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Baby Lock Array(6本針刺繍機)の概要
単針機から多針刺繍機に移行すると、作業のリズムが大きく変わります。色替えのたびに糸を掛け替える「ミシン番」から、事前に複数色をセットして段取りを回す「段取り担当」に近い動きになります。
ここで扱う Baby Lock Array のデモは目的が明確です。既製の小さなバッグ(ファスナーポーチ)を素早く枠張りし、内蔵デザインを読み込み、投影(プロジェクター)で位置合わせを確認し、指定の針に色を割り当てて、そのまま縫い切る——という一連の流れを、迷わず再現できるようにします。
バッグ類は厚み・ファスナー・縫い代・裏地など「枠張りの邪魔」が多く、初心者ほどつまずきやすいアイテムです。この手順をベースにすると、無理に引っ張って歪ませる/枠跡を残す/縫い込み事故を起こす、といった失敗を減らしやすくなります。また、通常の刺繍枠で時間がかかる現場ほど、刺繍ミシン 用 マグネット刺繍枠のようなクランプ方式が効いてきます。

この記事でできるようになること(全体の流れ)
- 作業テンポの違い: 多針で事前に色をセットしておくことで、色替え停止が減り段取りが安定する。
- 枠張りの要点: 4"×4"マグネット刺繍枠でファスナーポーチを歪ませずに固定する。
- デジタル段取り: 内蔵ロータス(Lotus)2色デザイン(2.95"×3.51")を読み込み、針割り当て(針4・針5)を確認する。
- 位置合わせ: 投影クロスヘアで、既製品上の中心位置を目視で確認する。
- 運用: IQ Intuition(進捗モニタリングアプリ)で、糸切れや下糸切れ(ボビン切れ)など停止要因を通知で把握する。
デモ以上に重要な理由
業務で利益を削るのは、糸代よりもハンドリング時間です。バッグをまっすぐ枠張りできずにやり直す、枠跡(枠焼け)を消す、縫い込み事故で作り直す——この数分が積み上がります。多針刺繍機+素早く固定できるマグネット刺繍枠の組み合わせは、量産現場で定番になりやすい理由があります。
バッグに効く:4"×4"マグネット刺繍枠
デモでは4"×4"のマグネット刺繍枠を使用しています。一般的な刺繍枠(内枠を外枠にねじ込み、摩擦とトルクで締める方式)に対し、マグネットは上から垂直にクランプして固定します。
バッグの場合、ねじ締めで引っ張り合いが起きると生地が歪みやすいのですが、垂直クランプは「引っ張って張る」より「面で押さえる」方向になり、歪みを抑えやすいのが利点です。

手順:マグネット刺繍枠でバッグを枠張りする(ズレを減らす順番)
動画の動きに合わせて、ズレにくい順番で行います。
- 上枠(ベゼル)を外す: クイックリリースのマグネットを持ち上げ、上側フレームを外して金属ベースを露出させます。
- バッグを通す: バッグ(ポーチ)を金属ベースの上にスライドさせて載せます。チェックポイント: 裏地が金属ベース上でゴロつかず、シワが噛んでいない感触か確認します。
- 目視で直角を出す: バッグ上端(またはファスナーライン)が枠の辺と平行になるように置きます。強く引っ張らず、まずは「平らに置く」ことを優先します。
- 奥側(後ろ)を先に固定: 奥側の2つのマグネットを先に置き、背面側を先にロックします(ここが基準点になります)。
- 微調整: 手前側の生地を軽くならし、波打ちを取ります(引っ張って伸ばすのではなく、シワを逃がすイメージ)。
- 手前を固定: 手前側の2つのマグネットを落として固定します。チェックポイント: マグネットが確実に噛み合う感触があるか確認します。


チェックポイント(作業前の“プレフライト”)
ミシンに付ける前に、最低限ここを確認します。
- 面のフラット確認: 窓内の生地が平らで、過度に引っ張られていない(織り目が歪んでいない)。
- 噛み込み確認: 枠のクランプ部に、ファスナー引き手・ストラップ・厚い縫い代が入っていない。
- 縫い込み防止: バッグ本体の余りが針下に回り込まないように、折り込んで逃がしておく(背面を一緒に縫ってしまう事故を防ぐ)。
期待される状態
金属ベースと上側フレームの間にバッグが“サンド”され、窓内が自然にフラットになっている状態です。生地が突っ張って見える場合は、固定前の置き方で引っ張っている可能性があります。

現場目線:バッグでシワ(パッカリング)が出る典型原因
バッグでのパッカリングは、枠張り中に生地を引っ張ってしまい、枠を外した瞬間に戻ろうとして縫い目周りが寄ることで起きやすくなります。
マグネット刺繍枠は上から均一に押さえるため、過度な引っ張りを起こしにくく、素材によっては枠跡(光沢が出る押さえ跡)も軽減しやすい傾向があります。既製品で仕上がりを上げたい場合、マグネット刺繍枠 使い方の基本として、動画でも行っている「奥側(後ろ)を先に固定する」順番を徹底すると再現性が上がります。
注意: 挟み込み危険。 マグネットは強力です。固定するときは指を接触面に入れないでください。布を挟まずにマグネット同士を勢いよく合わせると、皮膚を強く挟む恐れがあります。
注意: 医療機器への配慮。 強い磁力が発生します。ペースメーカー等の医療機器、磁気に弱い機器には近づけないでください。
枠張りがボトルネックになったときの考え方
バッグを日常的に枠張りする場合、次を目安に見直します。
- 基準A: 1点の枠張りに2分以上かかる
- 基準B: 枠跡が理由で納品不可・作り直しが出る
対処の方向性:
- レベル1(手順): 粘着系スタビライザーで“浮かせ”固定(汚れやすいが対応幅は広い)。
- レベル2(道具): マグネット刺繍枠へ移行し、速度と枠跡リスクを下げる。
- レベル3(能力): 色数が多い案件が増えたら、多針刺繍機で色替え停止を減らし、段取りを安定させる(Baby Lock Array のように色を事前セットできる運用)。
手順:デザイン設定と色(針)割り当て
物理段取りができたら、画面側の段取りに移ります。ポイントは「今セットしてある糸を、どの針で使うか」を確実に一致させることです。

デザイン選択(内蔵ロータス/Lotus)
- 画面で New Design(クローバーのアイコン)カテゴリへ移動します。
- Lotus デザインを選択します。
- サイズ確認: 画面表示が 2.95" x 3.51" であることを確認します。
- 枠サイズ確認: 4"×4"枠として認識されていることを確認し、センタリングが意図どおりになる状態にします。

チェックポイント
- 余白確認: 4"×4"の範囲内で、デザインが端に寄りすぎていないかを画面上で目視確認します。
- 負荷感の目安: このデザインは 6,598針。薄い素材や裏地が弱いバッグでは、裏当て(スタビライザー)が不足すると波打ちの原因になり得ます。
期待される状態
ロータス(Lotus)デザインが画面中央に配置されます。
糸色の割り当て(Manual Color Sequence/手動カラーシーケンス)
多針の強みは、デザイン側の色順に縛られず「今掛かっている糸」を使う針に割り当てられることです。
- 手順1: 「Manual Color Sequence」を選択します。
- 手順2: デザイン色1 → 針4(画面上では Madeira Poly 1725)。
- 手順3: デザイン色2 → 針5(画面上では Madeira Poly 1855)。

チェックポイント
- 実機側の確認: 針4・針5に掛かっている糸色が、意図した色かを糸立て側で目視確認します(画面表示だけに頼らない)。
- 糸の通り: 針先から糸を少し引き出し、引っ掛かりや急な抵抗がないか確認します。引っ掛かる場合は糸道や糸立てで絡みがないかを見ます。
期待される状態
針4と針5の間で、機械が自動的に色替え(針替え)しながら縫える設定になります。
動画で触れている機能:色ブロックを縫わない(“No Sew”)
特定の色ブロックを選択して 「No Sew」 を有効にすると、その部分を縫わずにスキップできます。

現場のコツ:“No Sew”が役立つ場面
「No Sew」は次のような場面で便利です。
- 内容の取捨選択: 一部だけ縫いたい(例:汎用パーツを省いて、必要部分だけ残す)。
- 安全確認: ファスナーや段差に干渉しそうな箇所があるとき、不要ブロックを止めてリスクを下げる。
投影(レーザー)で位置合わせを確実にする
マグネット刺繍枠でフラットに固定できても、バッグ自体が完全に直角に置けているとは限りません。そこで投影機能が「最後の確認」になります。
投影での位置合わせ(クロスヘア)
- Edit End 画面へ移動します。
- 投影(プロジェクター)のアイコンを選択します。
- Crosshair を選択します。
- 枠内の生地上に、赤いクロスヘアが投影されるのを確認します。

チェックポイント
- 中心確認: 赤い十字の交点が、狙っている中心位置に来ているか。
- 傾き確認: 横線がファスナーや縫い目と平行か。平行でない場合は、必要に応じて画面上で回転調整し、軽微なズレなら枠張りをやり直さずに画面側で追い込みます。
期待される状態
「だいたいこの辺だろう」という勘に頼らず、針が落ちる位置を目視で確定できます。
なぜ投影が手戻りを減らすのか
刺繍ミシン 用 枠入れの工程で最も高くつくミスは、ロゴやモチーフがわずかに傾いて見えることです。投影があれば、縫い始める前に画面上で短時間に修正でき、枠張りのやり直しを減らせます。
IQ Intuition アプリでワイヤレス監視
縫い始めたら、ずっと張り付く必要はありません。デモでは IQ Intuition(進捗モニタリングアプリ)で、刺繍の進行状況をスマートデバイス側で確認しています。

アプリでできること(動画で確認できる範囲)
- 進捗表示: 進行状況をバー表示で確認できる。
- 停止通知: 糸切れや下糸切れ(ボビン切れ)などで停止した場合に通知が来る。
トラブル対応:糸切れ/下糸切れ(ボビン切れ)
- 症状: ミシンが停止し、アプリ側に通知が来る。
- 最初に見る: 下糸(ボビン)が切れていないか/残量がないか。
- 次に見る: 上糸の糸道(掛け直しが必要な抜けや絡みがないか)。
- 復帰: 糸を整えてから縫いを再開します(停止原因を解消せずに再開すると再停止しやすい)。
まとめ:Baby Lock Array のデモ手順を“再現できる手順”に落とし込む
多針刺繍機+マグネット刺繍枠+投影確認の組み合わせは、バッグ刺繍を「運任せ」から「再現性のある作業」に変えます。




準備(忘れがちな消耗品と事前確認)
始める前に、最低限ここを揃えます。
- 針: バッグ素材に合わせて選定(動画内で具体番手の指定はありません)。
- スタビライザー: スタビライザー(刺繍用の裏当て)を事前に用意し、必要ならカットしておきます。
- 糸切り: ジャンプ糸処理用のハサミ。
準備チェック:
- 下糸確認: ボビン残量が十分か(途中で切れると復帰が面倒)。
- 糸道確認: 糸立て周りで絡み・引っ掛かりがないか。
設定チェック(画面+位置合わせ)
- 枠固定: マグネットが確実に固定され、窓内がフラット。
- 干渉物: ファスナー引き手・ストラップなどが針下に来ない。
- デザイン: 2.95"×3.51" を確認し、針4・針5に割り当て済み。
- 投影: クロスヘアが狙い位置に合っている。
縫い開始手順(動画の流れ)
- 画面で Embroidery を選択。
- 画面の Unlock を押して解除。
- 本体の Start/Stop ボタンで縫い開始。
運用チェック:
- 立ち上がり確認: 縫い始め直後に異常がないかを確認してから離れる。
- 監視: 離れる場合は IQ Intuition を開いて通知を受けられる状態にする。
仕上がり基準
狙い位置にセンターが合い、傾きがなく、バッグが歪まず、枠跡が目立たない——これが「納品できる」仕上がりの最低ラインです。
枠跡や段差で苦戦している場合は、道具側の改善が上限を押し上げます。現場では babylock マグネット刺繍枠 のような運用で、枠張り時間と不良率を同時に下げる考え方が有効です。
また、特定の課題(Baby Lock でのマグネット枠運用)を解決したい場合は マグネット刺繍枠 babylock 用 を検討しつつ、最終的な目的は同じです。——少ない手作業で、安定した品質を繰り返し出すこと。
