Baby LockのWi‑Fi設定+Design Database Transfer:USBなしで送る実務フロー(「機械が見つからない」を回避する)

· EmbroideryHoop
Baby Lockユーザー向けに、ミシン側でWi-Fi(Wireless LAN)を有効化→Windows PCに無料ソフト「Design Database Transfer」をインストール→ネットワーク上でミシンを追加(ペアリング)→刺繍データを無線送信、までを画面操作どおりに解説します。デザインのプロパティ(サイズ/ステッチ数/色数)を事前に読み取るコツ、ミシン内メモリを散らかさない運用、そして「Add(追加)」で何も出てこない最頻トラブルの切り分けもまとめました。
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目次

刺繍データを無線送信にする理由

USBメモリを持ってPCと刺繍ミシンを往復する作業、現場では地味に効きます。コストはUSBそのものではなく、作業の流れ(段取り)が途切れること。業務用刺繍ではリズムが品質と生産性に直結します。

無線送信にすると、基本動作が「選ぶ→確認する→送る→縫う」に固定され、再現性のあるワークフローになります。本記事は、そのための作業標準(SOP)として使えるように、Baby Lock Flare(および対応機種)+Windows用「Design Database Transfer」の画面手順に沿ってまとめています。

Close-up of the Baby Lock Flare LCD screen showing the main menu icons.
Introduction

Step 1: Baby Lock本体をWi-Fiに接続する

最初の壁はネットワーク設定です。刺繍ミシンもPCやスマホと同じ「ネットワーク上の端末」なので、同じ精度でセットアップします。

1) Wireless LANをONにする

本体LCDのWi-Fiアイコン(電波の波形)を探してタップし、ネットワーク設定に入ります。

チェックポイント: Wireless LANをONに切り替えると、表示が青(または強調表示)になります。グレーのままなら無線が有効になっていません。

Finger pressing the Wi-Fi symbol icon in the bottom right corner of the screen.
Enabling Wi-Fi

2) Wireless LAN Setup Wizardを実行する

Wizard(ウィザード)で周辺のネットワークを検索します。ここが一番つまずきやすいポイントです。PCが接続しているものと同じSSID(ネットワーク名)を選んでください。

パスワードは画面キーボードで入力します。

注意: Wi-Fiパスワードは大文字/小文字を区別します。小文字「a」と大文字「A」違いが、接続できない原因として最も多いです。OKを押す前に1文字ずつ見直してください。

チェックポイント: 画面に「Connected to wireless LAN」と表示されるまで次へ進まないでください。

List of available SSIDs on the machine screen.
Selecting Network
Machine screen displaying 'Connected to wireless LAN' confirmation message.
Verification

3) ミシン名(Network Name ID)を控える

本体の設定画面でMachine Nameを確認します。

  • 例:SewingMachine067

店舗や教室などで複数台が同じWi-Fiにいると、似た名前が並んで混乱します。後でPC側で追加するときに必要なので、必ず控えておきます。

期待される状態: ミシン名をメモして、PCの近くに貼っておく。

Settings screen highlighting the Machine Name 'SewingMachine067'.
Identifying Machine

4) 任意:ファームウェアのバージョン/更新表示を確認

動画ではファームウェア(例:1.53)が表示され、Wi-Fi経由で更新の有無が分かることが紹介されています。ただし、更新データ自体はUSBメモリで適用する流れになります。

補足: 接続の安定性に関わる更新が入ることもあるため、可能なら最新化を意識すると後々のトラブルが減ります(ただし納期直前など、リスクが高いタイミングでの更新は避けましょう)。


Step 2: Design Database Transferをダウンロード&インストール

このソフトが、PC上の刺繍データとミシンをつなぐ橋渡しになります。

1) Baby Lock公式サイトから入手(Windows専用)

Windows PCで babylock.com にアクセスし、検索から Design Database Transfer を探してダウンロードします(アクセサリー/ソフトウェア側に出てきます)。

補足(重要): このユーティリティはWindows専用です。Apple/Macでは動作しません。

Baby Lock website page for Design Database Transfer showing the laptop image.
Downloading Software

2) インストールが不安定な場合は保護ソフトを一時停止(必要時のみ)

インストール時にセキュリティソフトやファイアウォールが通信関連の設定をブロックすることがあります。うまく入らない場合は、インストール中だけ一時停止し、完了後すぐに戻します。

期待される状態: デスクトップに「Baby Lock Design Database Transfer」のアイコンが作成され、起動できる。

コメントで多い注意点:「ページが見つからない」

公式サイトのリンク切れ(404)でダウンロードできないケースが報告されています。その場合は、怪しい配布サイトを探すのではなく、Baby Lockに直接問い合わせて正規リンクを案内してもらうのが安全です(販売店経由でも可)。


Step 3: ソフト画面の見方(送る前の“検品”)

刺繍データ(.PES/.DSTなど)は「画像」ではなく「縫い指示」なので、Windowsのエクスプローラーだけだと中身が見えにくいことがあります。このソフトを使うとサムネイル表示でき、送信前に内容確認ができます。

The main interface of the Design Database Transfer software populated with floral designs.
Software Overview

1) フォルダ移動とサムネイルサイズ切替

左側がフォルダ(保存場所)のツリーです。データの保管場所へ移動し、表示を大きいサムネイルに切り替えると確認が楽になります。

2) Property Boxでデザイン情報を読む

デザインを選択し、Property Box(紙+吹き出しのアイコン)を開きます。ここが事前確認の要点です。

Property pop-up box showing stitch count, size, and color breakdown of a rose design.
Checking Properties

チェックする項目(現場目線):

  • ステッチ数: ステッチ数が多いデザインほど、布の負荷が増えます。送信前に把握して、スタビライザー選定や段取りに反映します。
  • サイズ(縦横寸法): 使用する刺繍枠に収まるか。わずかなオーバーでもエラーや想定外の欠けにつながります。
  • 色数/色順: 上糸の段取り(糸立て)を先に決められます。

現場のコツ: 高密度でズレが許されないデザインほど、枠張りの保持力が仕上がりを左右します。そういう場面では magnetic embroidery hoop のように均一な保持力で布ズレを抑えやすい治具を検討する、という考え方になります。

3) 単位をmm→インチに切り替える

インチ表記で作業したい場合は、Option → Select System Unit → Inch

チェックポイント: 寸法表示がインチに切り替わっていることを確認します。

Mouse selecting 'Inch' from the 'Select System Unit' dropdown menu.
Changing Units

4) Print Previewで紙の段取り表を作る

File → Print Preview でプレビューできます。

Print Preview window showing the design and tech specs layout.
Print Preview

現場のコツ: 印刷した用紙を「その品物に付けて流す」と、色替えやデータ取り違えが減ります。複数人で回す現場ほど効果があります。


Step 4: PCと刺繍ミシンをペアリング(追加)する

ここが“握手(ハンドシェイク)”の工程です。

1) Network Machine Settingsを開く

ツールバーの「ミシン+Wi-Fiマーク」のアイコンをクリックして、接続設定を開きます。

Clicking the Network Machine Settings icon (Sewing machine with Wi-Fi) on the toolbar.
Opening Network Settings

2) Add(追加)で検索する

Add をクリックします。

重要な前提: ミシン本体が起動完了(初期化完了)している必要があります。電源ONだけでなく、画面に触れて初期動作が終わっている状態にします。待機画面のままだと、ネットワーク上で見つからないことがあります。

チェックポイント: 検出されたミシン名の一覧が表示される。

Selecting 'SewingMachine067' from the detected network machines list.
Adding Machine

3) 正しいミシン名を選んで追加する

Step 1で控えたミシン名(例:SewingMachine067)を選び、Add → OK

Clicking the blue arrow to move designs into the transfer queue.
Queueing Designs

期待される状態: メイン画面の「Send To(送信先)」が、そのミシンに設定されます。

よくある質問(コメントより要約):「Addを押しても何も出てこない」

検索が「done」になっても一覧が空のまま、という相談が複数あります。まずは次を順に確認してください。

  1. 起動完了しているか: ミシンがスタート画面を抜け、初期化が終わっている。
  2. Wi-FiがONか: 本体側でWireless LANが有効。
  3. SSIDが完全一致か: PCとミシンが同じSSIDに接続。

それでも見つからない場合、コメントでは「家の中にWi-Fi電波(SSID)が多すぎて混乱する」ケースがあると補足されています。その対策として、ミシンの近くに専用の無線ルーターを置き、PCとミシンをそのルーターに接続する方法が紹介されています(インターネット接続が目的ではなく、ローカルLANを“きれいに”する考え方)。


Step 5: デザインを送信して、ミシン側で呼び出す

1) Writing Listに入れる(送信キュー)

送りたいデザインを選び、青い下向き矢印をクリックして「Writing List(待機リスト)」に入れます。

Mouse hovering over the Transfer button (Machine with Blue Arrow icon).
Initiating Transfer

チェックポイント: 画面下のキュー領域にデザインが追加される。

2) 一度に大量送信しない

送れるからといって、何百件も入れるとミシン側の一覧が探しにくくなります。基本は「今やる分だけ」を送る運用が安全です。

3) Writing Listから削除(キューの整理)

間違えたら、キュー内のデータを選んでゴミ箱アイコンで削除します。これはキューから外す操作で、PC上の元データを消す操作とは別です。

4) ミシンへ転送する

大きい Transfer(ミシン+青矢印) アイコンをクリックします。

Close up of the blue capacity bar at bottom of software indicating memory usage.
Checking Memory

チェックポイント: 進捗バーが進み、「Finished outputting data」の表示が出る。

5) 容量バー(ミシン内メモリ)を確認

画面下に青い容量バーが表示され、ミシン内ストレージの使用状況が分かります。

Machine screen showing the three memory source icons (Machine, USB, Wi-Fi).
Selecting Source

補足: 送信エラーが続く場合、容量がいっぱいの可能性があります。ミシン側で不要データを削除して空きを作ります。

6) ミシン側でデザインを呼び出す

  1. 本体で Pocket(メモリ) をタップ
  2. Wi-Fi/クラウド のアイコンを選択
  3. 送ったデザインを選ぶ
  4. Set を押す
The two transferred floral designs appearing on the machine's LCD screen.
Design Retrieval

期待される状態: 刺繍編集画面にデザインが読み込まれ、枠張り→縫いに進めます。

ここから“実際の生産効率”につながる話

データ送信が速くなると、次に時間を食うのは物理段取り(枠張り)です。ロット(例:ポロシャツ20枚)になるほど、ネジ式フープの締め/緩めの反復で手首が疲れ、テンション差や枠跡のムラが出やすくなります。

現場の選択肢: そういうタイミングで、 マグネット刺繍枠 babylock 刺繍ミシン 用 のような治具を検討する人が増えます。着脱が速く、保持力が一定になりやすいのが理由です。


よくある接続トラブルと対処

トラブル時は焦らず、低コストの確認から順に潰します。

症状 ありがちな原因 まずやること
「WLANに接続できない」 パスワード誤り(大文字小文字違い) パスワードを再入力。1文字ずつ確認。
「検索が終わるが、ミシンが出てこない」 ミシンが未初期化/SSID不一致 1. ミシンを起動完了まで進める<br>2. SSID一致を確認<br>3. ルーター再起動
転送エラー/送れない ミシン内メモリ不足 ミシンのPocket内データを削除して空きを作る(容量バーも確認)。
PES取り込み時に毎回再インストールを求められる Windows側の権限/環境不具合 管理者として実行。それでも改善しない場合はBaby Lockサポートへ連絡。

準備(見落としがちな消耗品と事前チェック)

データはデジタルでも、刺繍は機械加工です。スタート前に物理条件を揃えます。

見落としがちな消耗品リスト

  • 針の選定: ニット/ポロはボールポイント、布帛はシャープが基本。針が傷んでいると打音が増え、品質が落ちやすいです。
  • 下糸(ボビン糸)残量: 大きい塗り(フィル)に入る前に確認。途中で切れると復旧が大変です。
  • 仮止めスプレー/テープ: 浮かせ(フローティング)で固定する場面に必須。

「枠固定台(フーピングステーション)」という考え方

デザインが常に数度ズレる、中心が安定しない場合、原因はデータではなく物理アライメントのことがあります。外枠を固定して位置合わせしやすくする 刺繍用 枠固定台 のような道具(枠固定台)を使うと、胸ロゴなどの再現性が上がります。

送信前チェックリスト(Transferを押す前)

  • ネットワーク: ミシンのWi-Fi表示が青(ON)。PCとミシンが同一SSID。
  • ソフト: Design Database Transferを起動。Property Boxでサイズ/ステッチ数を確認。
  • 機材: 生地に合う新しい針。
  • 段取り: 色順に上糸を準備。
  • 枠張り: ステッチ数に合わせてスタビライザーを選定(高密度=カットアウェイ系を検討)。

セットアップ(「一度できた」ではなく「毎回安定」させる)

“送るリスト”をきれいに保つ習慣

刺繍ミシンのメモリを倉庫にしないこと。

  1. 毎朝、ミシン内データを整理
  2. その日の分だけ送信
  3. 必要ならPrint Previewを段取り表として運用

分岐:あなたに合う「転送+枠張り」運用は?

A:単発(趣味・一点物)

  • 例:タオルにイニシャル
  • 転送:無線は便利
  • 枠張り:標準フープで十分。ループ地は水溶性トッパーを検討。

B:副業〜小ロット量産(50枚以上)

  • 例:ポロシャツに企業ロゴ
  • 転送:PCで次データを準備しながら送れるため有利
  • 枠張り:ここがボトルネック。標準フープは枠跡が出やすく、テンション差も出やすい。

ペアリング前チェックリスト(Addする前)

  • ミシンが起動完了(初期化完了)している。
  • Machine Name(例:SewingMachine067)を把握している。
  • PC側のファイアウォールがアプリをブロックしていない。

運用(チェックポイント付きの手順まとめ)

  1. ミシン側: Wireless LANをON。チェックポイント: Wi-Fi表示が青。
  2. PC側: ソフトを起動し、デザインを選ぶ。
  3. 事前検品: Property Boxでサイズ/ステッチ数/色順を確認。
  4. 単位: 必要ならInchに変更。
  5. ペアリング: Network Settings → Add → ミシン名選択 → OK。チェックポイント: 送信先にミシン名が出る。
  6. キュー: 青矢印でWriting Listへ。
  7. 転送: Transferを実行。チェックポイント: 完了メッセージ。
  8. ミシンで呼び出し: Pocket → Wi-Fi/クラウド → Set。

注意(機械安全): ミシンの初期化(キャリッジ移動)中はアームが素早く動きます。手や物を可動域に入れないでください。

注意(マグネット安全): マグネット刺繍枠 は強力な磁石を使用します。指を挟む危険があるため、着脱時は指の位置に注意してください。また、ペースメーカー使用者は使用しないでください。磁気カードや精密機器にも近づけないでください。

枠張り(枠入れ)の再現性を上げたい場合は、 刺繍ミシン 用 枠入れ の工程で「人の締め加減」という変数を減らすのが基本です。一定の保持力を作りやすい治具は、 babylock 刺繍ミシン を使った作業でも安定化に役立つことがあります。

Transfer直前チェックリスト

  • サイズ: 選んだ刺繍枠の範囲に収まる。
  • 色: 色順が分かる(印刷またはメモ)。
  • キュー: 送るのは正しい版(Final_v2など)。
  • 容量: ミシン容量バーが赤ではない。

結果

この手順で、刺繍データをUSBなしでPCからBaby Lockへ送信し、ミシン側で呼び出して縫い工程へつなげられます。

できるようになること:

  • PCとミシンを同一ネットワークで安定接続する
  • 送信前にステッチ数/サイズ/色順を確認して段取りミスを減らす
  • ミシン内メモリを整理し、転送詰まりを防ぐ

次の改善ポイント: データ転送がスムーズになったら、次は物理段取り(枠張り)の摩擦を見直す番です。枠張りが負担になっている、難しい素材でズレが出る、枠跡が気になる場合は、 magnetic hoops刺繍用 枠固定台 を検討するのが、無線化と同じくらい効果的な改善になります。