フレームレートは120fps(4K)。後処理でワイヤーを消す前提で、背景はクリアに保ちます。

Blackmagic Ursa Pro G2 camera with a Canon 100 Macro lens pointed at the popcorn setup.
The Blackmagic Ursa Pro G2 camera, equipped with a Canon 100 Macro lens, is positioned to capture the popcorn popping in high detail and slow motion.

コメントから:粒の固定は“熱した針で柔らかい部位に刺す”という実戦的な回答が寄せられています。安全管理のうえで試してください。

注意:熱源を一点集中させると焦げやすく、遠すぎると反応しません。中距離で円を描くようにゆっくり当てるのがコツ(複数テイク前提)。

Heat gun being used to heat the popcorn kernel on the wire.
A heat gun is carefully aimed at the oil-dipped popcorn kernel to initiate the popping, preparing for the dramatic slow-motion capture.

小ネタ:被写体を“ピタッと止める”考え方は、手芸で台座に小物を仮固定するのと似ています。たとえば撮影台のマウント感は、手元作業で使うmagnetic フレームの発想に近いでしょう。

ラインナップを美しく:袋の“マスターショット”

次は商品世界観の“全景”。各色の袋をテーブルに並べ、周囲にポップコーンを散らし、奥まで均一なピンクで包む。ここでもランタンを上に構え、右からはLight Dome IIでソフトな当て。背景が転ばないよう、i-Canでバランス取り。カメラはスライダーまたは三脚で“押し/引き”を丁寧に。

Overview of the studio setup for the master shot, featuring popcorn bags arranged on a table with lights.
An overview of the master shot setup shows multiple Boom Chicka Pop bags displayed on a table covered in popcorn, with various lighting fixtures in position.

配置と構図

  • 袋は視線誘導の三角構図やアーチを意識。商品名が読み取れる角度に。
  • テーブル上のコーンは“散らし過ぎない”余白設計で主役が立つように。
  • ランタンの高さで背景のムラを制御。必要なら被写体との距離を稼いで被写界深度を活用。

クイックチェック:反射と立体感。袋の側面に“うすい影”が乗ると奥行きが出ます。Light Dome IIの角度で微調整。

Camera on a slider performing a smooth push-in motion towards the popcorn bags.
The camera mounted on a slider executes a controlled push-in motion, designed to capture a dynamic view of the arranged popcorn bags.

カメラ移動 スライダーの押し引きは1ショット1意図。背景のタイル継ぎ目が目立つなら被写体と背景の距離を広げるか、フレーミングを再設計。パンは三脚で水平を保ちつつ、袋ごとにフォーカスを送って見せ場を作ります。

Man adjusting camera on tripod for a panning shot of popcorn bags.
The presenter adjusts the camera on its tripod, likely setting up for a smooth panning motion across the various popcorn bags to capture each one in detail.

プロのコツ:ライティングの“固定化” 動画内でも“セットは全編ほぼ同じ”と明言。ランタン(頭上)+Light Dome II(右)+i-Can(フィル)の関係を崩さずにシーンを量産するのが得策。環境が落ち着けば、テイクに集中できます。

Close-up of the Aputure 300D II with Lantern attachment providing overhead illumination.
A detailed view of the Aputure 300D II with its Lantern attachment, demonstrating its role in providing broad, even overhead light for the scene and background.
Aputure 300D II with Light Dome II set up for product lighting.
The Aputure 300D II paired with the Light Dome II is positioned to deliver a soft product light from the side, adding definition and contrast to the bags.

余談:光の扱いは、ホッピング台で位置決めを繰り返す感覚に似ています。運用メモに“基準距離”を作ると安定します(道具でいえば刺繍枠 masterの“治具化”に近い思想)。

袋を踊らせる:回転・投げ・注ぐのクリエイティブ

このパートは“後で合成する前提”で、要素を別撮りします。1) 棒に付けた袋を人力で左右に回転、2) ピンク背景前でポップコーンを投げ、3) 袋の口を開けてカメラが袋“の中”へ入り込む没入ショット。いずれも背景はクリーンに保ち、マスクやキー処理の手間を減らします。

Popcorn bag on a stick rotating, with loose popcorn being thrown in the background by a person.
A popcorn bag is rotated on a stick while an assistant throws loose popcorn in the background, combining multiple elements for a dynamic composite shot.

没入ショットの作り方 URSAをスライダーに載せ、片側を操作者の体に固定。50mmで袋の口へ滑り込み、続いてプローブレンズに切り替えて、袋の内部から“外へ”抜けてボウルへ。この二つを編集で縫い合わせて一連の体験にします。

クイックチェック:

  • 動きの滑らかさ(スライダーの慣性を活かす)
  • ピントの呼吸(手引きは練習あるのみ)

- プローブ時の光量(全ライトを寄せて明るさを確保)

Camera rig on a slider attached to the presenter for a bag-opening shot, with an assistant holding the bag.
The camera, mounted on a slider and attached to the presenter, prepares to move into an open popcorn bag held by an assistant, creating an immersive shot.

コメントから:ワイヤー消しはAfter Effectsのワイヤーリムーブを使用。袋の回転は“スピードを一定に”。投げはフレーム内に長く留まる量とスピードを実験しましょう。

現場Tips:プローブはとにかく光が必要。反射板や白布も動員し、影を起こしすぎない位置で“寄り切る”のがコツです。道具の“磁力的”固定感を想像しながら小物を置くと、フレームの整理が速くなります(作業感覚はmighty hoop embroideryで位置決めするイメージに近い)。

発明力で勝つ:ウォータージャグ回転リグ

ロボットアームがなくても、回すことはできる。発想は“プラスチック筒を回転させたい”。材料は家庭にあるウォータージャグ2本。持ち手を切り落とし、開口部は透明プラで養生。片方の中心に穴を空けボルトを通し、電動ドリルで回す。箱で左右を支え、ブレを抑えます。カメラはプローブで“中を覗く”ポジション。

Man showing a DIY rotating setup using a power drill and water jugs.
The presenter demonstrates a clever DIY rotating drum created from two water jugs connected by a bolt and powered by a drill, intended for creative product shots.

設計のポイント

  • たわみをなくす:左右の支点を広げ、箱で高さを合わせる。
  • ドリルのチャックは強く固定。回転方向とケーブルの逃げを確認。
  • ジャグの内面は清潔・乾燥。コーンが張り付くと画が止まります。
  • ライトは近距離多灯(プローブ対策)。

実行(回転ショット) ポップコーンを適量入れ、ドリルを回して回転開始。スライダーでゆっくり前後に送り、滞空するコーンの動きをフレームいっぱいに捉えます。多すぎると詰まり、少なすぎると寂しくなるので、数テイクで“密度”を探るのが近道。

Power drill spinning the water jug containing popcorn.
The power drill is engaged, causing the water jug filled with popcorn to spin, creating a dynamic tumbling effect captured by the probe lens.

トラブル対処

  • 揺れが出る:支点を増やす/箱を変える/床を固める。
  • 光が足りない:ライトを寄せる/ISOを許容範囲で上げる/被写体距離を詰める。
  • チャックが滑る:ボルト径と締め込みを再確認。

コメントからのヒント:屋外での挑戦は“大型ディフューザーで自然光を均す”のが近道。曇天でも一定の質感が保てます。

応用メモ:素材ハンドリングの整理術 小物の固定や位置決めの“治具発想”は、映像以外のクラフトでも効きます。たとえば、作業台での位置決め感はmighty hoopsのワークフローに似ており、段取りの一貫性がスピードを生みます。道具セットの最小単位(テープ、ワイヤー、軽量クランプ)を“定位置管理”すれば、現場の迷いも減らせます。

チェックリスト(通し)

  • 背景:ムラなし/継ぎ目が見えない距離感
  • 主役:ピント良好/リムライトでエッジが立つ
  • 動き:一定速度/ブレを抑えた慣性
  • 音(必要な場合):騒音源(ドリル等)の遮音
  • 安全:熱源管理/回転物の固定と周囲の退避

注意:動画では露出やカラープロファイルの数値は明言されていません。各環境でテストを重ね、波形とヒストグラムで判断してください。

編集の入口(概要) 本編では編集の詳細手順は別動画に委ねられていますが、ポイントだけ。ワイヤー消しはAfter Effectsのワイヤーリムーブ。袋の“中に入る”ショットは、50mmの袋口INとプローブの袋内OUTをマスクとトランジションで接続。背景の継ぎ目はフレーミングで極力避け、必要ならマスクで整えます。合成前提の要素撮りは、クリーンな背景・一定の光が命。

参考比喩:段取りは“ステーション化”が効きます。たとえば位置決めの手順を一枚紙にまとめ、常に同じ順序で作業する——これはembroidery 磁気 刺繍枠を使う際の“定型動作”に通じます。

現場のミニFAQ(コメントから)

  • 粒が弾けない:中距離でゆっくり円を描くように当て、複数回トライ。
  • ワイヤー固定:熱した針で柔らかい部位に刺すと安定(火傷注意)。
  • 屋外:大判ディフューザーで自然光を均す。風対策に重り必須。
  • 回転リグの動力:電動ドリル+ボルトで回転軸を作る。

道具と創意の交差点 “少ない灯数をどう配るか”“どう回せば動くか”。この動画が教えてくれるのは、技術の背後にある“段取り思考”です。光を面で配る、動きを分解して別撮りし、編集でつなぐ。ひとつひとつの判断を積み重ねることで、最終的な“魅せ方”が立ち上がる。

ヒント:小道具の固定や背景の整理を“磁力で押さえる”感覚は、撮影でも有効です。小さなクランプやジェルの置き方に、snap hoop monster的な“パチッと決まる”手触りを見いだせるはず。

まとめ:創造性は道具を超える

  • 夢から生まれた“一粒ショット”は、ワイヤー固定と熱風機、そして丁寧な光で成立する。
  • 袋のマスターは、ランタン+ソフトライトで背景と立体を両立。
  • 回転・投げ・没入は、別撮りと編集で無理なく接続。
  • 自作回転リグは“安定”が正義。支点とチャックの信頼性を最優先に。

最後に——高価なギアを持っていなくても、照明の基本と段取り、そして実験をいとわない姿勢があれば、説得力のある一皿が盛り付けられます。あなたの発想で、次の一手を。作例の整理や小物の固定は、たとえばmighty hoop 5.5や磁気 刺繍枠 for embroideryの“位置決め”を思い浮かべるとイメージしやすいはず。撮影でも、作業の“治具化”が強い味方になります。

付記:背景素材のシワや継ぎ目は“距離”と“光の角度”で目立たなくなります。どうしても映り込むときは、被写体の位置調整か、編集での最小限の補正を検討しましょう。なお、屋外での自然光は変動するため、ディフューザーやレフでコントロールを忘れずに。最後に、道具や素材の固定感はmighty hoopssnap hoop monsterの“ワンタッチ性”を手本に、現場での“繰り返しやすさ”を設計してください。