Table of Contents
1 プロジェクトの概要
プレースマット1枚の完成を目標に、In-the-Hoop(フープ内)でのピース縫いと、伝統的なミシン縫いを組み合わせます。ブロックは4インチ角の布を用いてフープ内で組み、ボーダーに仕立てます。中央は印刷テンプレートと中心線の交点合わせでキルトブロックを並べ、最後に好みのピクチャーデザインを重ね刺しします。
想定シーン:
- 刺繍ミシンでパッチワークとキルティングを一気通貫で仕上げたいとき
- 配色・配置を変えて複数のデザインバリエーションを楽しみたいとき
- 1/4インチの縫い代を守って精度よく仕上げたいとき
適さないケース(本ガイド内の情報では対応しきれない場合):
- 特殊素材や極端に厚い素材(設定が動画中で具体的に示されていないため)
プロのコツ: - テンプレートは必ず印刷して実寸で扱い、布に引いた方眼と中心印に正確に反映します。これが中央デザインの“ズレない仕上がり”の決め手です。

2 準備するものと下ごしらえ
必要な道具(動画で登場)
- 刺繍ミシン/フープ
- ミシン(ブロックをつなぐ・バインディング用)
- 505スプレー(仮止め用)
- はさみ、ロータリーカッター、定規、チャコ
- アイロン
材料(動画で登場)
- 布(ブロック用4インチ角、中央パネル用)
- 安定剤(スタビライザー)
- 薄手のキルト綿
- 水溶性ビレーン(ボーダーのキルティング時)
- 裏布(フリースを使用)
- バインディング用布(2.75インチ幅で裁ち、二つ折り)
ファイル
- パッチワーク用デザインファイル
- キルティング用デザインファイル
- ピクチャーデザインファイル
前提スキル
- 刺繍ミシンの基本操作/ミシン縫いの基本
クイックチェック:
- 4インチ角の布を3枚1セットで1ブロックを作る段取りになっているか。
- 1/4インチ縫い代のガイド(押さえや目盛り)が用意できているか。
注意:
- 中央パネルの素材(動画では伸縮のあるニットを使用)はたわみやすいため、505スプレーで層をしっかり密着させてからフーピングしましょう。ここでのたるみは後のズレにつながります。
補助ツール(あると便利・動画の流れと整合)
- フーピングの直進性を助けたいとき、刺繍用 枠固定台を併用すると中心合わせが安定します。
チェックリスト(準備編)
- ファイル3種はすべて印刷テンプレートを出力済みか
- 4インチ角の布は配色ごとにセット済みか
- 安定剤→薄手キルト綿→表布の順で重ねる準備はOKか
- 505スプレーとチャコペンは手元にあるか

3 セットアップ:フーピングと位置合わせ
3.1 ブロックのアウトラインを縫う
最初にパッチワーク・ファイルの第1ステップ(ブロックの外形)を刺繍します。これは布配置のガイドであり、後のトリムラインにもなります。
クイックチェック:
- ステッチしたアウトラインがはっきり見え、布の置き位置が判断できるか。
3.2 布の仮止めと配置
トップ左コーナーがステッチで示されるので、そこに505スプレーを軽く吹いた布を、四角の一辺あたり約1/4インチはみ出すように置きます。ステッチで固定後、外側の余りをトリムします。

プロのコツ:
- 布は“少し大きめに置いてトリムで合わせる”と失敗が少ない。

3.3 二枚目・三枚目の布を重ねる
2枚目は表同士を合わせて端にぴったり沿わせ、縫ってから折り返し、必要なら505スプレーで落ち着かせてタックダウン→トリム。

同様に3枚目も表同士で重ねてタックダウン→折り→タックダウン→トリムで、1ブロックを完成します。

注意:
- 折り返しが均一でないとシワが出やすいので、折る前に指でならし、面で押さえてからタックダウン。
セットアップのチェックリスト
- フープ内の層がしっかり接着され、たるみがない
- アウトラインと布端が重なり過ぎず不足もない
- トリム後の縁がまっすぐで糸がほつれていない
4 手順:パッチワークから刺繍・キルティング・仕上げまで
4.1 ブロックを必要数つくる→縫い合わせてボーダーへ
レイアウトや最終サイズに応じて、同じ要領で必要枚数のブロックを作成。完成ブロック同士をミシンでつなぐ際は、縫い代1/4インチを厳守してまっすぐに縫います。

レイアウトの工夫: - ブロックを回転・ミックスするだけで表情が変わります。配色違いを混ぜるのもおすすめです。

クイックチェック:
- すべての縫い代が1/4インチで揃っているか
- つないだ縞(ストリップ)が波打っていないか
意思決定(分岐):
- 長辺に6個連ねる/上下に2段×2列に並べるなど、完成イメージに合う配列を選びます(動画の例でもサイズ違いのブロックや並べ方が紹介されています)。
4.2 中央パネルのテンプレート準備と印付け
選んだキルティングデザインのテンプレートを印刷し、布に方眼(ブロックの区画)と各辺の中心印、中央点を記入します。印が不正確だと並びにズレが生じるため、定規と細めのチャコで丁寧に。テンプレートの実寸を測ってから布に反映するのが鉄則です。

クイックチェック:
- 各ブロックの中心点は、対辺の中心印と一直線に並んでいるか
4.3 中央パネルをフーピングし、第一ブロックを縫う
層の順番は「安定剤→薄手キルト綿→表布」。505スプレーで層を密着させたうえでフープに張り、布の中心印をフープの中心線に一致させます。

針先をブロックの中心に合わせ、必要があれば微調整します。刺繍機のトレース機能がある場合は、縫い出し前に枠内をなぞってズレがないか確認します。

プロのコツ:
- ブロック間の継ぎ目の見え方を揃えるため、毎回テンプレート上のクロスヘア(交点)を針先と重ねます。フープのたわみが出やすい場合は、マグネット刺繍枠のような保持力の高い枠で張力を一定に保つと安定します。

4.4 中央パネル全面にキルティングを敷き詰める
1つ目のブロックを縫ったら、布の印とテンプレートを頼りに次の区画を同じ要領で並べ、パネル全体にキルティングを連続させます。ステッチは均一で、隣接ブロックときれいにそろっていることが目標です。
注意:
- 連続配置はわずかなズレが蓄積しやすい工程です。フープを外すたびに布のセンターと交点を再確認しましょう。もしフープのセットに不安がある場合は、hoopmaster 枠固定台や刺繍用 枠固定台のような基準面を使うと、再現性が上がります。
プロのコツ:
- フープサイズが大きいなら一列まとめて進め、そうでなければブロック単位に刻んで正確さを優先します。大枠での運用に慣れているならsnap hoop monster マグネット刺繍枠の直進性を活かすとスピードと精度の両立がしやすいです。
分岐:
- フープが小さい→ブロック単位の“再フーピング&再アライン”を徹底
- フープが大きい→一列連続→次の列へ、と作業回数を減らす
4.5 ピクチャーデザインを中央に重ねる
好みの絵柄(動画例では犬のデザイン)をテンプレートで位置決めし、交点を先ほどと同様に針先と一致させてから刺繍します。

コミュニティの声(要約):
- 別の動物(例:猫)に置き換えたいという声に対し、「任意の絵柄でOK。テンプレートと交点合わせは同じ手順」という主旨が支持されています。
プロのコツ:
- 大柄デザインではバスティング(外周仮縫い)が有効。ズレやすい素材でも周囲を押さえられます。
4.6 ピースドボーダーを本体に縫い付ける
中央パネルのキルティング端から1/4インチを印し、そこにピースドボーダーを中表で合わせ、1/4インチ縫い代で一気に縫い付けます。縫い終わりはしっかりプレスして落ち着かせます。

クイックチェック:
- ボーダーがまっすぐに載っているか
- コーナーで縫い代が膨らんでいないか
4.7 ボーダー部分にもキルティングを追加
水溶性ビレーンをフープに張り、左から右へ基準線を1本引いてボーダーの直進性を確保します。フープサイズに応じてブロック単位または一列でキルティングします。中央パネルとテクスチャの調和が取れていることを確認しましょう。

注意:
- フープのズレやパターンの傾きは、列頭の基準線とテンプレートで抑え込みます。強力な保持が必要ならマグネット刺繍枠 brother 用やmighty hoop マグネット刺繍枠のような磁力型も適しています(使用可の場合)。
4.8 断ち落とし→裏布→バインディングで完成
ロータリーカッターと定規で四辺を直角に整え、サイズを確定します。裏布としてフリースを重ね、バインディングは2.75インチ幅を二つ折りし、1/4インチ縫い代でミシン装着。端は重なりを美しく処理します。

プロのコツ:
- 仕上げ直前の“計ってから切る”で、わずかな歪みを除去。これによりバインディングの波打ちを防止できます。
チェックリスト(手順編)
- ブロック:3枚布で1ブロック→必要数を量産→縫い代は常に1/4インチ
- 中央:テンプレート印刷→方眼と中心印→交点と針先を一致
- ボーダー:直線基準線→再アライン→均一なキルト
- 仕上げ:直角を確認→フリース裏→バインディング幅2.75インチ
5 仕上がりチェック
- ブロックの目地:縫い代1/4インチがそろい、つなぎ目が一直線に見える
- キルティング:中央パネルの模様が継ぎ目で途切れず、列ごとに平行
- ピクチャーデザイン:中心に収まり、傾きがない
- ボーダー:四辺の幅が均一、角が膨らまずフラット
- 全体:最終トリム後に四隅が直角で、各辺が平行
クイックチェック:
- マットを裏返しても段差が少なく、指でなでても段差の移行が滑らか
6 完成イメージとその後
完成例では、中央に全面キルティング、そのうえにピクチャーデザインを重ね、上下または四辺にピースドボーダーを回しています。ブロックのサイズや配列は複数のバリエーションが可能で、回転や配色変更だけでも印象が大きく変わります。 用途:テーブルのアクセント、同柄でコースターやランチョンマットへの展開など。動画では「この布はクッションにも応用可」と触れています。保管時は平らにし、湿度を避けて保管すると長持ちします。
7 トラブルシューティングとリカバリー
症状:ブロックが波打つ/大きさが合わない
- 可能原因:縫い代1/4インチの誤差、折り返し時の引っ張り
- 解決:縫い代ガイドを使用し一定化。折る前に面で押さえ、505スプレーを追加。必要なら一度アイロンで落ち着かせる。
症状:中央パネルの模様がずれて継ぎ目が目立つ
- 可能原因:交点合わせの誤差、フープのたるみ
- 解決:テンプレートのクロスヘアと針先を一致→トレースで確認。フープの張力を上げ、必要に応じてミシン刺繍 マルチフーピングの運用で列ごとにリセットを入れる。
症状:ボーダーのキルティングが傾く
- 可能原因:ベースライン不明確、フープのスリップ
- 解決:水溶性ビレーンに基準線を引く。磁力枠やマグネット刺繍枠 11x13など大きめ枠で保持力と直進性を高める(対応機で使用可能な場合)。
症状:バインディングが不均一/端が浮く
- 可能原因:最終トリムが不正確、折り目が甘い
- 解決:定規で直角を確認し直してから裁断。二つ折りの折り目をしっかりつけ、クリップで等間隔に固定してから1/4インチで縫う。
回復テスト(簡易):
- 30cm定規を各辺に当て、反り返りや波がないか確認
- 交点合わせ後はトレースで外周が重ならないかを事前に確認
プロのコツ:
- フーピングの安定化には、対応機をお持ちならマグネット刺繍枠 babylock 用やマグネット刺繍枠などの磁力枠が有効。さらに再現性を求めるならhoopmaster 枠固定台のベース面を基準にセットすると、複数枚を縫う際も位置が揃いやすくなります。
8 コメントから
- クリエイティブなレイアウトへの高評価が寄せられています。回転や色替えで無限に近いパターンが作れる点は、実作でも強力な武器になります。
- 犬ではなく猫のデザインにしたいという声には、「任意のデザインでOK。テンプレートの交点合わせは同じ手順」という回答が支持されています。好みの図案を選ぶだけで、中央の主役は簡単に入れ替えられます。
補足:本ガイドの数値(布4インチ、縫い代1/4インチ、バインディング2.75インチ)は動画の実演に基づきます。ミシンの機種固有設定(速度・張力など)は動画で具体的数値が示されていないため、各自の機種マニュアルと試し縫いで最適化してください。
最後に、位置合わせの精度をさらに上げたい場合は、対応機種でマグネット刺繍枠やマグネット刺繍枠 brother 用など保持力の高い枠を検討するとよいでしょう。複数回の再フーピングでもテンプレート通りに並べやすく、列の通りが揃います。
