Innov-is XV アップグレードキット徹底ガイド:My Design Center強化、ステップリング、トラプント風、フレーム新サイズまで

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Innov-is XV アップグレードキット徹底ガイド:My Design Center強化、ステップリング、トラプント風、フレーム新サイズまで
このガイドは、Innov-is XV アップグレードキットで拡張された My Design Center のスキャン機能と編集力、キルト向けのステップリング、自立したふくらみを出すトラプント風刺繍、さらに新しい大型フレームとテキスト編集・色管理・デザイン管理を、手順ベースでわかりやすくまとめたものです。動画に依存せず、画像→刺繍データ変換、装飾フィル、ラインステッチ(キャンドルウィック/チェーン)、プレビュー、オート密度、カラーシャッフル、カラーソート、USB 複数ファイルコピー・削除まで、現場でそのまま使える操作順とチェックポイントを提示します。

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Table of Contents
  1. プロジェクトの概要
  2. 準備するものと前提条件
  3. セットアップ:スキャンと表示の最適化
  4. 手順:画像→刺繍化、ステップリング、トラプント風、JPG からの作成
  5. 仕上がりチェック:見た目・触感・配置の基準
  6. 完成イメージと次アクション
  7. トラブルシューティングとリカバリー

1 プロジェクトの概要

このガイドは、アップグレード後の Innov-is XV でできることを、作業順に落とし込んだ実用チュートリアルです。とくに My Design Center のスキャン&編集、ステップリングの自動生成、トラプント風の段取り、JPG からの刺繍化、色と密度の最適化、新サイズのフレーム活用、複数デザインの一括管理にフォーカスします。

適した場面は次のとおりです。

  • オリジナル画像を“面”と“線”に分けて、装飾フィルやラインステッチを使い分けたい。
  • キルトのトップに、デザインの周囲へ均一なステップリングを入れて仕上げたい。
  • 芯材を使ってモチーフをふっくら見せるトラプント風効果を再現したい。
  • 複数のワッペン(アプリケ)やボビンワークを、1つのフープ画面で効率よく組み合わせたい。

なお、本稿では機能の正確な理解を重視し、数値・名称は動画に登場した範囲に限定しています(例:My Design Center のズーム上限は800%、アウトラインの距離調整は3.2mm表示、Auto Density は60%〜200%に対応、Color Shuffling の色数は8 など)。

プロジェクト企画段階で、素材の保持方法を検討しておくと安心です。例えば厚地や多層のキルトでは、フレームの保持が作業の安定度を左右します。一般論として、磁力で布を保持する マグネット刺繍枠 を併用すると“浮き”が抑えやすくなるケースがありますが、機種適合や取扱いには十分注意してください。

2 準備するものと前提条件

前提条件

  • Innov-is XV 本体にアップグレードキットが適用済みであること。
  • 機械の基本操作(フーピング、糸かけ、画面での選択・編集)に慣れていること。

主な道具

  • 刺繍ミシン本体、スキャニングフレーム、スタイラスペン、USB デバイス、刺繍フレーム。
  • 素材:生地、キルト綿(トラプント風)、裏当て、糸。

作業環境

  • フーピングとスキャンのために十分に片付いた作業面を確保します。

- 取り込む原画(紙・シートなど)は、スキャニングフレームで平らに保てるサイズに整えます。

Hands placing an image in the scanning frame
A user's hands carefully place an original image of a penguin onto the scanning frame, preparing it for conversion into embroidery data.

素材保持については、標準フレームのほか、作業目的に応じて 刺繍用 枠固定台 を併用すると位置合わせの再現性が上がります。これはとくに“繰り返し配置”や“同寸リピート”が多い場面で効果的です。

クイックチェック

  • 取り込む画像はコントラストがはっきりしているか。

- フレームに布が均一な張力で留められているか。

Embroidery machine scanning the image
The Brother Innov-is XV machine's screen shows the scanning process, indicating how an image is converted into an editable format for embroidery.
  • 針板・押さえ周辺に不要物がないか。

3 セットアップ:スキャンと表示の最適化

3.1 スキャン準備と画像の位置決め

原画をスキャニングフレームに固定し、機械へセットします。内蔵カメラでスキャンし、画面上でフレームと画像の関係を確認します。枠内に必要な要素がすべて入っていること、傾きが意図どおりであることをチェックします。

プロのコツ

  • スキャン前に原画の不要な影やシワを避けると、輪郭抽出が安定します。

3.2 フレーミングと属性プランニング

取り込んだ画像の“どこを線にするか/どこを面で埋めるか”を先に決めておくと、後の編集がスムーズです。画面上でフレーミングを微調整し、必要に応じて拡大表示でエッジを確認します。

Stylus adjusting scanned image boundaries
A stylus is used on the machine's touchscreen to precisely adjust the framing of the scanned penguin image, defining the area for embroidery.

注意

  • フレーミングが狭すぎると一部が欠けて取り込まれます。必要なら再フレーム→再スキャンを行いましょう。

3.3 新しい形状・ステッチ・ズーム・領域属性

  • 30種類のクローズドシェイプと、30種類のオープンシェイプから選択可能。

- 線種にはキャンドルウィック/チェーンが追加。輪郭やディテールの変化付けに有効です。

New closed shapes displayed on machine screen
The machine's interface presents a selection of 30 new closed shapes, offering more creative options for designing embroidery patterns.
Selecting new line stitch types (candlewick and chain) on screen
A stylus highlights new line stitch options, specifically candlewick and chain stitches, allowing for varied textures and details in embroidery designs.
  • My Design Center のズームは最大800%になり、ピクセルレベルでの境界調整が楽になります。

- 面(リージョン)ごとに属性(装飾フィル/色)を変えて仕上がりを作り分けられます。

Selecting a region fill attribute for embroidery
The screen displays various fill patterns, and a stylus selects a specific pattern to apply to a region of the embroidery design, customizing its appearance.

クイックチェック

  • ズーム800%で境界が意図通りに閉じているか。
  • 線種と太さの見え方がデザインの雰囲気と一致しているか。

補足として、対応フレームや周辺アクセサリーは機種ごとに異なるため、適合の明確な製品表記(例:マグネット刺繍枠 brother 用)を確認してから導入するとミスマッチを避けられます。

4 手順:画像→刺繍化、ステップリング、トラプント風、JPG からの作成

4.1 画像を刺繍データに変換(My Design Center)

手順 1) 原画をスキャニングフレームに載せ、機械でスキャン。 2) 画面上でフレーム位置を調整し、画像を面・線に分けて配置。 3) クローズド/オープンシェイプを選び、必要に応じて追加・修正。 4) 線種(キャンドルウィック、チェーン)を指定。 5) 面は装飾フィルを選択。色もリージョンごとに決定。 6) プレビューで整合を確認し、刺繍を開始。

Embroidery machine stitching a scanned design
The embroidery machine actively stitches the digitized penguin design onto fabric, demonstrating the real-world application of the scanning feature.

期待結果

  • 取り込んだ画像のテイストを保ちながら、刺繍として破綻のない線・面・方向が付与されていること。

プロのコツ

  • 複雑な図案は“外形→主要面→細部線”の順に決めると迷いが減ります。

この段階では、縫製中の素材保持も重要です。一般論として、広い面を多く縫うときは brother ミシン の安定感に加え、フレームの滑り止め・クランプの使い分けが仕上がりの平滑性に影響します。

チェックリスト(画像→刺繍化)

  • スキャン範囲:必要要素が全て入っている
  • ズーム:境界の閉じ漏れなし(800%で確認)
  • 線種:キャンドルウィック/チェーンの選択意図が明確
  • 面:装飾フィルの密度と方向が妥当

4.2 ステップリングを自動生成(Embroidery Edit)

手順 1) 既存の刺繍デザインを選択。 2) ステップリング機能を呼び出し、距離・間隔などのパラメータを調整。 3) プレビューで“カバーできている範囲”と“密度”を確認。 4) 刺繍を開始。

Machine screen showing stippling around an embroidery design
The machine's display illustrates a stippling pattern being generated around an existing embroidery design, with options to adjust parameters like distance and spacing.

期待結果 - モチーフの周囲に均一なステップリングが入り、キルトの凹凸と視線誘導を高めます。

Finished embroidered quilt piece with stippling
A completed quilt piece featuring a central embroidery design beautifully surrounded by an intricate stippling pattern, showcasing the final effect.

注意

  • 密度が高すぎると硬く、低すぎると間延びします。プレビューでバランスを見ましょう。

チェックリスト(ステップリング)

  • カバー範囲:モチーフを均等に囲っている
  • 間隔:見た目と手触りが“やわらかさ”に一致
  • プレビュー:開始前に配置ずれがない

4.3 トラプント風刺繍:ふくらみを作る段取り

手順 1) 刺繍デザインのアウトラインを保存。 2) アウトラインの距離を調整(例として画面で3.2mm表示)。

Adjusting outline distance for trapunto effect
A stylus is used to modify the distance of an embroidery design's outline, a crucial step in creating a trapunto-like raised effect.

3) 本体生地へアウトラインを縫い、位置を確定。 4) 裏当てとキルト綿を、本体生地の下に敷く。

Hands placing backing material and quilt batting
Hands carefully position backing material and quilt batting beneath the embroidered fabric, preparing for the next layer of stitching to create dimension.

5) 先ほどのアウトラインをスキャンで呼び込み、領域を再認識。 6) 領域に装飾フィルを選択(10種類のパターンから)。

New decorative fill patterns available on screen
The machine screen displays 10 new decorative fill patterns, providing options to add texture and intricate details to embroidery regions for the trapunto effect.

7) 芯材の上からフィルを縫い、ふくらみを固定。

期待結果

  • 中央モチーフが周囲より高く見え、立体感が生まれます。

プロのコツ

  • 芯材・裏材は“しわゼロ”が理想。しわは輪郭の影となって残ります。

クイックチェック

  • アウトライン距離:ふくらみの出方と見合うか
  • 芯材:過不足がないか(厚すぎると段差が強すぎる)
  • プレビュー:スキャン画像上で領域とフィルが一致しているか

4.4 JPG からキルト用オリジナル刺繍を作る

手順 1) USB から JPG を取り込み。 2) キルト片をフープに張り、機械へセット。 3) フープ内をスキャンし、JPG を画面上で位置合わせ。

Importing a JPG via USB into the machine
A USB drive is shown inserted into the embroidery machine, illustrating the process of importing a JPG image for conversion into embroidery data.

4) 必要に応じて拡大・回転、リージョンと線の属性を編集。 5) 刺繍を開始。

期待結果

  • JPG の意匠が刺繍データへ変換され、キルト片に正確に縫い付けられます。

注意

  • 低解像度 JPG は輪郭が甘くなります。できるだけ高解像度を用いましょう。

チェックリスト(JPG 刺繍)

  • 取り込み:USB から正しく認識
  • アライン:フープスキャンに対して位置決め済み
  • 属性:リージョン/線の設定に矛盾なし

5 仕上がりチェック:見た目・触感・配置の基準

5.1 新しいフレームと保持品質

新しいフレームは 9.5"×9.5"(24×24cm)と、9.5"×14"(24×36cm)の2種が示され、内側両側のラバーによりグリップが向上し、滑りを低減してステッチ結果の安定に寄与します。

New embroidery frames with size indicators
Two new embroidery frames are presented, highlighting their enhanced sizes (9.5" x 9.5" and 9.5" x 14") and rubber grip features for improved fabric stability.

プロのコツ

  • 広い面積を縫うほど保持力の差が仕上がりに表れます。長辺方向のたるみが出やすいと感じたら、フレームサイズの再検討や保持方法の工夫を。

また、長辺方向の余裕が必要な場面では、製品仕様に合うサイズ(例:マグネット刺繍枠 11x13 のような表記)を情報収集して選ぶのがおすすめです。必ず適合機種を確認しましょう。

5.2 テキスト編集と整列

テキスト編集機能は拡張され、整列ツールで文字列をきっちり並べられます。挿入・削除も容易になり、グループ化/解除で複数要素を一括編集できます。

Text editing on the machine touchscreen
The machine's touchscreen shows expanded text editing features, allowing users to type and modify text directly on the screen for personalized embroidery.

クイックチェック

  • 文字のベースラインが揃っている
  • グループ操作後もスケール比が崩れていない

5.3 密度・色の最適化と複数デザイン配置

  • Auto Density Adjustment:60%〜200%の範囲でサイズ変更しても、密度を自動補正。
  • Color Shuffling:色数8パレットから外観を試行。ランダム/ビビッド/グラデーション等をプレビュー。
  • Color Sort:複数デザイン結合時に色順で並び替え、糸替え回数を削減。
  • 複数アプリケ・複数ボビンワーク:1画面で同時にレイアウトでき、フープ内での収まりを俯瞰できます。

一般に、複数デザインを1フープで回す“ミシン刺繍 マルチフーピング”は段取りの巧拙が品質と時間を左右します。プレビューと色管理をセットで活用すると、やり直しを最小化できます。

6 完成イメージと次アクション

完成像

  • スキャン画像のディテールを保ちつつ、面と線の属性が活きた仕上がり。
  • キルト用途では、モチーフ周囲のステップリングが面の張りを整え、視線を導きます。
  • トラプント風は中央のモチーフに立体感が付き、陰影が強調されます。

次アクション

  • 子ども向けバッグやアクセサリーなど、内蔵パターンの組み合わせ制作。
  • 新しいレタリングでネームやモノグラムを追加。
  • 大型フレームを活かしたワンパス制作の検討。

参考として、適合記載が明確なフレーム(例:brother 刺繍枠 として販売される純正・適合品)を選ぶと、保持の再現性が高まりやすいです。

7 トラブルシューティングとリカバリー

症状→原因→対処の順で整理します。

1) スキャン画像の一部が欠ける

  • 原因:フレーミング不足/傾き過多
  • 対処:フレームを広げて再スキャン。必要に応じて原画の置き直しと影除去を実施。

2) 面の装飾フィルがはみ出す・欠ける

  • 原因:境界が閉じていない/拡大不足
  • 対処:800%まで拡大してギャップを閉じる。領域を再指定。

3) ステップリングが詰まり過ぎる/スカスカ

  • 原因:距離・間隔の設定不適切
  • 対処:プレビューで見直し、数クリックずつ調整→再確認。

4) トラプント風のふくらみが弱い/偏る

  • 原因:芯材の厚み不足/片寄せ、裏当てのシワ
  • 対処:芯材を適量に調整し、フープ内で平滑にセット。輪郭の再認識でズレを修正。

5) 配色がちぐはぐに見える

  • 原因:色の相互作用の見落とし
  • 対処:Color Shuffling で複数案を比較。8色パレット内で“主役色”を決めてから微調整。

6) 複数デザインの一括編集がずれる

  • 原因:グループ化単位の誤り
  • 対処:必要な要素だけを選び直し、グループ化/解除を使い分ける。

7) 糸替えが多すぎて手間

  • 原因:色順の最適化不足
  • 対処:Color Sort で色順を並び替え、糸替え回数を削減。

8) USB 転送が非効率/誤削除が不安

  • 原因:個別操作の繰り返し/確認不足
  • 対処:複数ファイル選択で一括コピー、削除時は“選択中のファイル名”を声に出して確認。

プロのコツ

  • 量産前に“最小単位の試し縫い”を行い、密度・色・方向をチェック。本番は Color Sort を適用し、糸替え手順を短縮してから開始すると安定します。

さらに、保持具の選定は品質直結です。一般論として、目的や素材に応じて 刺繍枠 とクランプや保持治具を使い分けると、縫い縮みの抑制につながります。場合によっては機種適合の明記された マグネット刺繍枠 brother 用 のような製品群の情報を参照し、作業性の高い組み合わせを検討してください。

補足:ハードウェア拡張の着眼点

  • 9.5"×9.5"/9.5"×14" の新フレームは、ラバーによるグリップ向上で滑り低減に寄与。
  • 内蔵レタリングとデザインが拡充。子ども向けのパターン組み合わせも可能。
  • 複数アプリケや複数ボビンワークを1画面で配置でき、フープ内の面積を効率的に使えます。

導入の一歩

  • 大型化したフレーム運用や、プレビューと色最適化を組み合わせるだけでも、仕上がりの“ムラ”と作業時間は大きく改善します。段取りの最後に USB 上のデータを整理しておくと、次案件への切り替えもスムーズです。

最後に、外部アクセサリーの選択時は必ず適合情報を確認しましょう。適合が不明なまま導入するより、メーカー表記や型番を揃える(例:製品名に“マグネット刺繍枠 brother 用”や“機種名+サイズ”が明記)ほうが、組み合わせの齟齬を防げます。量産案件や定位置レイアウトが多い方は、刺繍用 枠固定台 を併用して位置決めの再現性を高めるのも有効です。

で示したように、線・面・ズーム・領域属性の4点を一貫して扱えるのがアップグレードの強みです。次の案件では、複数デザインの同時配置と色管理を合わせ、効率も表現力も引き上げてみてください。