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動画を見る:How to create an Awesome Product Video on a Budget(Dunlop Films)
“限られた機材でも、発想で勝てる”。そんな気持ちのまま作られたのが、ポップコーンを主役にした本チュートリアルです。ピンクの背景、ワイヤーに刺した一粒のコーン、熱風機。そして袋のラインナップをシネマティックに見せる工夫と、電動ドリルで回す自作回転リグ。必要なのは高価な機材ではなく、段取りと光の理解、そして“遊び心”。
このガイドでは、動画の流れに沿って撮影手順とライティング、チェックポイントを整理し、実際に使えるノウハウだけを抽出してお届けします。
— 学べること —
- 一粒のポップコーンをスローモーションで美しく弾かせるセットアップと安全な運用
- 袋の“マスターショット”を均一な背景と立体感のある光で仕上げる方法
- 袋の回転・ポップコーンの投げ要素・袋から器への“没入”ショットの作り方
- ドリルとウォータージャグで作る低予算の回転リグ設計と安定化のコツ
- 最低限のカットで最大の説得力を出す、チェックとトラブル解決の考え方
低予算プロダクト撮影のイントロダクション
“液体以外”をやりたい——と始まった今回のテーマはポップコーン。カラフルな袋の魅力を軸に、3つの柱で構成されます。1) 一粒のポップショット、2) 袋のマスターショット、3) 体験型の回転・没入カット。まず全体像を掴むために、完成イメージと必要な小道具を洗い出します。

プロのコツ:袋を破る前に“使える”ショット(マスターやディテール)を先に回収しておく。無駄買いを避けられます。
注意:動画内では具体的な絞りやISOの数値は明示されていません。露出の最終判断はモニターと波形で行いましょう。
夢の一撃:ポップコーンのスローモーション・ポップ
“朝に見た夢から生まれた”という一粒ポップのアイデア。仕組みはシンプルです。細いワイヤーや尖った棒の先に粒を固定し、オイルを軽くつけ、熱風機で加熱。背景はピンク、上からAputure 300D II+ランタンで“被写体も背景も”満遍なく照らします。

セットアップの骨子
- 粒は細いワイヤーで固定。ブレ防止に棒へテープ留め。
- 背景はピンクの紙(均一な色面が鍵)。
- ライトはAputure 300D II+ランタンを頭上兼背景に。足りない分はi-Canでフィル。
- 粒の輪郭を出すために下面から控えめのバックライト。
- カメラはBlackmagic URSA Pro G2+Canon 100mm Macro、4K/120fpsで捕捉。
クイックチェック:粒の固定とピント。背景のムラが出たら、距離をとるか拡散を強めて均一性を確保しましょう。

ライティングの狙い ランタンの広がる光で“背景と被写体の両方”を支配しつつ、右手からソフトな当てを加える構成。多灯が難しい現場では“一灯二役”の発想が効きます。i-Canは影の落ち方を見ながらごく薄くフィルに。

カメラワークと設定 マクロは少しの揺れでも絵が壊れます。三脚で固定し、熱風の当て方は一定に。フレームレートは120fps(4K)。後処理でワイヤーを消す前提で、背景はクリアに保ちます。

コメントから:粒の固定は“熱した針で柔らかい部位に刺す”という実戦的な回答が寄せられています。安全管理のうえで試してください。
注意:熱源を一点集中させると焦げやすく、遠すぎると反応しません。中距離で円を描くようにゆっくり当てるのがコツ(複数テイク前提)。

小ネタ:被写体を“ピタッと止める”考え方は、手芸で台座に小物を仮固定するのと似ています。たとえば撮影台のマウント感は、手元作業で使うmagnetic フレームの発想に近いでしょう。
ラインナップを美しく:袋の“マスターショット”
次は商品世界観の“全景”。各色の袋をテーブルに並べ、周囲にポップコーンを散らし、奥まで均一なピンクで包む。ここでもランタンを上に構え、右からはLight Dome IIでソフトな当て。背景が転ばないよう、i-Canでバランス取り。カメラはスライダーまたは三脚で“押し/引き”を丁寧に。

配置と構図
- 袋は視線誘導の三角構図やアーチを意識。商品名が読み取れる角度に。
- テーブル上のコーンは“散らし過ぎない”余白設計で主役が立つように。
- ランタンの高さで背景のムラを制御。必要なら被写体との距離を稼いで被写界深度を活用。
クイックチェック:反射と立体感。袋の側面に“うすい影”が乗ると奥行きが出ます。Light Dome IIの角度で微調整。

カメラ移動 スライダーの押し引きは1ショット1意図。背景のタイル継ぎ目が目立つなら被写体と背景の距離を広げるか、フレーミングを再設計。パンは三脚で水平を保ちつつ、袋ごとにフォーカスを送って見せ場を作ります。

プロのコツ:ライティングの“固定化” 動画内でも“セットは全編ほぼ同じ”と明言。ランタン(頭上)+Light Dome II(右)+i-Can(フィル)の関係を崩さずにシーンを量産するのが得策。環境が落ち着けば、テイクに集中できます。


余談:光の扱いは、ホッピング台で位置決めを繰り返す感覚に似ています。運用メモに“基準距離”を作ると安定します(道具でいえば刺繍枠 masterの“治具化”に近い思想)。
袋を踊らせる:回転・投げ・注ぐのクリエイティブ
このパートは“後で合成する前提”で、要素を別撮りします。1) 棒に付けた袋を人力で左右に回転、2) ピンク背景前でポップコーンを投げ、3) 袋の口を開けてカメラが袋“の中”へ入り込む没入ショット。いずれも背景はクリーンに保ち、マスクやキー処理の手間を減らします。

没入ショットの作り方 URSAをスライダーに載せ、片側を操作者の体に固定。50mmで袋の口へ滑り込み、続いてプローブレンズに切り替えて、袋の内部から“外へ”抜けてボウルへ。この二つを編集で縫い合わせて一連の体験にします。
クイックチェック:
- 動きの滑らかさ(スライダーの慣性を活かす)
- ピントの呼吸(手引きは練習あるのみ)
- プローブ時の光量(全ライトを寄せて明るさを確保)

コメントから:ワイヤー消しはAfter Effectsのワイヤーリムーブを使用。袋の回転は“スピードを一定に”。投げはフレーム内に長く留まる量とスピードを実験しましょう。
現場Tips:プローブはとにかく光が必要。反射板や白布も動員し、影を起こしすぎない位置で“寄り切る”のがコツです。道具の“磁力的”固定感を想像しながら小物を置くと、フレームの整理が速くなります(作業感覚はmighty hoop embroideryで位置決めするイメージに近い)。
発明力で勝つ:ウォータージャグ回転リグ
ロボットアームがなくても、回すことはできる。発想は“プラスチック筒を回転させたい”。材料は家庭にあるウォータージャグ2本。持ち手を切り落とし、開口部は透明プラで養生。片方の中心に穴を空けボルトを通し、電動ドリルで回す。箱で左右を支え、ブレを抑えます。カメラはプローブで“中を覗く”ポジション。

設計のポイント
- たわみをなくす:左右の支点を広げ、箱で高さを合わせる。
- ドリルのチャックは強く固定。回転方向とケーブルの逃げを確認。
- ジャグの内面は清潔・乾燥。コーンが張り付くと画が止まります。
- ライトは近距離多灯(プローブ対策)。
実行(回転ショット) ポップコーンを適量入れ、ドリルを回して回転開始。スライダーでゆっくり前後に送り、滞空するコーンの動きをフレームいっぱいに捉えます。多すぎると詰まり、少なすぎると寂しくなるので、数テイクで“密度”を探るのが近道。

トラブル対処
- 揺れが出る:支点を増やす/箱を変える/床を固める。
- 光が足りない:ライトを寄せる/ISOを許容範囲で上げる/被写体距離を詰める。
- チャックが滑る:ボルト径と締め込みを再確認。
コメントからのヒント:屋外での挑戦は“大型ディフューザーで自然光を均す”のが近道。曇天でも一定の質感が保てます。
応用メモ:素材ハンドリングの整理術 小物の固定や位置決めの“治具発想”は、映像以外のクラフトでも効きます。たとえば、作業台での位置決め感はmighty hoopsのワークフローに似ており、段取りの一貫性がスピードを生みます。道具セットの最小単位(テープ、ワイヤー、軽量クランプ)を“定位置管理”すれば、現場の迷いも減らせます。
チェックリスト(通し)
- 背景:ムラなし/継ぎ目が見えない距離感
- 主役:ピント良好/リムライトでエッジが立つ
- 動き:一定速度/ブレを抑えた慣性
- 音(必要な場合):騒音源(ドリル等)の遮音
- 安全:熱源管理/回転物の固定と周囲の退避
注意:動画では露出やカラープロファイルの数値は明言されていません。各環境でテストを重ね、波形とヒストグラムで判断してください。
編集の入口(概要) 本編では編集の詳細手順は別動画に委ねられていますが、ポイントだけ。ワイヤー消しはAfter Effectsのワイヤーリムーブ。袋の“中に入る”ショットは、50mmの袋口INとプローブの袋内OUTをマスクとトランジションで接続。背景の継ぎ目はフレーミングで極力避け、必要ならマスクで整えます。合成前提の要素撮りは、クリーンな背景・一定の光が命。
参考比喩:段取りは“ステーション化”が効きます。たとえば位置決めの手順を一枚紙にまとめ、常に同じ順序で作業する——これはembroidery 磁気 刺繍枠を使う際の“定型動作”に通じます。
現場のミニFAQ(コメントから)
- 粒が弾けない:中距離でゆっくり円を描くように当て、複数回トライ。
- ワイヤー固定:熱した針で柔らかい部位に刺すと安定(火傷注意)。
- 屋外:大判ディフューザーで自然光を均す。風対策に重り必須。
- 回転リグの動力:電動ドリル+ボルトで回転軸を作る。
道具と創意の交差点 “少ない灯数をどう配るか”“どう回せば動くか”。この動画が教えてくれるのは、技術の背後にある“段取り思考”です。光を面で配る、動きを分解して別撮りし、編集でつなぐ。ひとつひとつの判断を積み重ねることで、最終的な“魅せ方”が立ち上がる。
ヒント:小道具の固定や背景の整理を“磁力で押さえる”感覚は、撮影でも有効です。小さなクランプやジェルの置き方に、snap hoop monster的な“パチッと決まる”手触りを見いだせるはず。
まとめ:創造性は道具を超える
- 夢から生まれた“一粒ショット”は、ワイヤー固定と熱風機、そして丁寧な光で成立する。
- 袋のマスターは、ランタン+ソフトライトで背景と立体を両立。
- 回転・投げ・没入は、別撮りと編集で無理なく接続。
- 自作回転リグは“安定”が正義。支点とチャックの信頼性を最優先に。
最後に——高価なギアを持っていなくても、照明の基本と段取り、そして実験をいとわない姿勢があれば、説得力のある一皿が盛り付けられます。あなたの発想で、次の一手を。作例の整理や小物の固定は、たとえばmighty hoop 5.5や磁気 刺繍枠 for embroideryの“位置決め”を思い浮かべるとイメージしやすいはず。撮影でも、作業の“治具化”が強い味方になります。
付記:背景素材のシワや継ぎ目は“距離”と“光の角度”で目立たなくなります。どうしても映り込むときは、被写体の位置調整か、編集での最小限の補正を検討しましょう。なお、屋外での自然光は変動するため、ディフューザーやレフでコントロールを忘れずに。最後に、道具や素材の固定感はmighty hoopsやsnap hoop monsterの“ワンタッチ性”を手本に、現場での“繰り返しやすさ”を設計してください。
